ループバックを使いこなそう。主要なオーディオインターフェイスを例に使い方を解説

ループバック機能の説明図解

ぎたすけ

ループバックって配信でBGM流すための機能だよな?

たけしゃん

そうだよ。最近はBGM以外でも色んな使われ方しているから細かく解説していくね
この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
そのほか雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、IPC VOICE STUDIOの公認ボイストレーナーの資格を持っています。
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ループバックとは

ループバック機能の説明図解

ループバックとは接続している端末の音をオーディオインターフェイスのINPUTにループさせる機能です。

ループさせることで、PCで流している音楽などをマイクの音声と一緒にライブ配信アプリに送ることが可能になります。

主な使い方はPCで再生したBGMや効果音をライブ配信に載せることです。

ライブ配信している男性

無音で喋るよりはBGMが流れている状態で喋るほうが華やかなので、BGM流す人が多いですよね。

PCで流したBGMをライブ配信に載せるのは一見簡単そうですが、実際はOS標準の機能だけでは難しいです。

通常のルーティングでは配信にBGMを載せられない

なので、オーディオインターフェイスのソフトウェアであったり、OBS STUDIOなどの外部ソフトでルーティングを変える必要があるわけです。

外部ソフトでルーティングを追加して、BGMの音を配信に載せる
点線部分のルーティングを外部ソフトで追加する

その最もお手軽な手法がオーディオインターフェイスのソフトウェアを使ったループバック機能です。

ループバックのON/OFFはソフトウェア(アプリ)で行うのが一般的です。

iOSのdspmix画面
Steinberg UR22CのiOS用アプリ

YAMAHA AG03など本体にON/OFFスイッチがついている機種もありますが、数は少ないです。

AG03のループバック機能

最近ではライブ配信の急激な普及もあって、ループバック機能は色んな機種に実装されています。

一方で1万円未満と高価格帯のオーディオインターフェイスには、ループバック機能はないことが多いので注意しましょう。

補足

高価格帯の製品はスタジオ制作に特化しており、配信用途では作られていないものが多い

ループバック機能の説明は以上で終了です。

ここからは実際に配信で使っていくときの話だったり、BGMを流す以外の色んな使い方を解説していきます。

 

ループバックの活用方法

iOSのdspmix画面

ループバックというとライブ配信にBGMを流すための機能と認識されています。

実際はここ数年で色んな使われ方をしており、よくある使い方は下記の3種類です。

特にスマホでのライブ配信が急激に普及した関係で、③でループバックを利用している人はかなり多いです。

本章ではそれぞれを細かく解説していきます。

PCで再生したBGMを配信で流す

外部ソフトでルーティングを追加して、BGMの音を配信に載せる

まずはPCの音を配信に載せる、ループバックの王道的な使い方ですね。

トークの後ろで流すBGMだったり、伴奏を流して歌うカラオケ配信(歌枠)などで活用されています。

ただ、ここ数年でこの使い方をする人は大分減った印象はあります。

というのも、オーディオインターフェイス側にスマホを繋いでBGMを流している人が多いんですよね。

スマホをINPUT2に繋いでBGMを流すことでループバックは不要になる

スマホから流す利点はBGMを止めるときにPC側を操作しなくていいことです。

PCは配信で使っているため、スマホでBGMを操作できるとオペレーションが楽になります。

ライブ配信用途で作られているAG03などはスマホを繋げる想定で端子が用意されてます。

YAMAHA AG03の音量フェーダー
AUX端子にスマホを接続可能
YAMAHA AG03のINPUT2のLR端子にオーディオ機器をつなげる
INPUT2/3もステレオで各種機器を接続可能

