Apogee Duet 3をレビュー。コンパクトで高音質なプロユースの定番オーディオインターフェイス

Apogee Duet 3

評価:4.5

ぎたすけ

Duet 3は小さくておしゃれなオーディオインターフェイスだな

たけしゃん

このサイズでプロレベルの音質だからすごいよね。昔から定番の人気製品だよ
補足

Media Integration様よりデモ機をお借りしました

Duet 3の評価
音質
 (5)
機能性
 (4)
コスパ(99,000円程度)
 (4)
総合評価
 (4.5)
メリット
デメリット
  • プロユースの音質
  • 手のひらサイズで軽い
  • 専用アプリで色々調整できる
  • DSPエフェクトはかけ録りのみ
  • 専用アプリの使い方がやや難解
Bedroom Talk / Official髭男dism 【アコースティックCover】
この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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Apogee Duet 3

Apogee Duet 3とブレイクアウトケーブル
入力端子コンボジャック×2
1/4 “ライン入力×2
出力端子1/4 “ライン出力×2
ヘッドホン端子 ×1
サンプルレート192kHz / 24bit
接続端子 USB-C(2.0)
対応OSWin,Mac,iOS
寸法
(長さ・幅・深さ)
150×102×30mm
(本体ノブ含む)
重量340g
公式HP

コンパクトで高音質、そして優れたデザインで人気の高いApogee Duet 3

先代のDuet 2から機能性、ルックスなど細かい点をブラッシュアップした3代目のDuetです。

専用アプリ「Apogee Control 2」の使い勝手もよく、DSPエフェクトも搭載されています。

apogee control2 DSPエフェクトの画面

音のクオリティは非常に良いため、スマートでハイレベルな制作環境を作りたい人に適した製品です。

まずはDuet 3の製品仕様と簡単な使い方から解説していきます。

仕様を飛ばして、レビューを読みたい方は<Apogee Duet 3をレビュー>を参照ください。

製品仕様の目次

4in 2out

Apogee Duet 3のブレイクアウトケーブル

Duet 3は4in 2outのオーディオインターフェイスです。

付属のブレイクアウトケーブルを介して、本体に楽器を接続できます。

Apogee Duet 3のブレイクアウトケーブル端子

ブレイクアウトケーブルは入力用コンボジャック×2、1/4″ライン入力×2、1/4″ライン出力×2という構成です。

Apogee Duet 3のブレイクアウトケーブル
各端子にはIN-1、OUT-1など印字されている

コンボジャックは専用アプリでインピーダンスを変えられるようになっています。

apogee control2でコンボジャックのインピーダンスを変える

その他、ヘッドホン端子は本体についています。

Apogee Duet 3 下から撮った
3.5mmが採用されている

なお、本体ノブでは音量調整とミュートができるようになっており、操作方法は以下の通りです。

対象を選択

本体ノブを押して、音量調整したい対象を青く点灯させる

Apogee Duet 3の設定方法
音量調整

ノブを回して、音量を調整する。SPとHPはノブを長押しでミュートになる

Apogee Duet 3

なお、FX1とFX2はDSPエフェクトです。

ONの場合は青く点灯し、OFFの場合は消灯しています。

Apogee Duet 3
FX1は点灯している状態

また、自宅で使う場合は別売りのDuet Dockを購入するとブレイクアウトケーブルが不要になるので便利です。

Apogee Control 2

apogee control2

Duet 3はWin、Mac、iOSに対応した専用アプリ「Apogee Control 2」に対応しています。

DSPエフェクト、ルーティングの変更など細かい調整が可能です。

DSPエフェクトは「EQ、コンプレッション、サチュレーション・コントロール」の3つが使用できます。

apogee control2 DSPエフェクトの画面
3つのエフェクトが一体化している

アナログライクなUIなので、感覚的に使えますね。効きもなかなかにいい感じです。

なお、かけ録りしか対応していないようで、モニターだけ適応させることはできませんでした。

かけ録り

エフェクトをかけた音を録音すること

あとはダイレクトモニターやループバック機能などもついています。

取説を読みながら確認したので、使い方を記載します。

ダイレクトモニター

apogee-control2のダイレクトモニター機能
公式の取扱説明書より引用

PCを介さずに直接モニターの音をヘッドホンに返す機能がダイレクトモニターです。

PCを介さないため遅延なく、自身の声をモニターできます。

ダイレクトモニターをONにするためには、Apogee Control 2で赤枠部分を設定変更します。

apogee-control2のヘッドホン出力の設定

この項目はヘッドホンに出力する音を選択する項目です。

対象部分をクリックすると、選択肢が4つ出てきます。

選択肢出力する音
Follow Mainスピーカーと同じ音を出力
SW:PlaybacksPlaybackチャンネルの音を出力
YouTubeなどPC再生音を指す
MixerMaster Mixerの音を出力
任意で出す音を選べる
HW:Inputs入力チャンネルの音を出力
どのチャンネルを出すか選べる

