SHURE SM7dBをレビュー。人気のSM7Bにプリアンプを搭載した自宅環境でも使いやすいダイナミックマイク

SHURE SM7dB 右斜め前から撮影

ぎたすけ

SM7Bにプリアンプが搭載されると何が変わるの?

たけしゃん

安価なオーディオインターフェイスでも音量を十分に出せるから、より万能に使えるようになってるね
補足

Shure Japan様よりデモ機をお借りしました

SM7dBの評価
音質
 (4.5)
使い勝手
 (4.5)
コスパ(69,300円程度)
 (3.5)
総合評価
 (4)
メリット
デメリット
  • ワイドレンジで明瞭な声が録れる
  • 周辺ノイズを拾わない
  • ハムノイズなど電磁波ノイズに強い
  • ゲインを十分に稼げる
  • 重いのでマイクアームを選ぶ
用途 項目
原稿を読んでいる男性
ライブ配信
音質がよく
周辺ノイズを拾わない
マイクを設置しているスタジオ
DTM
音質が良く
自宅でも使いやすい
オンラインで仕事しているところ
テレワーク
音質が良く
周辺ノイズを拾わない

サンプルボイス

サンプルボーカル

この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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SHURE SM7dB

SHURE SM7dB 右側面
マイクタイプXLRダイナミックマイク
指向性カーディオイド
周波数特性50 to 20,000 Hz
感度 -59 dBV/Pa(1.12 mV)
-41 dBV/Pa (8.91 mV)
-31 dBV/Pa (28.2 mV)
質量約837g
公式サイト

2023年9月に発売されたSHUREのダイナミックマイク SM7dBです。

昔から有名なSM7Bにプリアンプを搭載させたモデルになっています。

SM7Bは音質、ノイズ抑制などの面で非常に優れたマイクで、昔から放送局や業務用スタジオでよく使用されています。

SHURE SM7B
SM7B

昨今ではDTM、動画制作、ライブ配信など、自宅で利用されている方もかなり多いです。

一方でSM7Bは感度がかなり低いため、安価なオーディオインターフェイスでは十分な音量を得られないことがあります。

製品名GAIN最大値実売価格
AudioBox Go50dB10,800円程度
UR1254dB11,000円程度
AG03mk260dB18,700円程度
MOTU M260dB32,780円程度
iD14mkii58dB47,300円程度
Duet 365dB99,000円程度
(参考)オーディオインターフェイスのGAIN
補足

公式ではGAIN 60dB以上のマイクプリアンプでの使用を推奨している

そのため、業務用スタジオは良いものの、個人の環境で使うにはややハードルが高いマイクでした。

SM7dBはマイク自体にプリアンプを内蔵することで、この問題を解決しています。

SHURE SM7dB 底面のコントロールパネル
+18dB、+28dBのブーストが可能

SM7dBなら安価なオーディオインターフェイスでもSM7Bの音を忠実に再現できるため、自宅でのライブ配信でも使いやすくなっています。

まずはSM7dBの製品仕様から解説していきます。

使用を飛ばして、レビューを読みたい方は<SM7dBをレビュー>を参照ください。

SM7Bとの違い

SHURE SM7B 側面
SM7B

SM7dBはサウンド特性などはSM7Bのまま、プリアンプが内蔵されたモデルとなっています。

ただ、カラーやサイズ感などは微妙に異なります。

製品SHURE SM7dB 右側面
SM7dB
SHURE SM7B 斜め下から撮った
SM7B
サイズ
(縦×横)
206.1 ×62.5 mm197.1 ×62.5 mm
感度-59dB, -41dB, -31dB-59dB
プリアンプ内蔵なし
カラーブラックチャコールグレー
重量837g764g
実売価格69,300円程度54,000円程度

