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ディミニッシュコード(dim)

ディミニッシュコード(コード表記はdimと書く)とはルート音に3・5・♭7thの音を更に♭させた音を加えてできるコードのことです。
不協和音ではないですが、非常に不安を感じさせる音がします。
Cdim
ぎたすけ
たけしゃん
ディミニッシュコードで聴き手を一瞬緊張させて、次のコードで安心感を生み出す流れは非常に効果的。
ポップス、ロックはもちろん、様々なジャンルで使用されることが多い重要なコードです。
まずはディミニッシュコードについて、細かいところを解説していきます。
6thの有無について
ディミニッシュコードの構成音について、たまに議論されるのが6thの音があるのかないのか…という話です。
例えば、Cdimとコード譜に記載があるときに弾く音が下記の2通りに分かれます。
- ド(1th)
- ♭ミ(♭3th)
- ♭ソ(♭5th)
- ラ(6th)
- ド(1th)
- ♭ミ(♭3th)
- ♭ソ(♭5th)
本来は…でいうとdim = 減3和音なので6th無しが正しいです。
しかし、ポップスやってるとdimとコード譜に書かれていたら、6th有の音を弾くのが普通です。
ギターのコードフォームもdimとなっていれば、6thの音が入っています。
ほとんど見かけないですが、6th無のコード構成にしたいならCm(♭5)と書くのが間違いないでしょう。
ハーフディミニッシュコード

ハーフディミニッシュコード(m7♭5)とはルート音、♭3th、♭5th、♭7thを重ねて構成されるコードのこと。
主にコード表記のm7(♭5)=マイナーセブンスフラットファイブの名称で呼ばれており、ハーフディミニッシュは別名扱いです。
ディミニッシュコードとよく似ており、構成音も7th(ディミニッシュコードは6th)が異なるだけなのでハーフディミニッシュと呼ばれているわけですね。
Cdim
Cm7(♭5)
こうやって聞き比べてみると、大分印象が違いますね。
ディミニッシュコードとハーフディミニッシュコードはコード進行に組み込むときの使用方法が異なります。
類似コードとして使っても不協和音にはならないですが、次のコードへのニュアンスが違ってくるので使いません。
また、無料のコード譜が掲載されているコードサイトではディミニッシュコードとハーフディミニッシュコードが間違っていることが多いです。
ニュアンスが違ってくるので、注意しましょう。
ディミッシュとハーフディミニッシュのザックリした見分け方は下記の通り。
- ディミニッシュはV#dimが最も多い
- ハーフディミニッシュはⅣ#m7-5もしくはⅦm7-5でしか基本登場しない
- ディミニッシュの解決先コードはマイナーーコード(ハーフディミッシュはメジャーコード)
例外はありますが、大抵が上記の法則から区別することが可能です。
なお、ハーフディミニッシュの実例をもとにした使い方解説は下記記事を参照してください。
パッシングディミニッシュ

パッシングディミニッシュとはコードとコードの間の経過音としてディミニッシュコードを入れるコード進行のことです。
ディミニッシュコードが途中に入ることで、一瞬の緊張感が生まれ聴き手をグッと惹きこむ効果があります。
最近のポップスやロックの楽曲ではパッシングディミニッシュが入っていない曲のほうが少ないのではないか?…というくらいお決まりのコード進行です。
楽曲の隠し味として、活用するとあなたの楽曲がグッと魅力的になる魔法の一手です。
ただし、最近だとプロ・アマ問わずに多用されすぎていて、使う頻度や使用方法を工夫しないとありきたりになってしまうので注意しましょう。
パッシングディミニッシュといっても色んなパターンがあり、大きく分けると下記の2つです。
- ルートが上昇するパッシングディミニッシュ
- ルートが下降するパッシングディミニッシュ
圧倒的に多いのはルートが上昇するパッシングディミニッシュです。
どちらも実例を見ていきましょう。
パッシングディミニッシュ(上昇)

秦基博さんの「ひまわりの約束」です。
秦基博さんの楽曲ではかなりの頻度で上昇するパッシングディミニッシュが登場します。
そして、「ひまわりの約束」のサビはディミニッシュコードとハーフディミニッシュコードの連続で構成されています。
赤枠部分がパッシングディミニッシュ部分です。

