Universal Audio SC-1をレビュー。マイク・モデリングを搭載した10万円未満で買えるコンデンサーマイク

Universal Audio SC-1

ぎたすけ

マイク・モデリングって何?色んなマイクの音に変えられるってこと?

たけしゃん

SC-1はプラグインを使って、有名マイクの音をシミュレートできるようになってるんだよ
補足

フックアップ様にデモ機をお借りしました

SC-1の評価
音質
 (4.5)
使いやすさ
 (4.5)
価格(79,200円程度)
 (4)
総合評価
 (4.5)
メリット
デメリット
  • フラットで使いやすい音
  • マイク・モデリングで音を変えられる
  • プラグインで録音後にサウンドを調整できる
  • Sphereシリーズよりはモデリングの選択肢が少ない
  • 付属品がスタンドマウント

ボーカル

アコースティックギター

補足

記事後半の<SC-1をレビュー>でマイク・モデリングを使ったサンプル音も聴けます

この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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Universal Audio SC-1

Universal Audio SC-1 正面
マイクタイプラージダイアフラム
コンデンサーマイク
指向性カーディオイド
周波数特性20~20,000 Hz
感度-39 dB
(0 dB = 1V / Pa @ 1 kHz)
最大SPL145 dB (1% THD @ 1 kHz)
接続端子XLR
重量363g
公式HP

2023年11月に発売されたUniversal Audioのコンデンサーマイク SC-1

無償で使えるHemisphere マイク・モデリング・プラグインで、有名マイクのサウンドを再現できるマイクです。

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン モデリング選択画面
8種類のマイクを選択可能

また、録音後にプラグインでマイクの距離感や軸を調整することができます。

価格帯も79,200円とそこまで高くないため、宅録用にハイクオリティなマイクが欲しい方にもピッタリです。

まずはSC-1の製品仕様から解説していきます。

仕様を飛ばして、レビューを読みたい方は<SC-1をレビュー>を参照ください。

ラージダイアフラム・コンデンサーマイク

Universal Audio SC-1 ダイヤフラム部分

SC-1はラージダイアフラムのコンデンサーマイクです。

広いダイナミックレンジと優れたウルトラリニア回路でクリアかつ解像度の高い音を収音できます。

Universal Audio SC-1 下から撮影

最大SPLも145 dBと高いため、ギターアンプやドラムなどの大音量楽器も問題なく対応できます。

ちなみにSC-1はUniversal AudioのStandard シリーズ・マイクに属する製品です。

同シリーズにはダイナミックマイクのSD-1、ペンシル型コンデンサーマイクのSP-1もあります。

UNIVERSAL AUDIO SD-1
SD-1
UNIVERSAL AUDIO SP-1を横に並べた
SP-1

Hemisphere マイク・モデリング・プラグインも、Standard シリーズ・マイクに対応しており、選択画面でマイクを選ぶようになっています。

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン マイク選択画面

モデリングできるマイクもそれぞれ異なっており、SC-1は有名コンデンサーマイクをモデリングできるようになっています。

カーディオイドマイク

単一指向性の図解

SC-1は正面の音を中心に拾うカーディオイド型のマイクです。

ボーカル、スピーチ、楽器録音に適した指向性です。

他の指向性には対応していませんが、ボーカルやギター録音であれば、カーディオイドだけで問題ありません。

なお、同じUniversal AudioのSphereシリーズはプラグインで指向性を変更できましたが、SC-1は非対応です。

Universal Audio Sphere LX 斜めから撮影
Universal Audio Sphere LX

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン U87のモデリング

SC-1の目玉機能は無償で使えるHemisphere マイク・モデリング・プラグインです。

プラグインを介して、有名マイクのサウンドを再現できます。

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン モデリング選択画面

選択できるマイクはNeumann、AKG、SONYなどの有名マイク 8種類です。

SC-1自体のサウンドはフラットで原音に忠実なタイプなので、モデリングで色をつけていくというイメージですね。

補足

各モデリングマイクの特性やパラメーターの意味は公式マニュアルを参照ください

また、専用プラグインはモデリングだけでなく、マイクの距離感や軸を調整することもできます。

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン TLM103のモデリング
画面下部のノブでサウンド調整可能
項目概要
FILTERローカットやPADがかかる
※効果は選択マイクによって異なる
PROXIMITY近接効果を仮想的に調整する
AXISマイク軸の角度を仮想的に調整する