ダイレクトモニターを使うときは「Mixer」を選択します。

そして、モニターに返したいチャンネルのフェーダーを上げましょう。

apogee-control2でダイレクトモニターの音を調整する

PCで再生したオケの音を下げたいときはPlayback 1-2のフェーダーを下げれば下がります。

なお、ヘッドホン同様にスピーカー側に出力する音も右下の項目から選べます。

apogee-control2でスピーカーに出す音を変える

ヘッドホンとスピーカーで出す音を変えられるので、ライブで使う場合に色々工夫できそうです。

ループバック

ループバック機能の説明図解

PCの再生音をライブ配信などに載せられるループバック機能です。

Duet 3はループバックにも対応しており、Apogee Control 2の「Assign to SW Inputs」でON/OFFできます。

apogee-control2のループバック機能

ここで「Software Inputs 1-2」を選択すると、PCの再生音もループして入力されます。

なお、ループして入力する音量は各トラックのフェーダーで調整しましょう。

apogee-control2でダイレクトモニターの音を調整する

なお、PCの再生音はPlayback 1-2から出ますが、DAWの音はPlayback 1-2と3-4のどちらから出すか選べます。

補足

DAW側のデバイス設定で任意のチャンネル選べる

DAWは3-4に設定しておくと、PCの再生音とは別管理できるので地味に便利ですね。

付属品

Apogee Duet 3 専用ケース
Apogee Duet 3 専用ケースに収納

Duet 3の付属品は専用ケース、ブレイクアウトケーブル、USBケーブルです。

Apogee Duet 3のブレイクアウトケーブル
ブレイクアウトケーブル
Apogee Duet 3付属のUSBケーブル
USBケーブル

USBケーブルはType C to Cですが、Type-A変換アダプタがついており、両対応できる仕様です。

なお、Duet 3はLightningのiOS端末で使う場合、15WのUSB-Cコンセントで電源供給が必要です。

Apogee Duet 3のiOSに接続する方法

もしくはセルフパワーのUSBハブを使って接続することも可能です。

Apogee Duet 3とiPhoneの接続方法
公式の取扱説明書から引用
セルフパワー

製品本体に電源供給用のACアダプタがついているタイプのこと

ちなみにAnkerやRavPowerなど市販の15W出力対応のUSB-Cコンセントを2台試しましたが動きませんでした。

補足

Duet 3の電源は入るが、iOS側で電源が足りないとエラーメッセージが出る

Macbook Pro 2019同梱の96W USB-Cで接続したところ、正常動作かつ安定動作しました。

また、セルフパワーのUSBハブは正常に動作しましたが、たまに落ちたり動作がやや不安定でした。

iOSでの利用が多い人はApple純正のUSB-Cコンセントの購入をおすすめします。

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Apogee Duet 3をレビュー

Apogee Duet 3を動作させているところ
Duet 3の評価
音質
 (5)
機能性
 (4)
コスパ(99,000円程度)
 (4)
総合評価
 (4.5)

それでは、Duet 3を細かくレビューしていきます。

まず、メリット・デメリットを箇条書きでまとめると以下の通りです。

メリット
デメリット
  • プロユースの音質
  • 手のひらサイズで軽い
  • 専用アプリで色々調整できる
  • DSPエフェクトはかけ録りのみ
  • 専用アプリの使い方がやや難解