ルート音がF⇒F#⇒Gと上がっていく上昇型のパッシングディミニッシュですね。
メロディーとの関係上はF#dimは省略できますが、省略すると曲の雰囲気がかなり変わってしまうのがわかるはず。
また、ひまわりの約束はディミニッシュコードとハーフディミニッシュコードの違いを理解するのもちょうど良い楽曲です。
サビの中で両コードが出てきますが、例えばEm7(♭5)をEdimに変えてみると歌えなくないですが、変な感じになります。
パッシングディミニッシュ(上昇)の定番手法
パッシングディミニッシュ(上昇型)の定番は決まっており、Ⅴ→Ⅴ#dim→Ⅵmです。
先ほどのひまわりの約束は正にⅤ→Ⅴ#dim→Ⅵmで構成されています。

ひまわりの約束はB♭キーなのでF(Ⅴ)→F#dim(Ⅴ#dim)→Gm(Ⅵm)となっています。
他にも同パターンの例を出すと…
- くだらないの中に(星野源)…E♭7→Edim→Fm(A♭キー)
- 鱗(秦基博)…C#7→Ddim→D#m7(F#キー)
- 白日(King Gnu)…A♭→Adim→B♭m7(D♭キー)
上記はほんの一例で非常にたくさんあります。
パッシングディミニッシュ…というと大半はⅤ→Ⅴ#dim→Ⅵmです。
そのため、上昇型パッシングディミニッシュを自身の楽曲に取り入れるとグッとプロっぽさが出ます。
その一方で上昇型のパッシングディミニッシュはプロ・アマ問わずに使用されまくっているので、濫用すると似通った楽曲ばかりになる原因となります。
パッシングディミニッシュ(下降)

続いては下降型のパッシングディミニッシュです。
具体例として紹介するのは星野源さんの「フィルム」です。
星野源さんの楽曲はコードチェンジが多くて大変なものが多いですが、その細かいコードチェンジにパッシングディミニッシュが頻繁に使われています。
「フィルム」でパッシングディミニッシュが登場するのはAメロ。

コードがたくさんありますねぇ…(苦笑)。
パッシングディミニッシュの使いかたとしてはよくある、ベースラインを繋げるパターンですね。
ただ、この下降パターンだとよくあるのは「Cm7⇒Bm7⇒B♭m7」なんですよね。
そこをあえてBdimにして、Bdimのところは四分音符刻みにして強調させてます。
Bdimのアクの強さが前面に出てアクセントとなっています。凝ってますねぇ。
下降型のパッシングディミニッシュは非常に少ないです。
大抵は他のコードでいいところをあえてdimを使って、意図的に違和感を作っているパターンしかないので使い方が難しいんですよね。
アコギでのパッシングディミニッシュの注意点

パッシングディミニッシュを使う理由として「経過音を挟んでコード進行を滑らかにする」という目的があります。
なので、経過音として機能するコードフォームを選択するのが望ましいです。
そこで注意して欲しい点はベース音の繋がりをちゃんと考えよう…ということです。
ピアノだと滑らかになるボイシングになりやすいんですけど、ギターだと気を付けないとベース音が飛び飛びになるのです。
具体的に2つのよくある状況をもとに解説していきます。
ディミニッシュコードを一緒くたにしない
ディミニッシュコードは音の配置を回転させただけで同じ構成音で作られているコードが多数あります。
構成音が同じdimの例
- Ddim…レ・ファ・ラ♭・シ
- Fdim…ファ・ラ♭・シ・レ
- A♭dim…ラ♭・シ・レ・ファ
- Bdim…シ・レ・ファ・ラ♭
音の配置が違うだけで鳴ってる音は一緒です。
無料のコードサイトだと、同じ構成音のコードが同一フォームでまとめてられていたりするのです。
実際に上記の例だと、全部「Ddim」のフォームで記載されているのをよく見ます。

あまり、気にしなければDdimでも成立しちゃうんですよね。
実際の例を見てみましょう。
星野源さんの「くだらないの中に」です。Aメロで早速、パッシングディミニッシュが登場します。
某コードサイトの記載と本人演奏コードフォームの違いを比べると…