マイキングをシミュレートしてサウンドを変えるので、EQとは異なる自然な変化が得られます。

録音した後でも変化させられるので、かなり便利です。

この専用プラグインはSC-1購入後に製品登録するとダウンロードできます。

なお、オーディオインターフェイスにApolloシリーズを使用している方は、ApolloのDSPでも専用プラグインを使うことができます。

Universal Audio SC-1とApollo solo

Apolloと一緒に使うことで、リアルタイムでモニタリングしてもレイテンシーがほぼ発生しないというメリットがあります。

もちろん、PCのCPUを使ったネイティブ・プラグインとしても動作するので、他のオーディオインターフェイスでも利用できます。

たけしゃん

プラグイン自体は軽いので、僕の環境ではネイティブでもレイテンシーはほぼありませんでした

付属品

Universal Audio SC-1 付属ケースを上から撮影
  • マイクスタンドマウント
  • 5/8インチ – 3/8インチ・スレッドアダプター
  • キャリングケース

SC-1の付属品は上記3点です。

マイクスタンドとの接続には、専用のスタンドマウントが用意されています。

Universal Audio SC-1 付属のスタンドマウント

スタンドマウントの中には、5/8インチと3/8インチを変換できるアダプタ(ねじ)が内蔵されています。

また、専用のキャリングケースが付属しています。

Universal Audio SC-1 付属のキャリングケース
Universal Audio SC-1 ケースの中身

サイズ感はやや大きいですが、衝撃にも強く、ケーブルなども収納できるので、収納・携帯に便利なケースです。

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Universal Audio SC-1をレビュー

Universal Audio SC-1 右から撮影
SC-1の評価
音質
 (4.5)
使いやすさ
 (4.5)
価格(79,200円程度)
 (4)
総合評価
 (4.5)

それでは、SC-1を細かくレビューしていきます。

まず、メリットとデメリットを箇条書きでまとめると以下の通りです。

メリット
デメリット
  • フラットで使いやすい音
  • マイク・モデリングで音を変えられる
  • プラグインで録音後にサウンドを調整できる
  • Sphereシリーズよりはモデリングの選択肢が少ない
  • 付属品がスタンドマウント

マイク自体の性能がすごく良いと感じました。

プラグインが目玉機能だとは思いますが、録った音をそのままでも十分良いです。

逆にプラグインは便利ではあるものの、Sphereシリーズと比べると調整できる自由度は低くなっています。

レビューでは、その点も細かく触れています。

低音から高音まで滑らかで良い音

Universal Audio SC-1 左から撮影

SC-1でボーカル、アコギを録音してみました。

フラットで素直な音です。低域から高域まで滑らかで、とても歌いやすかったです。

ボーカル

アコースティックギター

個人的には、別にプラグインなくて良いかなと思うくらいにSC-1の音がしっくりきました。

ボーカルから弦楽器、アンプ、ドラムなど色んな用途で使えそうなマイクです。

ハイ上がりの特性が好きな人は、物足りなさを感じそうですが、そのへんは次章のマイク・モデリング・プラグインで補えます。

プラグインでマイク特性を変えられる

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン モデリング選択画面

SC-1はフラットな特性のマイクですが、Hemisphere マイク・モデリング・プラグインで音質を変えられます。

モデリングできるマイクも中音域や高音域が少し持ち上がるタイプなど、SC-1とは違うものが用意されています。

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン TLM103のモデリング
LD-103は中高音域がふくよか

サンプル音源を用意したので、聴き比べてみてください。

ボーカル(原音)

ボーカル(LD-87 Vintage)

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン U87のモデリング

ボーカル(LD-12)

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン C12のモデリング

アコースティックギター(原音)

アコースティックギター(LD-251)

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン LD251のモデリング

アコースティックギター(LD-414US)

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン C414のモデリング

同じラージダイヤフラム型コンデンサーマイクのモデリングなので、そんなに音は変わらないですね。

とはいえ、微妙に特性が変化しているのはわかります。

また、特性が微妙に変化する程度で、原音が損なわれるようなこともないので扱いやすい点が良いですね。

そして、Hemisphere マイク・モデリング・プラグインはマイクの距離感や軸も調整できます。

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン U47のモデリング
画面下部のノブで調整できる

こちらもアコギのサンプル音を用意したので聞いてみてください。

アコースティックギター(LD-87 Vintage)

