audio technica AT-UMX3をレビュー。コンパクトでシンプルに使いやすい配信向けオーディオインターフェイス

audio technica AT-UMX3の正面を右斜めから近めで撮影

ぎたすけ

audio technicaってオーディオインターフェイスも出しているんだな

たけしゃん

この製品が初じゃないかな。オーテクはUSBマイクとかも質がいいから、今回も期待できるね
補足

レビューするためにメーカー様よりデモ機をお借りしました

AT-UMX3の評価
音質
 (4)
機能性
 (3.5)
コスパ(19,800円程度)
 (4)
総合評価
 (4)
メリット
デメリット
  • 音質は結構よい
  • シンプルで使いやすい
  • ループバックが本体操作で切替できる
  • スマホでも使える
  • ASIOドライバがない
  • スピーカー用の出力端子がない

サンプルボーカル

この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
プロフィール詳細お問い合わせ

audio technica AT-UMX3

audio technica AT-UMX3を上から撮影した
アナログ入力コンボジャック×2
LINE(GUITAR)
LINE STREO(KEYBOARD)
アナログ出力HEADPHONE OUT
サンプルレート192kHz / 24bit
接続端子 USB-C
対応OSWindows
macOS Catalina
macOS Big Sur
macOS Monterey
macOS Ventura
iOS:16.4.1
iPad OS:16.4.1
Android OS:10、11、12、13
最新の情報は公式HPを参照ください

audio technicaが2024年2月に発売するオーディオインターフェイス AT-UMX3。

audio technicaのマイク開発を長年手がけてきた、技術および設計担当者が監修した製品です。

audio technica AT-UMX3の背面部分

コンパクトながらループバックなど、配信向けの機能を搭載し、操作パネルもシンプルで分かりやすい設計になっています。

使ってみた所感では、「AG03から配信に不要な機能を落としてシンプルにした製品」という印象ですね。

YAMAHA AG03MK2 ブラック
AG03mk2

AG03は配信で便利な機能に加えて、DTMでも使えるように様々な機能が盛り込まれています。

そのため、配信だけやる人には分かりづらい点がやや多いです。

対して、AT-UMX3は配信向けに絞ったシンプルな作りになっているので、初心者でもとっつきやすいです。

audio technica AT-UMX3とiPhone 13 Pro。右斜めから撮影

まずはAT-UMX3の製品仕様から解説していきます。

仕様を飛ばして、レビューを見たい方は<AT-UMX3をレビュー>を参照ください。

入出力

audio technica AT-UMX3を正面から撮影
audio technica AT-UMX3の背面をやや遠めに撮影
入力
出力
  • コンボジャック
  • LINE(GUITAR)
  • LINE(KEYBOARD)
  • ヘッドホン端子

AT-UMX3の入力端子はマイク用のコンボジャック、ギター用の6.3mm標準ジャック、キーボード用の6.3mm標準ジャック(ステレオ)の3種です。

audio technica AT-UMX3の背面をアップで撮影

ギター用の標準ジャックはHi-Zになっています。

Hi-Z

エレキギターやエレキベースを直接接続できるようにインピーダンスを高く設定している状態

なお、入力は1chとなっており、マイク・ギター・キーボード全てが同じチャンネルから音が出ます。

audio technica AT-UMX3をWindowsのOBSで認識させてみた
入力chは「マイク」のみ

各入力端子の音量調整は本体ノブで行います。

audio technica AT-UMX3の左側を上から撮影した

AG03と同じようにGAINとLEVELが分かれている仕様です。

取扱説明書記載のノブの初期推奨位置は下表のとおりです。この位置から自身で微調整すると良いでしょう。

チャンネルノブの位置
コンボジャック
(マイク接続時)
GAIN:2~3時
LEVEL:12時
LINEGAIN:12時
LEVEL:3時
〇時の位置は時計の針に見立ててます

