パッシングディミニッシュに溢れた弾き語りの世界

こんばんは!たけしゃん(@_tkshan)です。

今日はコード進行「パッシングディミニッシュ」についてです。
昨今はパッシングディミニッシュを取り入れた曲が非常に多く、作曲における常套テクニックとなっています。

そんな、パッシングディミニッシュについて実際の曲を参考にしながら効果や取り入れ方を考えていきましょう。

1. パッシングディミニッシュとは

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パッシングディミニッシュとはコードとコードの間にディミニッシュコードを入れてルート音を滑らかに繋ぐコード進行です。
普通のコード進行の流れに一瞬、不安な音程(ディミニッシュ)が流れてすぐに次のコードに解決します。

メロディーラインが普通でもディミニッシュのインパクトでメロディーが引き立って聴こえます。

ディミニッシュコードについても少し触れておきましょう。

ディミニッシュコードとは「ルート、短3度、減5度、減7度」の4音で構成されたコードです。
Cdimであれば「ド、レ♯、ファ♯、ラ」となります。

ちなみにディミニッシュコードの減7度を短7度に変えると「m7(♭5)」になります。
m7(♭5)は別名ハーフディミニッシュとも呼びます。Cm7(♭5)の構成音は「ド、レ♯、ファ♯、シ」です。

ギターで弾いていると構成音が似ていることからディミニッシュコードと「m7(♭5)」を混合してしまう人がいますが、コード進行における使用用途が若干違います。
しっかりと切り分けて覚えましょう。

2. パッシングディミニッシュの使用例

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それではパッシングディミニッシュの使用例を見て行きましょう。
男性シンガーソングライターの中でも秦基博さん、星野源さんはパッシングディミニッシュをかなり多用されています。代表的な曲には必ずと言っていいほど登場します。

前章の説明で「パッシングディミニッシュとはコードとコードの間にディミニッシュコードを入れてルート音を滑らかに繋ぐコード進行です」と書きました。
コードとコードを繋ぐということは「C→C♯dim→Dm7」という上昇型と「C→Bdim→B♭m7」という下降型が考えられます。

しかし、一般的にパッシングディミニッシュとして用いられるのは上昇型が大半です。
下降型は後述しますが、変形パターンが多いです。

それでは上昇型、下降型のそれぞれを見て行きましょう。

2-1. 上昇型

まずは上昇型です。上昇型のパッシングディミニッシュは腐るほどあります。
今回はその中でも当ブログで散々紹介している秦基博さんと星野源さんの曲で説明をしていきます。

■ひまわりの約束

まずは1曲目「ひまわりの約束」です。
秦さんの曲はかなりの確率で上昇型のパッシングディミニッシュが登場します。

テレビ番組で秦さんが特集される時にも作曲術として「パッシングディミニッシュ」を言及されることが多いくらいです。

さて、話を戻しまして「ひまわりの約束」のどこにパッシングディミニッシュが出てくるのでしょうか。

まず初めの登場シーンはサビ部分の「君のためにできることが~」の部分です。

コード進行は下記の通り(※本人演奏と同じく5カポのコード進行です)


上記のコード進行はサビの始まりからですね。「そばにいたいよ~」ってとこですね。

「C→C♯dim→Dm7」と繋げています。
メロディーラインは普通のダイアトニックコード内なので別に「C♯dim」を省略しても成立します。

省略時との違いを確かめてみましょう。アクセントがついてよい感じに聴こえませんか?

ちなみに秦さんが多用するパッシングディミニッシュは、今の「V→V♯dim→Ⅵm7」です。
ザ・秦進行とでも呼ぶべきか。「アイ」や「鱗」でも登場します。

■SUN

続いて星野源さんのSUNです。
星野源さんの曲もかなりの確率で上昇型のパッシングディミニッシュが登場します。

登場シーンはサビの「君の声を聴かせて~」の部分ですね。
コード進行は下記の通り(※本人演奏は全弦半音ダウンチューニングです)

