iOSでマイクの音が片方しか聞こえない現象と対策を解説する

UR12とiPhone7を接続した

ぎたすけ

iPhoneで外部マイクってそんな使うことあるのか?

たけしゃん

最近はiPhoneで動画撮影、ライブ配信、音楽制作やる人も増えたから、この話は結構出るんだよね

 

この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
プロフィール詳細お問い合わせ

iPhoneアプリのモノラルとステレオ

iPhoneを使っているところ

まずはモノラルとステレオについて簡単に説明をしておきます。

それぞれの特徴を簡潔に箇条書きでまとめると以下の通り。

モノラル
ステレオ
  • 1チャンネルで収録された音声
  • LとRで同じ音が出る
  • モノラル録音はマイク1本でOK
  • 2チャンネルで収録された音声
  • LとRで異なる音が出る
  • ステレオ録音はマイク2本必要

普段、音楽を聴いていてもギターが左から、ベースが右から聴こえる…などステレオ環境に慣れてるはずです。

普通に音楽を聴く分にはオーディオ設定からユーザーが任意でモノラル・ステレオを切替可能です。

iPhoneのオーディオ設定

※「設定」 >「アクセシビリティ」>「オーディオ/ビジュアル」から変更可能

ところが、オーディオを録音・配信するときは使用するアプリによって録音形式がモノラルかステレオか変わる上にユーザー側で変更はできません。

補足

GarageBandなどの音楽制作ソフトは例外でモノラル・ステレオ録音を任意で切替できます

そして、最近のiPhoneの内蔵マイクや純正イヤホンマイクがステレオなので、ステレオ仕様のアプリが多くなっています。

一方でオーディオインターフェイスは大半がモノラルです。USBマイクはモノによりますが、ステレオが多いです。

モノラルだと、どうなるのかというと…。

外部マイクを繋いで録音すると、片耳からしか音が出ないという現象が起こるわけです。

オーディオインターフェイスで言うと、1chのマイクはLから2chのマイクはRからしか聞こえない状態になります。

UR22CをiOSのステレオアプリで使うと1chはLから、2chはRからしか聞こえない

そもそも1chしかないオーディオインターフェイスだと、Lからしか音が出ません。

ライブ配信をやっているときにリスナーさんから「片方からしか音が聴こえないよ」と言われるのは大抵はこの現象です。

面倒なのはアプリによって、仕様が異なることなんですよね。

例えばライブ配信アプリでも、モノラル環境だと片耳からしか音が出ないアプリと両耳から音が出るアプリが存在するんですよね。

ちなみにユーザーが多いであろう、17Live、インスタ、LINE、TikTokがモノラル仕様なので、あんまりこの問題は知られてなかったりします。

audio technica AT-UMX3のバナー(PC)PR

主要アプリのモノラル・ステレオ

UR12とiPhone7を接続した
アプリ仕様
17Liveモノラル
nanaモノラル・ステレオ切替可能
nanaパーティーステレオ
Poco-chaステレオ
インスタライブモノラル
LINEライブモノラル
※1chしか認識しない
ツイキャスステレオ
YouTube Liveステレオ
TikTokモノラル
※1chしか認識しない
GarageBandモノラル・ステレオ切替可能
iOSのビデオステレオ
補足

上表の調査は2021/2~3にかけておこなったものです

音楽で使いそうなアプリを検証してみた結果は上記の通り。

ちなみに僕は音楽系しかやってませんが、サウンドハウスさんがZOOMとかSKYPEなどでも検証してます。Web会議などの用途の方は下の記事を参照ください。

記事を見るとZOOMは1chだけ認識して両耳から音が出ますが、それ以外の通話系アプリは通話モードになってしまい強制的にiPhone内蔵マイクに切り替わる仕様ですね。

ちなみにですが、音楽講師の方でオンラインレッスンをSKYPEでやってる人は注意してください。

PC版のSKYPEは1chだけ認識して両耳から音が出ますが、iOS版は通話モードに強制切替されるのでオーディオインターフェイスや外部マイクを認識しません。

生徒さん側がオーディオインターフェイスから音が出せないというケースはiOS版SKYPEを使ってる可能性が高いです。

また、ライブ配信系のアプリは1chと2ch、もしくは1chしか認識しないものばかりです。

そのため、多チャンネルのオーディオインターフェイスを使ってる方は楽器の接続チャンネルに気を付けてください。

ぎたすけ

えー、すげー面倒くさいな!

