カノン進行とは?使われている曲を題材にギター音源付きで解説

カノン進行のコード譜とギターのコードフォーム

ぎたすけ

カノン進行って名前は聞いたことあるな。クラシック曲で使われてるコード進行だっけ?

たけしゃん

そうそう。「パッヘルベルのカノン」で使われてるコード進行だね。ポップスでも良く使われてるよ
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たけしゃん

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ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
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カノン進行とは

カノン進行のコード譜とギターのコードフォーム

カノン進行とはクラシック曲の「パッヘルベルのカノン」で用いられているコード進行のことです。

ッヘルベルのカノン/DEPAPEPE(YouTube)

具体的には「Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ」のコード進行を指します。

Cメジャーキーでいうと「C→G→Am→Em→F→C→F→G」ですね。

カノン進行は構成音が1音ずつ下がっていく順次進行になっています。

順次進行

隣の音(全音もしくは半音)に進む進行のこと。逆に音が飛ぶ進行を跳躍進行と呼ぶ

カノン進行は構成音を見ると1音ずつ下がっていく順次進行になっている

カノン進行は鼻歌でメロディーも載せやすいので、作曲をはじめたての人はカノン進行にメロディーを載せてみる練習をするのは有効ですね。

一方でカノン進行は非常にシンプルなコード進行とも言えるので、単調で飽きやすいメロディーラインになりがちというデメリットもあります。

カノン進行が使われている楽曲

チェリー/スピッツ(YouTube)

チェリーのコード譜(Uフレット)

カノン進行が使われている楽曲の代表例でよくあがるのが、スピッツのチェリーです。

Aメロのコード進行がそのまんまカノン進行です。カノン進行と違って、1つのコードが1小節ずつ入る構成になってますね。

カノン進行のコード譜とギターのコードフォーム

非常に聴き心地がよく、なめらかに進んでいくのがわかりますね。

ぎたすけ

へ?1曲だけなの?定番のコード進行ならもっとたくさん例を出してよ

たけしゃん

カノン進行がそのまんま使われてる曲って実はあんまりないんだよね。一部変化させてつかってるのが大半なのよ

カノン進行はヒット曲の黄金パターンなどと言われますが、実は「Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ」をそのまんま使ってる曲はかなり少ないんですよね。

