ディミニッシュ(dim)コードとは?パッシングディミニッシュの使い方を実例をもとに解説

ギターでF#dimのコードフォームを押さえているところ

ぎたすけ

ディミニッシュって何か不気味な音がするコードのことだよな

たけしゃん

そうだね。ポップスでも登場することが多い重要なコードだね。使い方を理解しておくと便利だよ

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たけしゃん

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ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
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ディミニッシュコード(dim)

ディミニッシュコードの説明資料

ディミニッシュコードはルート音に♭3th、♭5th、6thを重ねた4和音コードです。

コード譜ではdimという表記で記載されます。

不安定で不気味な響きが特徴的ですが、ポップスではかなり多用される重要コードです。

Cdimを押さえているところ
Cdimを押さえているところ

一方でポップスでのdim使用パターンはおおよそ決まっているので、理解しておくと楽です。

まずはポップスでよく使う定番パターン「パッシングディミニッシュ」を解説していきます。

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パッシングディミニッシュ

A→A#dim→Bm7のコード進行とギターコードフォーム

パッシングディミニッシュとはディミニッシュコードを経過音として使用するコード進行を指します。

上記の例ではAとBm7の間にA#dimを入れて、ルート音が「A→A#→B」という上昇する流れを作っています。

ディミニッシュが入ることで一瞬不安定な響きになり、メロディーラインがエモくなります。

このパッシングディミニッシュは様々なヒット曲で使用されています。

そして、パッシングディミニッシュは基本的には「Ⅴ→Ⅴ#dim→Ⅵm7」という上昇パターンで使われます。

D→G→A→A#dim→Bm7のギターコードフォーム

このパターンはかなり頻繁に使われていますので、コード進行の響きを覚えてしまいましょう。

パッシングディミニッシュはほぼⅤ#dimが用いられるため、ここから曲のキーを推測することもできますね。

また、ディミニッシュを使った他パターンでは「Ⅰ→Ⅴ#dim→Ⅵm7」があります。

C-G#dim-Am7-Gm7-C7のギターコードフォーム

これはパッシングディミニッシュとは呼ばない気もしますが、ディミニッシュのパターンでは割と定番ですね。

なお、ディミニッシュでルートが下降するパターンは稀です。

基本的には下降パターンではハーフディミニッシュが用いられます。

マイナーセブンス・フラットファイブの説明資料

ハーフディミニッシュは♭7thを使うところがディミニッシュとの違いになっています。

補足

ディミニッシュは6thを使う

Uフレットなどの無料コードサイトはディミニッシュとハーフディミニッシュの選択が間違っていることが多いです。

ルート下降のパターンではハーフディミニッシュを使うほうが断然多いので、演奏時に注意してみてみましょう。

Cm7-5を押さえているところ
Cm7-5を押さえているところ

ちなみにパッシングディミニッシュを多用する代表的なアーティストは秦基博さんです。

秦さんの曲を練習すると、自然とディミニッシュの定番パターンは覚えられるのでおすすめですね。

 

ディミニッシュコードの細かいこと

ギターでF#dimのコードフォームを押さえているところ
F#dimを押さえているところ

最後はディミニッシュコードの細かい点についての解説です。

ディミニッシュは泣きメロ部分に使われることが多いため、かなり重要なコードになります。

一方でギター弾き語りだと適当に扱われているケースが多く、それだけでかなり損をします。

ここでは弾き語りでディミニッシュを使う際に注意すべき点をいくつか解説していきます。

他のディミニッシュと混在させないこと

CdimとD#dimの構成音は同じになっている

ディミニッシュコードの特徴として、構成音が同じディミッシュコードが複数存在することが挙げられます。

例えば、CdimとD#dimは和音の積み上げる順番は異なりますが、構成音は一緒です。

Cdimの音

D#dimの音

そのため、D#dimを弾く場面でCdimを弾いても、一応成立はします。

ただ、前後のコードとのつながりは変わるため、経過音としては成立しなくなります。

D#dimとCdimは構成音は一緒だが、入れ替えると大分印象が変わってしまう
Cdimだと前後とルート音がつながらない

これだと大分印象が変わってしまいますね。

無料のコードサイトだと経過音として成立しないdimが付いていることは非常に多いです。

ディミニッシュが出てきたら前後のコードとルート音がつながっているか確認しましょう。

たけしゃん

ちなみにエレキギターの場合はベースが補完してくれるので、ルートの繋がりは気にしないことが多いです

ルートのオクターブを合わせる

オクターブが異なるパッシングディミニッシュ

上図のオクターブが違う例はD#dimのルート音とEmのルート音が1オクターブ違います。

オクターブが違う例

これでも問題はないですが、Emで急に音が低くなるため、前後のコードのつながりは薄くなります。

オクターブが合っている例ではD#dimとEmをハイポジションにして5弦ルートで合わせています。

オクターブが合っている例

こちらのほうが一貫して音程が上昇しているため、コード間の繋がりが強くなります。

オクターブを合わせられるようにdimの5弦ルートと6弦ルートのフォームは覚えておく良いでしょう。

dimコードの5弦ルート、6弦ルートの擬ターコードフォーム
dimコード共通のコードフォーム

オクターブを合わせるかは好みの問題ではありますが、僕はオクターブを合わせる派です。

ちなみにプロアーティストだと星野源さんはオクターブをほぼ合わせており、秦基博さんは割とアバウトですね。

たけしゃん

こちらもエレキギターの場合はベースが補完してくれるので、ほぼ気にしないです

dimとdim7

ディミニッシュコードの説明資料

最後は細かい話ですが、dimとdim7の違いについてです。

多くの楽譜では「dim=dim7」ですが、区別されているものもあります。

その場合はdimは1th、♭3th、♭5thの3和音。dim7はそこに6thを加えた4和音という扱いになります。

ただ、ギタースコアではdim=dim7であることが大半です。

僕の経験上ではギタースコアでdimとdim7を分けて書いてあるものは見たことがないです。

なので、気にする必要はあまりないですが、豆知識として覚えておくと良いでしょう。

dimコードの解説記事一覧
Cdim D♭dim Ddim D#dim
Edim Fdim F#dim Gdim
G#dim Adim A#dim Bdim

音楽理論講座 一覧

第1章 音や楽譜の読み方を覚えよう

第2章 キーやスケールを理解しよう

第3章 コード進行のバリエーション

第4章 ノンダイアトニックコードの導入

第5章 応用的な音楽理論の活用

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