たけしゃん

そうなんだよ。僕も色んな人の相談を受けてて知ったんだけど、めちゃくちゃ面倒なんだよ

PC版のアプリと仕様が異なる

MDS-3にコンデンサーマイクをつけたところ

注意してほしいのが、結構なアプリがiOS版とPC版で仕様が異なることです。

代表例がYouTube Liveとツイキャスで、下記のようになってます。

PC版
iOS版
  • モノラルで両耳から音が出る
  • ステレオで1chはL、2chはRから出る

ぎたすけ

え、PC版だと問題ないんだな

たけしゃん

そうだね。逆に普通にやるとステレオにできないってデメリットはあるけど

また、PC版の場合はOBS STUDIOが使用できるので、大抵のアプリが何ともでもなるんですよね。

補足

OBS STUDIOは任意で入力をモノラル・ステレオに切替できる

なので、PCで配信する人はモノラル・ステレオ問題で困ることはほとんどないです。

ちなみにPC版ツイキャスは通常配信がモノラルで、OBSなどを使ったツール配信はステレオ仕様になります。

 

ステレオ仕様アプリの対処方法

AirPods pro

じゃあ、ステレオ仕様のアプリで外部マイクの音を両耳から流す方法はないのか?というと、いくつか対策はあります。

僕がざっと思いつく対策は以下の3パターン。

  1. マイクを2本使う
  2. ミキサーを介してステレオ入力にする
  3. ステレオ入力可能な機種を使う

①と②は機材を足してステレオにしてしまう力技です。

なので、手軽なのは③のステレオ入力可能なオーディオインターフェイスやUSBマイクを使うことですね。

また、いっそのこと諦めてiPhone内蔵マイクで録るというのも有効な選択です。

特にライブ配信やオンラインレッスンの場合はそこまで音質が重視されるわけではないので、割り切ってiPhoneマイクでやるのが良いかなと思います。

とはいえ、高音質でやりたいと考える人も多いと思うので、先ほどの3パターンの対処方法を掘り下げて解説していきます。

なお非常に残念な話ですが、1chしか入力がないオーディオインターフェイスについては対処方法はありません。

買い替えるか、モノラル仕様のアプリで活動しましょう。

対処方法の目次

マイクを2本使う

AKG C5とC7

非常にシンプルな力技です…(笑)。

1chがL、2chがRからしか音が出ないのだから、マイクをそれぞれに接続して同じ音を録ってしまえばいいという考えですね。

注意してほしいのは、マイキングです。

1本をボーカル寄り、1本をアコギ寄りなど分けてセッティングすると、結局はボーカルがLに寄って、アコギがRに寄ってしまい音が分離するので、2本ともセンター付近にセットしましょう。

目次に戻る

ミキサーを介してステレオ入力する

1

力技②は間にミキサーを挟む方法です。

ミキサーにマイクや楽器などをすべて接続して、ステレオアウトとオーディオインターフェイスの1ch、2chを接続することでステレオ入力させます。

ステレオ仕様をちゃんと活かすなら、この手法がベストです。

ミキサーなら、PANの設定ができるものが多いのでボーカルや楽器の定位を整理できるからです。

PAN

各チャンネルの音をステレオの左右どのへんに配置するか細かく設定できる機能

お手軽さは下がりますが、色んな機能が使えるので音の観点ではベストな方法かなと感じます。

目次に戻る

ステレオ入力可能な機種を使う

UR22Cの正面から撮った写真

オーディオインターフェイスの中にはステレオ入力可能な機種が一部存在します。

定番オーディオインターフェイスの中でステレオ入力可能なのはSterinberg UR22CとYAMAHA AG03MK2です。

UR22C

UR22Cの正面から撮った写真

YAMAHA AG03MK2

YAMAHA AG03MK2 ブラック

この2機種はループバック機能をONにすると、ステレオ入力に切り替わります。

UR22Cの場合はループバックをモノラル出力にするかステレオ入力にするか、本体ボタンで選択できます。

UR22Cは本体ボタンでモノラル・ステレオの切替ができる

ループバックをONにしないといけませんが、AG03MK2もUR22Cも接続してる機器の音全てをループバックさせるか、入力音のみループバックさせるか選択できるので便利です。