トークなら上表が基準で良いですが、歌う場合はGAINをもう少し下げたほうが良いですね。

ギターとキーボードのノブは共用となっており、切替スイッチでどっちの楽器を使うか選択できます。

audio technica AT-UMX3のギター・ピアノを切り替えるスイッチ

なお、ギターとキーボードは排他になっているようで、両方同時に音を出すことはできませんでした。

また、このチャンネルはスマホやオーディオプレイヤーを繋いで音楽などを流すこともできます。

接続には3.5mm-6.3mmケーブルなどを利用しましょう。

そして、コンボジャックのチャンネルにはミュートスイッチが付いています。

audio technica AT-UMX3。ミュートONの状態
ミュートONだと赤く点灯する

このミュートスイッチはコンボジャックのみ作用し、ギターやキーボードのChはミュートされません。

続いて、出力です。

出力は前面の3.5mmヘッドホン端子のみです。

audio technica AT-UMX3 正面右側

音量調整はPHONESと書かれた、大きいノブで行います。

audio technica AT-UMX3の右側を上から撮影した

ハイインピーダンスのヘッドホンでもキレイに鳴らせる余裕があります。

また、音質もかなり良いのでハイスペックですね。

ダイレクトモニタリング

audio technica AT-UMX3とATH-M20x

AT-UMX3はダイレクトモニタリング機能を搭載しています。

ダイレクトモニタリングとは、オーディオインターフェイスに入力した音をPCなど介さずにモニターできる機能です。

ダイレクトモニタリングのルーティング図

PCなどを挟まないことで遅延なく、自分の声をモニタリングできます。

なお、本体にダイレクトモニタリング機能をON/OFFできるスイッチがついています。

audio technica AT-UMX3。ダイレクトモニタリングをON/OFFするスイッチ

配信アプリやDAWから自分の声を返す場合、ダイレクトモニタリングはOFFにしましょう。

ループバック

ループバック機能の説明図解

AT-UMX3はループバック機能も搭載しています。

ループバックのON/OFFは本体スイッチで切替できます。

audio technica AT-UMX3。ループバックの切替スイッチ

ループバックONにすると、USB接続したPCなどの再生音をライブ配信で流すことができます。

接続したPCの再生音はPHONESの左隣にあるノブで音量調整できます。

audio technica AT-UMX3。接続したPCなどの再生音量を調整するノブ

ループバックのON/OFFスイッチが付いている製品は意外と少ないので、配信中にON/OFF切り替えたい人には貴重ですね。

対応OS

audio technica AT-UMX3とiPhone 13 Pro。正面から撮影
対応OS
  • Windows
  • macOS Catalina
  • macOS Big Sur
  • macOS Monterey
  • macOS Ventura
  • iOS:16.4.1
  • iPad OS:16.4.1
  • Android OS:10、11、12、13

AT-UMX3はWindows、Macだけでなく、iOS、iPad OS、Androidにも対応しています。

どのOSでもUSBで繋ぐだけで使えるようになっています。

なお、LightningのiOSは接続にUSBカメラアダプタが必要です。

audio technica AT-UMX3とiPhone 13 Pro。接続はUSBカメラアダプタを使用
使用スマホはiPhone 13 Pro

また、スマホやタブレットに接続する場合は、別途USBでの電源供給が必要です。

AT-UMX3には電源供給用のUSB端子があるため、コンセントやモバイルバッテリーに繋ぎましょう。

audio technica AT-UMX3はPC・スマホ接続用のUSBと電源供給用のUSB口がある

ちなみにUSB-CのAndroidはスマホからの電源供給のみで駆動しました。

audio technica AT-UMX3とAQUOS sense2。正面から撮影
使用スマホはAQUOS sense2

iOSもUSB-Cであれば、別途電源供給は必要ないかもしれません。

付属品

audio technica AT-UMX3付属のUSBケーブルとUSB-C変換アダプタ

AT-UMX3の付属品はUSBケーブル(Type-A to C)とUSB-C変換アダプタです。

なお、AT-UMX3はUSB 2.0なので、USB Type-AのPCと接続しても問題なく動作します。

audio technica AT-UMX3のバナー(PC)PR

audio technica AT-UMX3をレビュー

audio technica AT-UMX3。左斜めから撮影
AT-UMX3の評価
音質
 (4)
機能性
 (3.5)
コスパ(19,800円程度)
 (4)
総合評価
 (4)

それでは、AT-UMX3を細かくレビューしていきます。

はじめにメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。

メリット
デメリット
  • 音質は結構よい
  • シンプルで使いやすい
  • ループバックが本体操作で切替できる
  • スマホでも使える
  • ASIOドライバがない
  • スピーカー用の出力端子がない

