ぎたすけ
たけしゃん
転調

転調とは曲中に他の調(キー)に転換することを指します。
曲というのは1つの調(キー)の中でメロディーもコードも構成されています。
その調(キー)というのが「Cメジャーキー」とか「Aマイナーキー」というものですね。
一般的に転調というと、最後のサビで半音上にキーが上がることをイメージしますよね。
最後のサビ転調パターンは元々の調から半音上の調に転調しているわけですね。
基の調がCメジャーキーであれば、最後のサビはD♭メジャーキーに転調しているわけです。
ダイアトニックコードと転調

先ほどから出てくる調(キー)とはなんぞや?と思った方も多いはず。
調とはザックリ言っちゃえば、ダイアトニックコードのことです。
ダイアトニックコードとは調のスケールを基に作られた7つのコードのことですね。
転調することで、用いるダイアトニックコードも変化します。
ギター弾き語りやってて最後のサビで半音上に転調されると、ダイアトニックコードも#や♭だらけになって困りますよね。
曲のコード進行をアナライズする際にも、各キーのダイアトニックコードから今は何のキーなのか?を考えていくわけです。

部分転調と本格転調

転調には大きく、部分転調と本格転調の2種類があります。
例えば、最後のサビで半音上に転調するパターンは転調したまま、曲が終わるので本格転調になりますね。
一方でポップスにおいてはBメロだけ、サビだけ転調といった部分転調は割と多いです。

また、アイドル曲を中心に転調してるけど転調していることがわかりにくい曲も非常に多いです。
亀田音楽専門学校で亀田さんが「シークレット転調」と命名されてましたが、このパターンもほぼ部分転調です。
シークレット転調の良いところは音域調整できるところですね。
Aメロ、Bメロで美味しいメロディーを持ってくると、サビが高くなりすぎるパターンって割と多いんですよね。
そこでシークレット転調させて、サビの音域を調整するわけですね。
特にアイドルの場合は多人数なので、音域はある程度狭く収めたい事情もあるようでシークレット転調で音域調整するパターンが多いみたいですね。
どこまでが部分転調なのか…?
部分転調の範囲については曖昧で、これ!といったルールはありません。
基本的には部分転調というとBメロ、サビとか1セクション単位のものを指すことが多いかなという印象ですね。
また、セカンダリードミナントなどの本当に一瞬だけキーが変わるパターンを部分転調と呼ぶか?というと…。
起きてる現象は部分転調ですが、いちいち転調とは言わないかなという印象です。
セカンダリードミナントのⅠ7を使った進行

セカンダリードミナントという手法として片付けることが多いですね。
理屈をあれこれ考えるよりは一緒に演奏するミュージシャン同士で円滑に意思疎通できることが大事ですね。
近親調(関係調)

属調 | 主調の完全5度上の調 |
下属調 | 主調の完全4度上の調 |
同主調 | 主調と同じ主音で長調・短調が逆の調 |
平行調 | 主調と同じ調号になる長調・短調が逆の調 |
属調平行調 | 属調の平行調 |
下属調平行調 | 下属調の平行調 |
近親調(関係調)とは基のキー(主調)と共通音が多く、関係性が近い調を指します。
近親調への転調は共通のダイアトニックコードを介して、自然な形で行えるので多用されます。
なお、近親調以外の調を遠隔調と呼びます。
遠隔調への転調は違和感が強く、インパクトがあります。
最後のサビの半音上転調も遠隔調へ飛ぶので、転調した!と明らかにわかりますよね。その違和感が演出になったりもしますね。
ちなみにシークレット転調の場合は大体遠隔調に飛ぶのですが、飛ぶ前段に助走的なメロディーを入れることで転調していることをわかりにくくしてます。匠の技ですね…。
実際に作曲していく中では近親調がどれだから…とか考えることはあんまりなくて、引き出しで持ってる転調パターンから考えることが多いかなというイメージです。
一方でヒット曲の定番手法など引き出し作りをしていると、近親調での転調パターンがやっぱり多いことがわかりますね。
ぎたすけ
たけしゃん
ポップスでの転調例