まず、カラーですがSM7Bはチャコールグレー、SM7dBはブラックになっています。

SHURE SM7B 側面
SM7B
SHURE SM7dB 左側面をやや引き気味に撮影
SM7dB

また、SM7dBは本体両サイドに「SHURE」のロゴが印字されています。

サイズはSM7Bと比べて、SM7dBは縦幅が9mmほど長くなりました。

SHURE SM7dBの長さ
SM7Bは197.1mm

横幅などはSM7Bと一緒です。

重量も73g重くなり、837gとなっています。

SHURE SM7dB 右斜め前から撮影

ちなみに安価なマイクアームは800g程度から、任意の位置で固定しづらくなるものが増えます。

そのため、SM7dBを使う方はそれなりに良いマイクアームを選びましょう。

筆者のテスト環境ではRODE PSA1を利用しています。

SHURE SM7dB 右側面から引き気味に撮影

RODE PSA1はアームが長いこともあり、SM7dBとの相性がとてもいいですね。

カーディオイドマイク

単一指向性の図解

SM7dBは正面の音を中心に拾うカーディオイドマイクです。

左右の音はあまり拾わないため、スピーチやボーカルなどの用途に適しています。

SM7dBはSM7Bと一緒で、音を拾う範囲が比較的広い印象を受けますが、エアコンやPCの動作音などはあまり拾わずに声だけをクリアに拾ってくれます。

SHURE SM7dB 右斜め前から撮影

周波数特性は50 to 20,000 Hzと普通のダイナミックマイクより広いです。

補足

ダイナミックマイクの定番SM58は50 to 15,000 Hz

中低音域の密度が高いパワフルなサウンドですが、細かなニュアンスもしっかり再現してくれます。

ウィンドスクリーン・ショックマウント内蔵

SHURE SM7dB ウィンドスクリーンを外した

SM7dBはウィンドスクリーン・ショックマウント内蔵のマイクです。

ウィンドスクリーンは本体にそのまま取付けるタイプでブラックカラーが採用されています。

SHURE SM7dB 左斜め前から撮影

なお、交換用パーツとしてブラックカラーのウィンドスクリーンRK345Bも同時発売されています。

補足

SM7B用のチャコールグレーのウィンドスクリーンはRK345

また、ショックマウントも内蔵されているため、振動ノイズにも強いです。

別途、ショックマウントやポップフィルターを用意する必要がなく、手軽に使うことができます。

プリアンプ内蔵

SHURE SM7dB 正面

SM7dBは音を増幅するためのプリアンプが内蔵されています。

本体底面にコントロールパネルがついており、+18dBと+28dBから選択できます。

SHURE SM7dB 底面のコントロールパネル

安価なオーディオインターフェイスで使う分にも十分なレベルですね。

なお、bypassスイッチをONにするとプリアンプはスルーされ、SM7Bと同じ出力レベルになります。

また、プリアンプを使用する場合はファンタム電源の供給が必要となります。

補足

bypassスイッチをONにしている場合はファンタム電源不要

マイクを接続するオーディオインターフェイスもしくはミキサーから供給しましょう。

Solid State Logic SSL2 駆動しているところ。左斜め下
オーディオインターフェイス SSL2

底面にはプリアンプ以外に周波数特性を調整できるスイッチもついています。

SHURE SM7dBの周波数特性の切替スイッチ

SM7dBではイラストがわかりやすくなり、スイッチも手で切替えられるように改良されています。

SHURE SM7B 底面
SM7Bはペンなどがないとスイッチを切替できなかった

SM7dBはSM7Bから地味に細かいところが改良されていますね。

付属品

SHURE SM7dB 交換用のウィンドスクリーン
SHURE SM7dB付属の3/8・5/8変換ネジ
  • フォームウィンドスクリーン(A7WS)
  • 3/8インチ→5/8インチ変換ねじ

付属品として、大きいサイズのウィンドスクリーンと変換ねじが入っています。

SM7dBは標準では3/8インチのねじ穴になっています。

SHURE SM7dB スタンド接続部分とXLR端子

マイクスタンド側のねじが5/8インチの場合は変換ねじで合わせましょう。

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SHURE SM7dBをレビュー

SHURE SM7dB マイクアームに取付。左側面を撮影
SM7dBの評価
音質
 (4.5)
使い勝手
 (4.5)
コスパ(69,300円程度)
 (3.5)
総合評価
 (4)

それでは、SM7dBを細かくレビューしていきます。

はじめにメリット・デメリットを箇条書きでまとめると以下の通りです。

メリット
デメリット
  • ワイドレンジで明瞭な声が録れる
  • 周辺ノイズを拾わない
  • ハムノイズなど電磁波ノイズに強い
  • ゲインを十分に稼げる
  • 重いのでマイクアームを選ぶ