そのため、AG03を使っている人はループバックよりはスマホを直で繋いで流している人が多いイメージですね。

補足

スマホで配信する人は逆にPCをAUXやINPUT2/3に繋いでます

また、カラオケ配信においてもOBS STUDIOの使用が一般的になってきています。

OBS STUDIO

OBS STUDIOではデスクトップ音声という名称でPCの音を配信に流せる機能がついています。

OBSは配信に便利な機能がたくさんあるので、OBSで映像・サウンドをまとめて管理する人が増えてますね。

更には、最近だとnanaやPokekaraなどアプリ側から伴奏を流せるカラオケアプリも人気が高いです。

nanaの録音画面
nanaの画面

そんな背景もあって、BGMやオケを流す用途でのループバックは年々需要が低くなってます。

一方でループバックは簡単なので、手軽に配信でBGMを流したい人には今でも使いやすい機能ではあります。

DSPのリバーブをかけた音声を配信で流す

UR22C EQ・コンプレッサー操作パネル iPhone版
UR22C専用アプリのエフェクト調整画面

最近のオーディオインターフェイスはエフェクト機能を内蔵しています。

このオーディオインターフェイス単独で使えるエフェクトをDSPエフェクトと呼びます。

DSP

音響機器に内蔵されている、エフェクト処理などに適したチップ。PCでいうCPUみたいなもの

DSPエフェクトを活用して配信に流す音を細かく調整することが可能になっています。

iOSのdspmix画面
UR22CのDSPエフェクト調整画面

しかし、ほとんどのメーカーがリバーブだけはモニター専用になっており、配信で流す音にかけられないんですよね。

モニター専用

ヘッドホン端子に返す音にのみエフェクト適用される仕様のこと

そこで、リバーブがかかったモニターの音を配信に流すためにループバック機能を使います。

ループバックを使って、DSPリバーブがかかった音をライブ配信に載せる

ループバックをONにすると、モニターの音もINPUTとミックスされるので、ライブ配信にもリバーブのかかった音が載ります。

たけしゃん

僕もスマホからのライブ配信はループバックでリバーブのかかった音を配信に出してます

ステレオ入力にするためにループバックを使う

UR22Cの正面から撮った写真

ループバックをONにすると全ての音をステレオミックスして送る仕様に代わる機種があります。

YAMAHA AG03とSteinberg UR22Cがループバックでステレオミックス仕様になる機種です。

このステレオミックスの仕様はiOSでのライブ配信で役立ちます。

iPhone 13 Pro

iOSではアプリによって、モノラルとステレオ仕様のものに分かれます。

ステレオのアプリだと、INPUT1はLからINPUT2はRから音が出力されてしまいます。

UR22CをiOSのステレオアプリで使うと1chはLから、2chはRからしか聞こえない

そこで、ループバックを使ってステレオミックスに切り替えるとLR両方から同じ音が出るようになるわけです。

僕が2021/2に調べた主要アプリのモノラル・ステレオの仕様はこちら。

アプリ名 状態
17Live モノラルで両耳から音が出る
nana モノラル・ステレオを任意で切替可能
nanaパーティー ステレオで1chはL、2chはRから出る
Poco-cha ステレオで1chはL、2chはRから出る
インスタライブ モノラルで両耳から音が出る
LINEライブ モノラルで両耳から音が出るが、1chしか認識しない
ツイキャス ステレオで1chはL、2chはRから出る
YouTube Live ステレオで1chはL、2chはRから出る
TikTok モノラルで両耳から音が出るが、1chしか認識しない
GarageBand モノラル・ステレオ任意で切替可能
iOSのビデオ ステレオで1chはL、2chはRから出る