音質はアンダー10万円の製品ではトップレベルです。

コンパクトサイズで携帯性もよく、PC・スマホどちらからの配信でも使い勝手が良いです。

歌い手・シンガーソングライターにベストマッチしている製品ですね。

レビューの目次

安定のクオリティ

Apogee Duet 3 インジケーターが上がっている状態

Duet 3でボーカル、アコギを色々録ってみました。

解像度が高く、クリアな音が録れます。

マイクプリのゲインに余裕もあり、さすがのクオリティです。

ボーカル、アコギをDuet 3で録った動画がこちら。

Bedroom Talk / Official髭男dism 【アコースティックCover】

10万円以内で買える製品の中では、トップレベルの音質です。

原音の時点で非常によくて、MIXもすぐに終わりました。

再生音もレンジが広く、クリアで良い音ですね。モニターの音が鮮明で歌いやすかったです。

コンパクトで優れたデザイン

Apogee Duet 3

Duet 3はコンパクトでおしゃれなデザインが良いですね。

机に置いても、邪魔にならないですし、見栄えも良いです。

ただ、汚れが目立つデザインなので、清掃は小まめにしたほうが良さそうです。

Apogee Duet 3 ノブの下にLEDライトがある

黒カラーなのもあって、指紋やホコリがかなり目立ちます。

まあ、おしゃれアイテムの宿命とも言うべきでしょうか…。

また、軽量で扱いやすいケースもついているので、持ち運びも楽なのが良いですね。

Apogee Duet 3 専用ケースに収納

ノートPCとセットで持ち歩くのにちょうど良いです。

iOSでも動くので、iPhoneとDuet 3だけでも十分高音質なレコーディングが可能です。

配信での使い勝手も良い

apogee control2

Duet 3は専用アプリで音の調整、ループバックの設定が可能です。

RMEやMOTUと比べるとルーティングの自由度はやや劣りますが、普通に配信する分には十分なレベルですね。

また、iOSでの利用においても専用アプリで調整することが可能です。

ループバックONにすると、入力がステレオミックスされるため、ステレオ仕様のアプリでも1chの音をLRから出せます。

apogee control2 iOS版
ステレオ仕様のアプリ

ツイキャス、YouTube Liveなどはステレオになっており、1chはL、2chはRからしか音が出ない

そのため、Duet 3はPC、スマホどちらからの配信でも使い勝手は良いですね。

欲を言うとDSPエフェクトにリバーブがあったら、なお良かったですね。

競合機種との比較

製品Apogee Duet 3
DUET 3
Universal Audio Apollo Solo
Apollo Solo
RME Babyface pro fs
Babyface Pro FS
メーカーApogeeUniversal AudioRME
アナログ入力コンボジャック×2
1/4 “TRSライン入力×2
コンボジャック×2
1/4ライン×1
コンボジャック×2
1/4ライン×2
ループバック×
エフェクトEQ
コンプレッション
サチュレーション
UADプラグインEQ
リバーブ
対応OSWindows、Mac、iOS
(USB 2.0)
Windows、Mac
(Thunderbolt 3)
Windows、Mac、iOS
(USB 2.0)
実売価格約99,000円約95,700円約129,800円
ECサイトAmazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス

最後は競合機種との比較です。

ここではコンパクトで高音質なApollo SoloとBabyface Pro FSを比較対象にしました。

まず、Apollo Soloとの比較です。音質面ではほぼ互角な印象ですね。

Universal Audio Apollo Solo

Apollo Soloは柔らかくアナログテイストなサウンド、Duet 3はパキッとした明瞭なサウンドです。

Apollo SoloはDSPで動くUADプラグインが強力です。

UAD Consoleで3つのプラグインを挿した画面

そのため、エフェクトを使ったサウンドメイクはApollo Soloが優位です。

一方でループバック機能などはないため、配信での利用も考えるとDuet 3のほうが適していますね。

apogee control2

また、Apollo SoloはiOSでは使用できません。

トータルで見ると、Duet 3のほうが汎用性が高いですね。

Apollo SoloはUADプラグインを使いたい人向けという印象です。

続いて、僕もメインで使っているBabyface Pro FSとの比較です。

音質面で比較すると、Babyface Pro FSのほうが解像度はやや高く感じます。

RME Babyface Pro FS

価格的にも2~3万円ほど差があるので、価格相応に差がある印象ですね。

補足

Babyface Pro FSは価格が高騰しているため、時期によってはもっと差がでる

また、Babyface Pro FSのほうがルーティングの自由度も高いです。

専用アプリのRME Totalmix FXはループバックも含めて、かなり自由にいじれます。

RME Totalmix FX

Babyface Pro FSはDSPでリバーブが使える点も良いです。

なので、配信での使い勝手もBabyface Pro FSのほうが若干上ですね。

逆にDuet 3が良い点は以下の3点です。

  1. 価格が2~3万円安い
  2. iPhoneでも専用アプリがある(Babyface Pro FSはiPadのみ)
  3. DSPでコンプレッサーが使える(Babyface Pro FSは使えない)

やはり、価格が2~3万円安い点が大きいです。

Babyface Pro FSのほうが総合的に強いものの、Duet 3で困ることはほぼないですからね。

Duet 3も音質は非常に良く、歌録りの仕事でも十分使えるレベルです。

Apogee Duet 3を動作させているところ

Duet 3を選択して、他の機材などに予算を振ったほうが良いかなと感じます。

歌い手・シンガーソングライターだと、Duet 3がベストチョイスになる人は多いでしょうね。

 

Apogee Duet 3 まとめ

Apogee Duet 3
  • 10万円以下でコンパクト・高音質なオーディオインターフェイス
  • 専用アプリでループバックやDSPエフェクトも使える
  • 10万円以下ではトップレベルの音質

ぎたすけ

おしゃれでコンパクトで高音質って惹かれる要素がいっぱいあっていいな

たけしゃん

そうだよね。Windowsでも安定動作していたし、予算10万円ではすごくいい製品だね

Apogee Duet 3のレビューでした。

ルックス、サイズ感、音質のどれもが素晴らしいオーディオインターフェイスです。

予算10万円でプロレベルの音質を求めている人にうってつけのアイテムですね。

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