iOSのdspmix画面

※UR22Cのスマホアプリ

  • Live Cast…UR22Cの入力音とPCの音の両方がループバック
  • Voice Chat…UR22Cの入力音のみループバック

実際に僕もUR22Cを使って、ステレオ仕様のnanaパーティーでライブ配信してます。

公式のガイダンス

たけしゃん

ちなみにすべてのオーディオインターフェイスがループバックでステレオ入力になるわけではありません。
モノラルのままの機種の方が多いみたいです

ステレオ入力可能なオーディオインターフェイスを購入するのが追加の機材購入も不要で、一番お手軽な方法かなと思います。

そんなわけで、僕はボーカルシンガーソングライターからのオーディオインターフェイス購入相談では、いつもUR22Cを推してます。

iOSのdspmix画面

※UR22Cは専用スマホアプリでエフェクト調整もできる

DTMerの方は配信やらない人が多い上に、PC持ってる人が大半なので他でも良いんですが、ボーカル・シンガーソングライターはPCがなくてライブ配信する人が非常に多いのでUR22Cがベストだと思ってます。

また、USBマイクは多くがステレオ入力になってます。

例えば、AKG Lyra-Y3、audio technica AT2020USB+などがステレオ入力対応機種です。

AKG Lyra-Y3をマイクアームにつけた正面から撮った画像

Lyra-Y3は音質も良好でライブ配信、Web会議など色んな用途で使えるマイクです。

 

iPhoneのアプリと外部マイク まとめ

ライブ配信しているところ
  • iPhoneのアプリはモノラル仕様とステレオ仕様がある
  • ステレオ仕様だと外部マイクの音は片耳しか音が出ない
  • 手っ取り早い対策はステレオ入力に切替できるオーディオインターフェイスやUSBマイクを買うこと

ぎたすけ

ひぇ~、結構面倒な話なんだな。全然知らなかった

たけしゃん

僕も外出自粛でスマホ配信やる人が激増して、相談受けてて知ったんだよね。スマホだとやっぱり色々あるよね

iPhoneに外部マイクを繋ぐと片耳からしか音が出ない問題についての解説でした。

最近はこの問題についても、メーカー側で対応できる機種の開発してるっぽい感じがしますね。

ステレオ入力可能な機種が徐々に増えてますし、メーカーによっては既存機種のファームウェアをスマホ配信向けにアップデートしたりしてます。

とはいえ、2021年現在は対応できる機種の方が圧倒的に少ないので、事象を把握して購入機種を検討するのが良いですね。

関連記事

MOTU M2をiPhoneで使っているところ【2024年】iPhone向け オーディオインターフェイスおすすめランキングベスト10。選び方や注意点をiOSで配信している筆者が徹底解説 AUDIENT EVO4 駆動しているところ。Macbookとセットで撮影オーディオインターフェイス おすすめランキング ベスト10【2024年】DTM、歌ってみたに適した機種を徹底解説 ライブ配信している部屋ライブ配信に必要な機材とは。歌・ゲーム配信でおすすめの製品を紹介 コンデンサーマイクを10本並べた画像コンデンサーマイク おすすめランキングベスト10【2024年版】 〜プロアーティスト使用マイクも紹介〜 LEWITT LCT240 PRO 付属のショックマウントを取付て左側面から撮影安いコンデンサーマイク おすすめランキングベスト5【低予算でコスパ最高の製品を紹介】 DTMをやっているデスク弾き語り配信に必要な機材の選び方とおすすめ製品を解説