ライブ配信向けにシンプルにまとまっているという印象ですね。

audio technica製品だけあって、価格の割に音が良いです。

DTMなどやらない人なら、AT-UMX3がちょうど良い人は結構多いと思いました。

音は結構良い

audio technica AT-UMX3とAT2020とATH-M20x

AT-UMX3はaudio technica製品ということもあって、価格の割に音質は良いです。

特に再生音は音がクッキリしており、低ノイズかつ高出力なのでかなり良いと感じました。

audio technica AT-UMX3。斜め下から撮影

AG03は再生の音質が微妙なので、AT-UMX3と聴き比べると結構な差を感じました。

また、ダイレクトモニターに関しても低ノイズでクリアなので、自分の声が聞き取りやすいです。

マイク入力の音質はAG03とほぼ同レベルと感じました。

AT-UMX3

audio technica AT-UMX3。上から撮影

AG03

YAMAHA AG03 正面からの写真

音楽制作向けのFOCUSRITE Scarlettなどと比べると、マイク入力の質は若干劣る印象を受けます。

Focusrite Scarlett Solo 3rd Gen 左側面
FOCUSRITE Scarlett solo

ただ、配信用途であれば、AT-UMX3でも十分すぎる音質レベルです。

配信向けに特化させた製品で、ここまで音が良いものはかなり少ないんじゃないかと思います。

操作性は良好だが、音量調整はやや難解

audio technica AT-UMX3。右斜め下から撮影

AT-UMX3は本体コントロールパネルがシンプルでわかりやすいです。

ノブを回して調整するだけなので、直感的に使えるところが良いですね。

ノブの配置もシンプルに整理されていて、わかりやすいです。

audio technica AT-UMX3のコントロールパネルを説明した写真

配信で必要な機能に絞って、うまく整理された作りになっています。

ダイレクトモニタリングやループバックのON/OFFも本体スイッチで調整できるので、配信中でも調整しやすいです。

audio technica AT-UMX3を上から撮影した

サイズもかなりコンパクトなので、机に置いて使いやすい点も良いですね。

一方、GAINとLEVELが分かれているのは、初心者にはややわかり辛いです。

audio technica AT-UMX3の左側を上から撮影した

AG03も同じ仕様ですが、調整の仕方を間違えて失敗する配信者が多いんですよね。

AT-UMX3の場合、取扱説明書で下表のようにセッティング例を書いてくれています。

チャンネルノブの位置
コンボジャック
(マイク接続時)
GAIN:2~3時
LEVEL:12時
LINEGAIN:12時
LEVEL:3時
〇時の位置は時計の針に見立ててます

ここを基準にして、自身で微調整するようにしましょう。

GAINとLEVELを極端な設定にすると、ホワイトノイズの増加や音割れの原因になるので気を付けてください。

スマホ配信で使いやすい仕様

audio technica AT-UMX3とiPhone 13 Pro。右斜め下から撮影

AT-UMX3はiPhoneやAndroidのスマートフォンでも利用できます。

AT-UMX3は接続した楽器の音をまとめてステレオで入力する仕様なので、スマホのライブ配信で便利ですね。

補足

普通のオーディオインターフェイスはモノラル入力

スマホのライブ配信アプリはステレオ仕様のものが多く、モノラル入力のオーディオインターフェイスだと片耳からしか音が出ないんですよね。

UR22CをiOSのステレオアプリで使うと1chはLから、2chはRからしか聞こえない
普通のオーディオインターフェイスはこうなる

AT-UMX3はステレオ仕様のアプリでも問題ないので、そのへんの問題を気にする必要がありません。

アプリ仕様
17Liveモノラル
nanaモノラル・ステレオ切替可能
nanaパーティーステレオ
Poco-chaステレオ
インスタライブモノラル
LINEライブモノラル
※1chしか認識しない
ツイキャスステレオ
YouTube Liveステレオ
TikTokモノラル
※1chしか認識しない
GarageBandモノラル・ステレオ切替可能
iOSのビデオステレオ

本体の大きさ的にもスマホとセットで持ち歩けるサイズ感なので、スマホ配信用のミキサーとしてはかなり優秀です。

audio technica AT-UMX3とiPhone 13 Pro。正面から撮影

スマホでのライブ配信やnanaの歌録音などの用途では、とても使いやすい製品です。

また、Androidでも動作する点が良いですね。

筆者が検証機として使っているAQUOS sense2で試した感じは、普通にスムーズに動作していました。

audio technica AT-UMX3とAQUOS sense2。正面から撮影

AQUOS sense2でちゃんと動作するオーディオインターフェイスはほんとに少ないので、ちょっと感動しました(笑)。

YAMAHA AG03mk2との比較

製品audio technica AT-UMX3を上から撮影した
AT-UMX3
YAMAHA AG03MK2 ブラック
AG03mk2
入力コンボジャック
LINE(モノラル)
LINE(ステレオ)
コンボジャック
LINE(モノラル)
LINE(ステレオ)
AUX
出力Phoneモニターアウト
Phone ×2
(※同時使用不可)
AUX
ループバック
エフェクトなしEQ
コンプレッサー
リバーブ
AMPシミュ
実売価格約19,800円約17,500円