PROXIMITY -100

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン マイク距離を―100にした

AXIS 180°

Hemisphere マイク・モデリング・プラグイン AXISを180度にした

PROXMITYは近接効果の調整値となっており、-100だと低域が薄くなり、マイク距離が遠くなったことがわかります。

近接効果

マイクを録音対象に近づけるほどに低音域が膨らむ現象のこと

そして、AXISはマイクの軸を回転させるものです。

180°にするとマイク正面で音を捉えていない感じになりますね。マニュアルでは約45°以下で調整するのが有効と記載があります。

このパラメーターはマイキングをシミュレートして調整しているので、EQではできないような自然な調整ができます。

また、プラグインなので録音後でも調整可能なため、アコギ録りではかなり便利な機能です。

しかも、Hemisphere マイク・モデリング・プラグインはCubaseなどのDAW上で動作するので、とても便利ですね。

Sphereシリーズとの比較

Universal Audio Sphere LX 正面
Universal Audio Sphere LX

Universal AudioはSC-1が属するStandard シリーズ・マイクのほかにSphereシリーズがあります。

Universal Audio Sphere LXとSphere DLX
Sphere LXとSphere DLX

Sphereシリーズも有名マイクをモデリングできるSphere プラグインが用意されています。

Sphere mic collectionでPROXIMITYをデフォルトにした
Sphere mic collection

比較してみると、Sphereシリーズのほうが色々と便利です。

Universal Audio SC-1
SC-1
Universal Audio Sphere LX
Sphere LX
Universal Audio Sphere DLX
Sphere DLX
マイク
モデリング
8モデル20モデル38モデル
指向性カーディオイド9種類9種類
ステレオ収録××
PAD
スイッチ
なしなし-20dB
実売価格7.9万円程度15.4万円程度23万円程度

価格差もかなりあるので、当然と言えば当然ですね。

両方借りて使ってみた印象では、自分は以下のように感じました。

  • ボーカル録音だけならSC-1のほうがコスパが良い
  • アコギ録音ならSphereシリーズのほうが断然便利

まず、ボーカル録音だけであれば、そこまでの差はないと思いました。

やはり、音の質感などはSphereシリーズのほうが良いと感じますが、SC-1でも十分なクオリティです。

Universal Audio SC-1 レコーディングセットを正面から撮影

モデリングできるマイクの種類もボーカル録音であれば、SC-1で十分だなと感じました。

一方でアコギ録音に関しては、Sphereシリーズのほうが断然便利です。

Sphereシリーズの場合はモデリングできるマイクの種類が豊富で、ダイナミックマイクやペンシル型マイクも選択できます。

Sphere mic collection 180のマイク選択画面1
Sphere DLXのマイク選択画面①
Sphere mic collection 180のマイク選択画面2
Sphere DLXのマイク選択画面②

ダイナミックマイクやペンシル型マイクを選択すると、ちゃんと音の質感もそれっぽい音に変わります。

録音後にコンデンサーマイクからダイナミックマイクに差し替えられるので、アコギ録音ではとても便利です。

また、Sphere DLXだとステレオ収録にも対応できるため、録った後のマイクポジションの調整も自由度が高いです。

Sphere mic collection 180 ペンシルマイクのSD-451を選択

このへんもアコギ録音では、とても便利なんですよね。

逆にボーカルの場合はモノラル録音ですし、録音後にコンデンサーをダイナミックにしたいこともあまりないと思うので、SC-1で十分かなと感じました。

SC-1は実売価格も79,200円と比較的、手が出しやすい価格帯なのも良いですね。

1本のマイクで様々な質感の音を使いたい方におすすめです。

 

Universal Audio SC-1 まとめ

Universal Audio SC-1 付属ケースを上から撮影
  • 専用プラグインで有名マイクをモデリングした音にできる
  • SC-1自体はフラットで、低域から高域まで滑らかな音
  • 専用プラグインはDAW上でも動作するので便利

ぎたすけ

今時のマイクってすごいんだな。録音後にこんな自然に音が変えられるとは…

たけしゃん

昔と比べて、モデリングの精度や質が上がってるからね。SC-1もとても自然な変化だから良いね

Universal Audio SC-1のレビューでした。

これだけ、高精度のモデリング機能を搭載したマイクがついに10万円未満で買えるようになったか…と驚きました。

1本のマイクで色んな音を楽しみたい方にとてもおすすめな製品です。

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