YAMAHA 調音パネルACP-2をレビュー。部屋の音響を改善できるパネル

YAMAHA ACP-2を2枚設置した

ぎたすけ

調音パネルって音の響きを調整する板のことだよな?

たけしゃん

そうだね。部屋に置くと中低音が大分スッキリして、聴きやすい音場になるね
補足

サクライ楽器様にデモ機をお借りしました

メリット
デメリット
  • 設置するだけで部屋の音響が整う
  • 厚さ3cmと細い
  • 意外と軽い
  • 効果は部屋の環境による

調音パネルなし

audio technica AT4050を設置した写真

調音パネル2枚

YAMAHA ACP-2を2枚設置した
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音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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YAMAHA 調音パネルACP-2

YAMAHA ACP-2
制御周波数80~4,000Hz
寸法(WHT)587 ×1,200 × 29 mm
質量5.2 kg
付属品 壁掛金具
自立スタンド
固定L金具
公式サイト

設置するだけで部屋の音響が改善する調音パネル YAMAHA ACP-2

吸音だけでなく、音を散乱させる機能も併せ持っているため、クリアで心地よい音響空間を作ることができます。

YAMAHA ACP-2 アップライトピアノの裏に設置した
公式より引用

筆者も引っ越しした部屋の反響音が気になっていたので、購入検討するために借りてみました。

まずは製品仕様から細かく解説していきます。

仕様を飛ばしてレビューを読みたい方は<YAMAHA ACP-2をレビュー>を参照ください。

製品バリエーション

YAMAHA ACP-2 3つのカラーバリエーション
公式より引用

YAMAHA ACP-2は3つのカラーバリエーションが用意されています。

ちなみにホワイトと他2色では、価格や仕様が若干異なります。

カラーACP-2 WHACP-2 MB
ACP-2 MN
サイズ
(WHD)
587×1,200×29 mm587×1,200×30 mm
素材MDF(表面材基材)
オレフィンシート(化粧材)
合板(芯材)
MDF(表面材基材)
リアルウッド(表面化粧材)
PVCシート(化粧材)
合板(芯材)
重量5.2 kg5,7 kg
販売価格約49,500円約66,000円

公式サイトを見ても、製品特徴は3製品同一で説明されているため、性能が大きく変わるわけではなさそうです。

今回、レビューするのはホワイトカラーのACP-2 WHです。

YAMAHA ACP-2

また、縦幅が短いTCHという調音パネルもあります。

YAMAHA TCHとACP-2
左がTCH、右がACP-2
カラーTCHACP-2 WH
サイズ
(WHD)
600×900×28 mm587×1,200×29 mm
制御周波数125~4,000Hz80~4,000Hz
重量4,3 kg5.2 kg
販売価格約39,600円約49,500円