最後はライブ配信で定番のYAMAHA AG03mk2との比較です。

AG03mk2とAT-UMX3の違う点はDTMに必要な機能が備わっているかどうかです。

AG03mk2はスピーカーを接続するためのモニターアウトやRCA端子などが備わっています。

YAMAHA AG03MK2 ブラックの上部

また、DAWのCubase AIなどが付属しているため、配信以外に音楽制作をやりたいと考える人にも適しています。

更にDSPエフェクトとして、EQ、コンプレッサー、リバーブなどが使えます。

YAMAHA AG Controller EQ

歌枠の配信などをやる場合も、AG03mk2のほうが有利な点が多いです。

一方で、AT-UMX3はDTM系の機能は付けず、ライブ配信でよく使う機能をミニマムにまとめた作りになっています。

audio technica AT-UMX3とiPhone 13 Pro。左から撮影

そのため、AG03mk2と比べて、本体コントロールパネルがシンプルで直感的に操作しやすいです。

audio technica AT-UMX3とYAMAHA AG03
写真はAG03mk2ではなくAG03です

AT-UMX3は接続端子やソフトウェア周りもシンプルなので、初心者でも扱いやすいですね。

更にAT-UMX3はデフォルトでステレオ入力なので、iPhoneでのライブ配信もアプリの仕様を気にする必要がありません。

audio technica AT-UMX3とiPhone 13 Pro。正面から撮影

また音質に関して比較すると、Phone端子の再生音はAT-UMX3のほうが大分良いと感じました。

ダイレクトモニターのホワイトノイズもAG03と比べると、明らかに少ないので自分の声を聞き取りやすいです。

改めて、それぞれの製品に適した人をまとめると以下の通りです。

製品audio technica AT-UMX3を上から撮影した
AT-UMX3
YAMAHA AG03MK2 ブラック
AG03mk2
適した用途雑談配信
ゲーム実況
リモートワーク
動画編集
ライブ配信全般
DTM
動画編集

AG03mk2は万能で、一通りの使い方に対応できます。

AT-UMX3はもう少し守備範囲が狭いですが、その分、シンプルで使いやすいです。

雑談配信、ゲーム実況であれば、AT-UMX3のほうが使い勝手はいいのではないかと感じました。

 

audio technica AT-UMX3 まとめ

audio technica AT-UMX3の正面を左斜めから近めに撮影
  • audio techncaのライブ配信向けオーディオインターフェイス
  • シンプルな作りで音もなかなか良い
  • DTMや歌枠配信をやるならAG03mk2のほうが良い

ぎたすけ

配信やるけど、DTMはやらないって人は多いだろうから、合う人多そうだな

たけしゃん

そうだね。雑談とかゲーム実況やる分にはAT-UMX3のほうがわかりやすくて良いと思うね

audio technica AT-UMX3のレビューでした。

ライブ配信向けの機能をコンパクトにまとめて、整理したオーディオインターフェイスです。

こういった製品は意外となかったので、ちょうどハマる人は多そうだなと思いました。

シンプルで高音質な配信環境を構築したい人におすすめの製品です。

関連記事

YAMAHA AG03MK2で録音しているところオーディオインターフェイスの使い方。基本操作からDAW・配信での初期設定まで具体的に解説 AUDIENT EVO4 駆動しているところ。Macbookとセットで撮影オーディオインターフェイス おすすめランキング ベスト10【2024年】DTM、歌ってみたに適した機種を徹底解説 PreSonus AUDIO BOX GO 駆動中。側面安いオーディオインターフェイス おすすめランキング ベスト10。高コスパで失敗しない選び方も解説 MOTU M2をiPhoneで使っているところ【2024年】iPhone向け オーディオインターフェイスおすすめランキングベスト10。選び方や注意点をiOSで配信している筆者が徹底解説 コンデンサーマイクを10本並べた画像コンデンサーマイク おすすめランキングベスト10【2024年版】 〜プロアーティスト使用マイクも紹介〜 ライブ配信している部屋配信向けオーディオインターフェイス おすすめランキングベスト10。選び方や注意点を細かく解説 DTMをやっているデスク弾き語り配信に必要な機材の選び方とおすすめ製品を解説