そもそものコードフォームが全然違いますが、注目して欲しいのはベース音です。
某コードサイトは「E⇒D⇒F#」となっているので、厳密にはパッシングディミニッシュになっていません。
理由は前述の通りでFdimをDdimと同じフォームで掲載しているからです。
アバウトにやるなら、どっちでも良いんですけど…やっぱりニュアンスが違うんですよねぇ。
僕には本人演奏のほうが断然良く聴こえます。
ルート音のオクターブは合わせる
パッシングディミニッシュに関わらずですが、ルート音を滑らかにする場合はオクターブを合わせましょう。
よくあるのが、ルートが1音ずつ上昇していくパッシングディミニッシュでオクターブが揃わずデコボコ…というパターンです。
ルート音の高さが異なると、いくら音階上は階段になっていても滑らかになり辛いです。
ルート音のオクターブ調節に関しても、具体的な例を見てみましょう。

オクターブが違う例では最後のEmのルート音が1オクターブ下なので、ルートが1音ずつ上がっている感じはしません。
対して、オクターブを合わせている例ではルート音が綺麗に1音ずつ上がっていきます。
オクターブを必ず合わせる必要もないですが、合わせたほうが滑らかで聴きやすい演奏になることが多いです。
実際にプロアーティストの演奏を見ても、パッシングディミニッシュではフォームを工夫してオクターブを合わせていることが大半です。
オクターブの調整をしやすくするために4弦ルート・5弦ルート・6弦ルートのディミニッシュコードのフォームは押さえておきましょう。

dimコードの解説記事一覧 |
|||
Cdim | D♭dim | Ddim | D#dim |
Edim | Fdim | F#dim | Gdim |
G#dim | Adim | A#dim | Bdim |
本人監修ギタースコアで勉強すべし

パッシングディミニッシュを1つ取っても、プロアーティストは工夫していることがわかりましたよね。
弾き語りはシンプルなので、こういった工夫で大きな差が出るのです。
そして、細かい工夫を勉強するにはプロアーティストの演奏から学ぶのが最も手っ取り早いです。
プロアーティストの演奏から学ぶのに役立つアイテムがアーティスト本人監修のギタースコアです。
- CD音源を模範演奏として完コピ可能
- プロアーティストのリアルな演奏ノウハウが詰まっている
- 使用機材の解説などもついている
やはり、プロアーティストのリアルな演奏ノウハウが得られるのが一番大きいですね。
コードフォームもネットじゃ見かけない省略形のフォームが出てきたりするので、勉強になります。
コード進行やコードフォームを見て、「何でこのフォームを選んでいるんだろう?」と考えることで色々な創意工夫に気づけます。
おすすめのギタースコアはこのあたり。
- 秦基博 evergreen…初心者~中級者におすすめの弾き語りギタースコア
- 星野源 BEST SELECTION…中級者~向け。弾き語りライブの演奏を採譜したギタースコア
本記事でも参考で紹介した「ひまわりの約束」「フィルム」「くだらないの中に」が本人弾き語りverで採譜されています。
星野源さんのスコアは勉強になりますが、かなり難しいので秦基博さんからチャレンジするのが良いでしょう。
秦基博さん evergreen
星野源さんのスコア
パッシングディミニッシュ まとめ

- パッシングディミニッシュはコードとコードを滑らかにするための経過音として使われる
- ルート音 上昇型のパッシングディミニッシュはポップスやロックで欠かせない定番のコード進行
- パッシングディミニッシュを使う時はルート音の滑らかさを意識しよう
ぎたすけ
たけしゃん
パッシングディミニッシュについての解説でした。
やっぱり、プロアーティストの実例を見ると色んな工夫が見られますね。
普段、無料のコードサイトを見て何気に弾いているフレーズもプロはちゃんとブラッシュアップして演奏しているわけです。
弾き語りだと音数が少ないので、こうした細かい工夫が大きな差になりますからね。
あなたが作曲したり、ギターアレンジしたりするときにも役立つ知識なので、様々な楽曲を通して使い方を学んでいきましょう。
秦基博さん evergreen
星野源さんのスコア





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