ぎたすけ
たけしゃん
ダブルドミナント(ドッペルドミナント)とは

ダブルドミナントとはダイアトニックコードにおけるⅡ7を指します。CメジャーキーであればD7です。
なぜ、ダブルドミナントという名称なのかというと、そのキーにおけるドミナントコード(Ⅴ)のドミナントになるからです。

Ⅱ7自体はセカンダリードミナントの一種なのですが、ドミナントとの関係が特殊なため、別途ダブルドミナントという別名がついてるわけですね。
ちなみにダブルドミナントはドッペルドミナントとも呼ばれます。ドイツ語ではドッペルになるからみたいですね。
ダブルドミナントの使い方

さて、具体的なダブルドミナントの活用方法について解説していきましょう。
まず、音楽理論のサイトや本で紹介されているコード進行だと、下記のパターンが多いかなという印象。

ドミナントが連続するパターンで、まさにダブルドミナントという呼び名にふさわしいコード進行ですね。
ただ、このパターンはポップスではあまり多くはないです。
Bメロでたまに出てくる曲があるかなという程度。あとは山崎まさよしさんとかブルース色が強い人は割と良く使ってます。
いわゆる王道のポップスで使われているダブルドミナントは「Ⅱ7→Ⅱm7」というパターンが多いです。
コード進行例を出してみると、こんな感じ。

このパターンは使われる箇所も大体決まっていてサビの終わり直前です。
サビの終わり直前にⅡ7がジャラーンとなって一旦落ち着いて、そこからⅡm7に繋がって〆のメロディーがしっとり入るというパターンです。
ちなみにサンプルのⅡ7→Ⅱm7→Ⅴ7という流れも定番ですが、Ⅱm7→〇→Ⅴ7といった感じで何か経由してドミナントに行くことが多いです。
〇に入るコードは例えば「Ⅲm7→Ⅳ」とか「Ⅳm7」とかが多く、ルートが駆け上がってドミナントにたどりつきます。
このへんは次章で具体的な楽曲例を出して紹介していくので、一緒に見ていきましょう。
ダブルドミナントを使った楽曲
ここでは、3曲ほどダブルドミナントが使われている楽曲例を見ていきましょう。
1曲目はいきものがかりの「ありがとう」です。

サビの最後の「繋がれた右手は誰よりも優しく」でダブルドミナントであるⅡ7が登場します。

一旦はダブルドミナント(D7)で曲が落ち着いて、ドミナントであるⅤ(ここではF/G)に進んでサビが終わりに向かっていきます。
ポップスのダブルドミナントといえば、この「Ⅱ7で落ち着いて、Ⅱm7を経由してⅤへ繋がってサビが終わる」というパターンが定番です。
もう1曲の例を見てみましょう。
次は秦基博さんの「五月の天の河」という曲です。

シングル「ダイアローグ・モノローグ」のカップリング曲ですが、ファンの中で根強い人気の名曲です。
五月の天の河もサビの最後にダブルドミナントが登場しています。

前後のコードの流れが若干異なるものの、基本はいきものがかりの「ありがとう」と同じ作りですね。
ダブルドミナントのⅡ7でサビが一旦落ち着いて、そこからⅡm7を経由してドミナントのⅤに向かいつつサビが終わっていきます。
最後はポップスではたまに出てくる程度ですが、ドミナントが連続するパターンのダブルドミナントです。
参考例は山崎まさよしさんの「中華料理」です。

初期の山崎まさよしさんの楽曲の中ではポップでキャッチーなほうなんですが、やっぱりブルース色出てますよね。
セカンダリードミナントやダブルドミナントを使ってセブンスコードを随所に散りばめてます。
ダブルドミナントが登場するのはAメロ部分とBメロ部分の2か所です。
まずはAメロですが、ここではわかりやすくダブルドミナント→ドミナントという構成です。

後半のB7→Eがダブルドミナントの流れですが、ポップスにしてはややアクが強いですね。
続いて、Bメロでもダブルドミナントが登場します。
Bメロのダブルドミナントは変則形で、ダブルドミナントであるⅡ7(B7)の前にF#7が置いてあり、このF#7はB7をⅤ7と見立てたダブルドミナントとなります。
つまり、ダブルドミナントを連続させた配置になってます。

そのあともB7で2小節いくところを1小節は裏コードのF7に置き換えており、多彩なセブンスコードが連続で登場してます。
ブルース曲だとこのようにセカンダリードミナントを上手く使ったセブンスコードを連続させるパターンが割とあります。
ポップな曲に上手く入れてくるところがさすがですよね。
ダブルドミナント まとめ

- ダブルドミナントとはⅡ7のことで、Ⅴ(ドミナント)のドミナントにあたる
- ポップスではⅡ7→Ⅱm7という流れで使われることがほとんど
- ポップスではサビ終わりの直前に使用され、Ⅴに向かって曲が終わっていくパターンが定番
ぎたすけ
たけしゃん
ダブルドミナントの解説でした!
ポップスでは登場頻度自体は少ないイメージですが、引き出しとしては覚えておきたいパターンです。
ちなみに今回も具体例で紹介させてもらった秦基博さんですが、カップリング曲で凝ってるものが多いので楽曲分析のお題としておすすめです!
第1章 音や楽譜の読み方を覚えよう
第2章 キーやスケールを理解しよう
第3章 コード進行のバリエーション
第4章 ノンダイアトニックコードの導入
第5章 応用的な音楽理論の活用
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