サビの「君の声を聴かせて」部分ですね。

これも秦基博さんと同様に「V→V♯dim→Ⅵm7」です。やっぱり、一般的なパッシングディミニッシュといえば、この進行でしょうか。

そして、この曲も同様にメロディーラインはダイアトニックコード内の音なのでディミニッシュを省略できます。
省略してみると味気なさを感じますね。

ちなみに同じ、「V→V♯dim→Ⅵm7」ですが秦さんは基本的にはローコードで弾く事が多く、星野源さんは上記のハイコードかつバレーコードで弾く事が多いです。
このあたりは好みでよいのではないかと。

2-2. 下降型

続いては下降型です。
下降型は上昇型に比べて使用例が非常に少ないです。しかも一般的な使用方法だと上昇型のようにルートを半音進行するような使い方ではありません。

それだけに下降型のパッシングディミニッシュを効果的に使用すれば斬新なメロディーラインを作ることができます。

まずはルートが半音下降していくパターンを紹介します。

■フィルム

星野源さんのフィルムです。
ルートが半音下降するタイプのパッシングディミニッシュを使用している曲を色んなアーティストで探しましたが、パッと思いつくのはこの曲しかないですね。
そんくらい上昇型に比べるとレアです。

登場シーンはAメロの「綺麗な景色どこまで本当か」の部分ですね。

演奏コードは下記の通り(※本人演奏は全弦半音ダウンチューニングです)

Aメロの「綺麗な景色どこまで本当か」の部分ですね。コードが4つしか載らないですが、Cdimの後はBm7です。
また、間奏部分も「C♯m7→Cdim→Bm7」という下降進行の繰り返しです。

メロディーラインはまたまたダイアトニックコード内なのでディミニッシュコードを省略できます。
しないほうがいいけどね。

■sign

もう1曲はいきなり変わりましてMr.childrenのsignです。

僕はこの曲が大好きなんですよね。
この曲でも非常に効果的な下降型ディミニッシュを使用しています。

登場シーンはBメロ「ありがとうとごめんねを繰り返して僕ら」です。

演奏コードは下記の通り。

またまた、コードが4つしか載りませんがFdimの後はE7です。

これまでのパッシングディミニッシュと異なりルートが半音違いで進行していません。しかし、下降型ディミニッシュではこちらの使い方が一般的です。
一般的といっても活用例少ないですけどね。

小難しい理論を語ると、この手法は一般的にはダブルドミナント(ドッペルドミナントとも呼ぶ)と呼ばれます。
通常ダブルドミナントというと「Ⅱ7→V7」といったようなドミナントを2連続で繋ぐコード進行を指します。

実際は下降型ディミニッシュだと「V♯dim→V7」という流れですが、このV♯dimがⅡ7とほぼ同じ構成のコードなので代理コードとして成立するというわけです。
つまりはダブルドミナントと同じような効果ということです。

signの場合だと「Ⅵ♯dim→Ⅵ 7」という流れですね。E7がセカンダリードミナントになっており、FdimはB7の代理コードという取り扱いです。
うーん、ここまでくると中々に複雑。

このメロディーラインもこれまでと同様にFdimを省略しても成立します。
省略するとしないとではインパクトが全然違いますよね。

3. まとめ

今日は音楽理論「パッシングディミニッシュ」の解説でした。

探してみると上昇型のパッシングディミニッシュは至る曲で発見できます。
それだけ、J-popに溶け込んでいる進行です。

なので、最初は上昇型のパッシングディミニッシュを使っただけで「お!なんかプロっぽいぞ!」と喜んで多用してしまいます。
最初はいいですが、曲をいっぱい書いていく内に既存の曲との違いが出なくなってしまいます。

特に弾き語りにおいては今、最も旬な秦基博さん、星野源さんが多用していることもあり、パッシングディミニッシュを多用してもオリジナリティは出ません。
むしろ、あの二人の紛い者扱いされてしまう恐れもあります。

下降型ディミニッシュやその他の有効なコード進行と織り交ぜて工夫しましょう。
パッシングディミニッシュだとメロディーラインはダイアトニック内から動かないのが定石ですが、あえてディミニッシュ内の音程を加えてみるのもよいでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

たけしゃん

アコースティックギターによる弾き語りを中心に音楽を愛するアラサーのサラリーマン。20代はギターを片手にシンガーソングライターとして東京都内で音楽活動に精励。
30代になって音楽と仕事(サラリーマン)の両立を模索中。