色んなサイトで「カノン進行の名曲〇〇選」と紹介されてますが、紹介されてる曲の9割以上の曲がカノン進行の変形パターンです。

そのため、次章ではカノン進行の変形パターンを楽曲付きで具体的に紹介していきます。

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カノン進行の変形パターン

グランドピアノと譜面が置いてある写真

さて、本章では実際にヒット曲で多用されるカノン進行の変形パターンについて紹介していきます。

カノン進行はポップスでは色んな変化パターンが使われていますが、まとめて「カノン進行」でくくられて紹介されてしまっているので、柔軟に捉えたほうが良いです。

たけしゃん

カノン進行って原型はなんだったっけ?と思うくらい変化してるものも、普通にカノン進行と紹介されてます

本記事では、よく使われているパターンを楽曲例も出しながら3種類ほど解説していきます。

後半のⅣをⅡmに変えたパターン

カノン進行の最後の2番目の音をⅡmに変えたコード進行とギターコードフォーム

カノン進行の変形パターン1つめは後ろから2番目のⅣをⅡmに変えたパターンです。

そして、「カノン進行を使ったヒット曲」で紹介されている曲の大半はこっちが使われています。

理屈的にはⅣはサブドミナントで、ⅡmはⅣの代理コードでもあるので差し替えたわけですね。

しかも、ⅣをⅡmに変えることで本家のカノン進行よりも長く順次進行が続きます。

カノン進行の変形パターン①を構成音を並べてみてみた画像

順次進行でⅡmまで進んで、最後はⅡm→Ⅴという強進行の流れになってます。

強進行

完全4度上(もしくは完全5度下)に進む音の流れを指す。自然で心地よい流れができる

実際に変形パターン①が使われている楽曲は山ほどありますが、代表的なものを上げると以下の2曲です。

両アーティストともに歌声が魅力的なので、このシンプルなコード進行とメロディーが活きてますよね。

4番目の音をⅤに変更

カノン進行から4番目の音をⅤに変えたコード進行とギターコードフォーム

変形パターン②は4番目のコードをⅢmからⅤに変更したパターンです。

カノン進行で4番目のコードを変えることは比較的多く、Ⅴ以外にもⅢ7、Ⅳ、Ⅵm7なども良く使われます。

また、多くのパターンで変形パターン①(後半のⅣをⅡmに変える)と併用されています。つまり下図のコード進行です。

カノン進行変形パターン② 4番目の音をⅢmからⅤに変更し、最後から2番目をⅡmに変更

どんどん、原型がなくなってきてますね…(笑)。

とはいえ、カノン進行の特徴と言える順次進行によるコード進行のなめらかさは維持されてます。

そんなわけで変形を繰り返しても「カノン進行」でまとめられてるのかもしれませんね。

変形パターン②を使った代表的な楽曲は一青窈さんのハナミズキですね。

ハナミズキ/一青窈(YouTube)

ハナミズキのコード譜(Uフレット)

Aメロで変形パターン②のコード進行が使われています。

あと、前段で紹介した森山直太朗さんの「さくら」もサビの前半は変形パターン②で後半が変形パターン①という流れになってます。

さくら/森山直太朗(YouTube)

さくらのコード譜(Uフレット)

順次進行の音をルートに持ってくる

カノン進行の変形パターン③ ルート音を順次進行させる

最後の変形パターンは順次進行で下っていく音をルート音に持ってくるパターンです。

ルート音に持ってくることで、順次進行がよりわかりやすくなります。

Cメジャーキーの楽曲だとギターでもやりやすいので、弾き語りでは良く使われますね。

変形パターン③が用いられている代表的な楽曲はあいみょんの「マリーゴールド」です。

Aメロ部分が変形パターン③で演奏されています。ただ、あいみょんの演奏だとAm7/Gは普通のGを弾いてますね。

マリーゴールド/あいみょん(YouTube)

マリーゴールドのコード譜(Uフレット)

ギター弾き語りでカノン進行というと、変形パターン③がパッと浮かぶ人のほうが多いんじゃないかなと思います。

変形パターン③についても変形パターン①(後半のⅣをⅡmに変更)を併用することが多いですね。

カノン進行の変形パターン③と変形パターン①を併用したコード進行とギターコードフォーム

例えば、絢香さんの「Jewelry day」のAメロは併用パターンが用いられています。

この併用したコード進行はアコギのアルペジオにバッチリハマるんですよね。

Jewelry day/絢香(YouTube)

Jewelry dayのコード譜(Uフレット)

 

カノン進行 まとめ

机にノートとコーヒー
  • カノン進行は「Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ」というコード進行のこと
  • ヒット曲で多数使われているが、実際に使われているのはほとんどが変化形
  • カノン進行はかなり広義で使われているので、ザックリ覚えておくくらいで良い

ぎたすけ

カノン進行といっても色々あるんだな。確かに後半とかカノン進行の原型なかったぞ

たけしゃん

まあ、下りの順次進行という特徴でいうと一緒ではあるんだけどね。アバウトに考えたほうが良いよ

カノン進行についての解説でした!

あんまり、「カノン進行」って言葉にとらわれないほうが良いですね。

音の流れでこういったコード進行が定番なんだなぁと感じてもらえれば、それで十分です。

一方でギター弾き語りだと、最後のマリーゴールドのパターンなどは良く使うので押さえておきましょう。

音楽理論講座 一覧

第1章 音や楽譜の読み方を覚えよう

第2章 キーやスケールを理解しよう

第3章 コード進行のバリエーション

第4章 ノンダイアトニックコードの導入

第5章 応用的な音楽理論の活用

音楽理論に関するコラム