さて、前段で転調についての理論的な勉強をしたところで具体例を見ていきましょう。
ぶっちゃけ、理論であれこれ覚えるのは後付けでオッケーです(笑)。
僕も人に説明するときに理論的な話を使うくらいで、実際の作曲では色んな楽曲を聴いて覚えた手法をあれこれ試してることがほとんどです。
なので、理論的なことを覚えるにも、まずは曲を色々聞いて分析して考えることが重要ですね。
本章では4曲ほど、転調を上手く活用した事例を紹介していきましょう。
転調事例 目次
Bメロの部分転調

イエスタデイ/Official髭男dism(YouTube)
Official髭男dismのイエスタデイはG♭メジャーキーですが、Bメロで同主短調のF#マイナーキーに転調します。
攻めた転調なので、Bメロで明らかに雰囲気変わりますよね。
サビはまた、G♭メジャーキーに戻っています。
一発目で出した例ではありますが、同主短調への転調は珍しい印象ですね。
マイナーキーから同主長調への転調は定番ですが、ヒゲダンは結構攻めた転調や攻めたコード進行使うんですよね。
サビからの本格転調

2曲目は転調曲の教材としても良く使われているであろう、スキマスイッチのボクノートです。
曲の始まりはAメジャーキーですが、サビから半音上のB♭メジャーキーに転調します。
Bメロからサビで半音上に転調すること自体が珍しいですが、何とB♭メジャーキーに転調したまま戻らないので本格転調です。
2番のAメロ、Bメロは1番と同じメロディーですが、実は1番より半音上になってます。
また、1番のBメロ→サビで遠隔調へ突然転調するので、ボクノートは音程が取れずに歌えないという人が多いんですよね。
当時のスキマスイッチのインタビューでも「簡単に演奏できない曲を作る」と仰ってましたが、ほんとに良い意味でめんどくさい楽曲です…(笑)。
短調から平行調に転調

短調で曲が始まって、サビで平行調の長調に転調するパターンですね。
「さよならの夏」はEマイナーキーで曲が始まって、サビは平行調のGメジャーキーに転調し、またEマイナーキーに戻ります。
暗い感じの曲調でスタートして、サビで急に明るく開けた感じになってますね。
短調→長調の転調は歌謡曲とかに多いイメージありますね。
サビで長調に転調パターンでよく題材に出されるのが、久保田早紀さんの「異邦人」だからかもしれないですね。
ちなみに異邦人は平行調ではなく、同主長調に転調するので「さよならの夏」よりは転調感が強いです。
シークレット転調

最後はシークレット転調ですね。
シークレット転調の曲として代表的な楽曲はAKB48の「ポニーテールとシュシュ」です。
この曲はいたるところで転調しまくりなので、解説するポイント絞らせてもらいます…(苦笑)。
シークレット転調の部分としてはAメロ・Bメロからのサビ部分ですね。
Aメロ・BメロはAメジャーキーで進み、サビでE♭マイナーキーに転調しています。
サビ前の「裸足の水しぶき」が転調への助走部分になっていて、ここからメロディーラインに転調先の音が入っています。
そのため、サビで転調した時には自然な流れになっていて転調した感がありません。すごいですね…。
ポニーテールとシュシュはイントロやら間奏やら大サビやら転調だらけですが、どこの部分も巧みな演出がされていて、躍動感があってテンション上がる楽曲になっています。
AKBグループの曲はすごいですよね。分析していてもわけわかんないです(苦笑)。
転調 まとめ

- 転調とは曲中で調(キー)が変わること指す
- 転調には一時的な転調である部分転調と本格的に転調する本格転調がある
- 関係性の強い近親調に転調することが多い
ぎたすけ
たけしゃん
転調についての解説でした。
弾き語り系のシンガーソングライターだとシークレット転調とかは正直、ほぼ使うことないかなという印象ですね。
一方で近親調への転調などは秦基博さんの楽曲をコピーしていても、割と出てきます。
転調の選択肢があるだけで、作れる楽曲の幅も広がるので少しずつ手を出してみるといいですね。
第1章 音や楽譜の読み方を覚えよう
第2章 キーやスケールを理解しよう
第3章 コード進行のバリエーション
第4章 ノンダイアトニックコードの導入
第5章 応用的な音楽理論の活用
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