ちなみにループバックを使ってもステレオミックスにならないオーディオインターフェイスのほうが多いです。

例えば、UR22Cはステレオミックスになりますが、UR12はならないので注意してください。

UR12とiPhone7を接続した

たけしゃん

僕もnanaパーティーやるときはUR22Cのループバックを使ってステレオミックスにしてます
 

ループバックでハウリングさせない方法

ATH-EP1000IR

最後はループバックに付き物のハウリングについてです。

ループさせる関係で気を付けないと音が無限ループして、「キィィーン!」と強烈なハウリングが発生します。

本章ではループバック絡みでハウリングが起きる箇所と対策を解説していきます。

ダイレクトモニタリングを使う

Cubaseのモニター機能をOFFにしよう

まずは基本的なところで、ソフトやアプリのモニター機能は全てOFFにしましょう。

モニター機能がONになっていると、無限ループが発生してハウリングします。

ライブ配信の音をモニターONにすると無限ループが発生してハウリングが起きる

ループバックをONにする場合はオーディオインターフェイスのダイレクトモニタリングを使いましょう。

ダイレクトモニタリングのルーティング図

ダイレクトモニタリングは接続する端末を経由せずにショートカットしてモニターを返す機能です。

大抵のオーディオインターフェイスに搭載されています。

Steinberg UR12 前面右
UR12は前面にスイッチがある

ちなみにライブ配信アプリはモニター機能がないものが多いため、あまり気にしなくても大丈夫です。

一方でツイキャスなどコラボ機能があるものはコラボした途端にモニター機能が強制ONになってハウリングを起こします。

補足

コラボ相手の声を聞けるようにするためにモニター機能がONになる

コラボ配信する際は後述の<複数人と会話するケース>を参考にしてください。

アプリで伴奏を流して歌うケース

nanaパーティーの音量調整
カラオケ配信できるnanaパーティー

続いてはアプリで伴奏を流して歌うケースです。

Pokekaraやnanaといったオンラインカラオケ的なことができるアプリが対象です。

アプリ側から伴奏が流れる場合は、ループバックをONにすると伴奏が無限ループしてハウリングします。

カラオケアプリでループバックをONにすると伴奏ごとループする

なので、カラオケ系のアプリではループバックを切りましょう。

しかし、nanaパーティーなどはループバックでステレオミックスしないと片耳からしか音が出ません。

そこで使えるのが「INPUTだけステレオミックス」させる機能です。

AG03のループバック機能
AG03はINPUT MIXでINPUTだけミックス可能

INPUTだけステレオミックスさせればアプリ側の伴奏はループせずに、自分の歌声はステレオで入力できます。

INPUTはモニターの音とミックスされてるので、DSPリバーブのかかった音も配信アプリに送れる優れものです。

AG03以外にもSteinberg UR22Cにも同様の機能が搭載されています。

iOSのdspmix画面
項目内容
Live CastINPUTと端末の音を
全てステレオミックス
※普通のループバック
Voice ChatINPUTに入力された音のみ
ステレオミックス
注意

ファームウェアが古いとループバックON/OFFしか選べないので、アップデートしてください

この機能はすごく便利ですが、搭載されている機種はAG03とUR-Cシリーズくらいですね。

たけしゃん

僕もnanaパーティーはVoice Chatでやってます

複数人と会話するケース

AT2040と別売りのショックマウントを組み合わせた画像2

ツイキャスのコラボ配信やDiscordなど相手の声を聴く必要があるケースです。

ループバックをONにしていると、相手の声が無限ループしてハウリングします。

コラボ配信ではループバックをONにすると相手の声もループしてハウリングする

なので、ループバックをOFFにするか、INPUTだけループバックさせる必要があります。

このパターンはiOS版ツイキャスでコラボ配信をやってる方によくありがちです。

ツイキャスはiOSだとステレオ仕様なので、AG03やUR22Cの「INPUTだけステレオミックス」機能を使うのがベストです。

AG03のループバック機能
INPUT MIXを選択
iOSのdspmix画面
Voice Chatを選択

なお、PCの場合はループバックをOFFにするか、OBS STUDIOを使えば解決します。

OBS STUDIOのデスクトップ音声はループバックと似てますが、実際はループさせてないのでハウリングしません。

補足

デスクトップ音声は仮想デバイスを作って、PCの音を仮想デバイス経由でライブ配信に送っている

まあ、やっぱりスマホ配信においてはAG03とUR22Cの便利さが際立ちますね。

UR22Cは人気ありすぎて、2020年からずっと品薄&価格高騰が続いてますが、やっぱり便利なんですよね。

 

ループバック まとめ

ループバック機能の説明図解
  • ループバックは端末の音をINPUTにループさせる機能
  • ライブ配信でBGMを流すのによく使われている
  • 最近ではスマホ配信に合わせて色んな使われ方をしている

ぎたすけ

いろいろ使われているけど、別にループバック関係なくね?ってのも多かったな

たけしゃん

たしかに!ループバックの一部機能を利用してるだけで、本来のループバックとは違う使われ方が増えてきたよね

ループバックの解説でした!

僕自身も読者さんの相談に答えるために色々試してたら詳しくなったのですが、大分奥が深いですよね。

スマホでライブ配信したい人はループバックでやれることを理解したうえで、オーディオインターフェイスを選べるとベストですね。

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