SM7B自体が完成度の高いマイクですが、さらにブラッシュアップされた感じですね。

安価なオーディオインターフェイスでも音量の心配がなくなりました。

価格もSM7Bから+15,000円程度なので、SM7Bにインラインプリアンプを追加購入する場合とほぼ変わらないです。

中低音域が魅力的でノイズに強い

SHURE SM7dB 右斜め前から撮影

SM7dBでボイス、ボーカルなどを録ってみました。

SM7Bの特色をそのまま引き継いでおり、中低音域の密度が高く、魅力的な音が録れます。

サンプルボイス

サンプルボーカル

低域から高域までワイドに録れるので、普通のダイナミックマイクよりも明瞭に感じます。

マイクにかなり近いづいても、低音が不要に膨らむことがないので扱いやすいところも良いですね。

また、周囲の環境ノイズやハムノイズにも強い設計なので、家電の動作音や電磁ノイズの混入を抑制してくれます。

SHURE SM7dB 右斜め前から撮影

エアコンをつけながらテストしても、ほとんど気にならないレベルでした。

こういったところがライブ配信者に人気な理由ですね。

内蔵プリアンプは原音のまま持ち上げるタイプ

SHURE SM7dB 斜め後ろから撮影

内蔵されたプリアンプを利用して、サウンドを録ってみました。

使用しているオーディオインターフェイスはYAMAHA AG03です。

YAMAHA AG03 正面からの写真

プリアンプOFF

+18dB

+28dB

補足

音量が同じになるようにAG03側のGAINを調整しています

内蔵プリアンプはほぼ原音のまま、キレイに音を持ち上げるタイプですね。

SHURE純正ということもあり、SM7Bの音の特性が損なわれることはありません。

プリアンプOFFの音源はAG03のGAINを90%程度にして録っていますが、+28dBだとGAIN 40%あたりで同程度になりました。

SHURE SM7dBのプリアンプを+28dBに設定してAG03と繋いだ時のGAIN設定
+28dBのときのAG03の設定

筆者は声量があるのでプリアンプOFFでも音量的に問題はないですが、プリアンプを通してAG03のGAINを下げたほうが低ノイズに感じました

5万円以下のオーディオインターフェイスだとGAIN最大値がSM7Bの推奨値である60dBに届かない、もしくはギリギリの製品がほとんどなので、SM7dBだと安心ですね。

製品名GAIN最大値実売価格
AudioBox Go50dB10,800円程度
UR1254dB11,000円程度
AG03mk260dB18,700円程度
MOTU M260dB32,780円程度
iD14mkii58dB47,300円程度
Duet 365dB99,000円程度
(参考)オーディオインターフェイスのGAIN

ライブ配信者の方はAG03mk2に繋ぐ方が多いかと思いますが、SM7dBであれば音量の心配はありません。

インラインプリアンプとの比較

SE ELECTRONICS DM-1
sE Electronics DM1 DYNAMITE

SM7Bでは安価なオーディオインターフェイスなどに接続する場合、インラインプリアンプを挟むのが解決策となっていました。

インラインプリアンプ

マイクと音響機器の間に挟む小型のプリアンプ

本章ではSM7Bにインラインプリアンプを買い足すのと、SM7dBを買うのではどっちが良いかを検討してみましょう。

筆者が考えるSM7dBを選択するメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット
デメリット
  • マイクと一体化でコンパクト
  • SM7Bに最適化したプリアンプが使える
  • プリアンプを他のマイクに使い回せない

SM7dBのメリットはマイクと一体化しているため、コンパクトであることです。

SHURE SM7dB 右斜め後ろから撮影

SM7B&インラインプリアンプだとプリアンプの設置スペースが必要なので、若干場所は取ります。

SE ELECTRONICS DM-1をSHURE SM7Bに取付した
SM7BとDM1

また、マイクを携帯する際もインラインプリアンプを一緒に持ち歩く必要があります。

SM7dBのほうが手軽さや携帯性の面で優れています。

更にSM7dBはSHURE製のプリアンプが搭載される点も大きいですね。

SHURE SM7dB 正面

マイクプリアンプは入力音量をブーストする以外に、そのプリアンプ独特の質感を付与する目的でもよく使われます。

SM7dBのプリアンプはSM7dB専用に設計されており、SM7Bの質感をそのまま活かすようになっています。

やはり、専用に設計されたメーカー純正のプリアンプが安心ですよね。

SHURE SM7dB ウィンドスクリーンを外した

一方でSM7dBの場合はプリアンプを他のマイクに使い回せないというデメリットがあります。

そのため、他のマイクにプリアンプを使い回すかどうかが製品選びのポイントになりますね。

SE ELECTRONICS DM-1をSD-1に取付した
インラインプリアンプは使い回せる

続いて、価格についてです。

SM7dBとSM7Bの価格差は15,000円程度で、SM7Bでよく使われるインラインプリアンプの実売価格は下表の通りです。

製品名実売価格
Cloud Microphone
Cloudlifter CL-1
24,800円程度
sE Electronics
DM1 DYNAMITE
14,000円程度

SM7B&CL-1だと1万円ほど高くなりますが、SM7B&DM1だとSM7dBとほぼ同価格です。

そのため、やはりプリアンプを他のマイクでも使いたいかどうかが焦点になるかと思います。

SM7Bしか使わないならSM7dBが間違いないですし、他のマイクでも使い回すならSM7B&インラインプリアンプが良いでしょう。

 

SHURE SM7dB まとめ

SHURE SM7dB 左斜め前から撮影
  • SM7dBはSM7Bにプリアンプを搭載したマイク
  • プリアンプは原音に忠実なタイプでSM7Bの特性を損なわない
  • カラーやデザインなど細かいところも少し変わっている

ぎたすけ

なるほど。やっぱりプリアンプも同じメーカーのほうが安心できて良いよな

たけしゃん

そうだね。SM7Bをメインで使う人はSM7dBを買っとくのが安定だと思うよ

SHURE SM7dBのレビューでした。

ライブ配信がメインならYAMAHA AG03mk2と組み合わせて使いたい方が多いでしょうから、SM7dBの登場はかなり大きいのではないでしょうか。

配信向けのオーディオインターフェイスだと、プリアンプのスペックが良いものは少ないため、SM7dBが活躍する場面は多そうですね。

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