TCHはACP-2と比べると、縦が300mmほど短くなり、制御周波数も若干狭くなります。

その分、価格も1万円程度安くなります。

今回はACP-2を2枚、TCHを1枚の計3枚お借りしています。

広い帯域での吸音と散乱効果

YAMAHA ACP-2を壁に立てかけた

ACP-2は80~4,000Hzという広い帯域において、吸音と散乱効果をもたらします。

一般的な吸音材と異なる点は音を散乱させる性能も持ち合わせている点ですね。不快に響く成分を抑制しつつ、心地よい音場を作り出してくれます。

YAMAHA ACP-2の穴部分

また、80Hzとかなり下の帯域までカバーしており、一般的な吸音材では抑制できない低音域の響きも抑制できます。

付属品

YAMAHA TCHとACP-2を斜めから撮った
  • 壁掛金具
  • 自立スタンド
  • 固定L金具

付属品として、壁掛け用の金具や自立スタンドがついています。

自立スタンドがあるので、設置も楽で良いですね。

YAMAHA ACP-2 スピーカーの裏に設置した
公式より引用

僕はピクチャーレールに吊るそうと思っていましたが、デモ機は付属品なしだったので無理でした。

YAMAHA ACP-2を設置したところを横から撮影
そんなわけで壁に立てかけた

販売員の方に聞いた感じでは、付属品があればピクチャーレールで設置できるみたいです。

補足

ACP-2 WHは1枚5.2kgなので、ピクチャーレールの耐荷重に注意してください

ACP-2は厚みが29mm(MBとMNは30mm)と大分細いので、設置場所の自由度は高いですね。

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YAMAHA ACP-2をレビュー

YAMAHA ACP-2を2枚設置した

それでは、YAMAHA ACP-2を細かくレビューしていきます。

はじめにメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。

メリット
デメリット
  • 設置するだけで部屋の音響が整う
  • 厚さ3cmと細い
  • 意外と軽い
  • 効果は部屋の環境による

筆者の環境だと、リスニングや演奏時はかなり聴きやすい音場になりました。

一方でレコーディングした音は設置前と設置後でほとんど変化はありませんでした。

どの程度の変化があるかは部屋の状態によりそうですね。

低中音域がスッキリして聴きやすい環境になった

YAMAHA ACP-2をスピーカー裏に2枚設置した

取付金具がないため、片方が少し傾いてしまっていますが、スピーカー背面あたりにACP-2を2枚設置しました。

この状態でスピーカーから音を出すと、中低音域が大分スッキリして音が聴きやすいですね。

通常の吸音材は高い音を吸収し、低い音には効果はないものが多いです。

吸音材

対してACP-2は低音域をしっかり吸収しつつ、音を散乱させるので音が明瞭になり、より魅力的に聴こえる印象を受けました。

また、担当者の方のアドバイスで自身の背面にも設置してみましたが、これもなかなか良いです。

YAMAHA ACP-2とTCHを自分の背面に設置してみた

音が散乱するせいかスピーカーからの音が立体的に聴こえるようになって、臨場感が大分増しました。

部屋のレイアウト的にスピーカー正面から壁までの距離が短いせいか、この配置は結構効果を感じましたね。

一方で天井の反響音にはあまり効果はありませんでした。

筆者の部屋は天井に出っ張りがあって、そこが反響する要因になっているみたいなんですよね。

部屋の天井部分に段差がある

担当の方もこの出っ張り部分の反響は調音パネルで抑えるのは難しいと仰ってました。

とはいえ、座って弾き語りやリスニングする分には天井はそこまで反響しないため、聴音パネルの効果はしっかり実感できました。

レコーディングは効果をあまり感じなかった

audio technica AT4050を設置した写真

続いてはACP-2を設置した状態でボーカルとアコギを録音してみました。

まずは「聴音パネルなし」「聴音パネル2枚」「リフレクションフィルター」の3つの音声を聴き比べてみましょう。

調音パネルなし

audio technica AT4050を設置した写真

調音パネル2枚

YAMAHA ACP-2を2枚設置した

EYEBALL

EYEBALLは良くも悪くも明らかに音が変わりますね。

一方で聴音パネルあり、なしはほとんど違いを感じられなかったです。

アコースティックギターも聴音パネルあり、なしで音を比較してみましょう。

調音パネルなし

audio technica AT4050を設置した写真

調音パネル2枚

YAMAHA ACP-2を2枚設置した

アコギもほとんど違いはないですね。

ちなみにボーカルにコンプレッサーやマキシマイザーをかけて、音圧を上げても違いはほとんど出なかったです。

補足

コンプレッサーなどで音圧を上げると部屋鳴り音も大きくなるので、違いが出やすい

注意

下のサンプル音は音が大きいので注意してください

調音パネルなし

調音パネル 2枚

このへんの効果は自室の環境によるのかなという印象です。

筆者の部屋は天井の反響が少し気になりますが、部屋全体で反響しているような感じではありません。

部屋の天井部分に段差がある
天井の出っ張りが原因で反響するみたい

おそらくマイクは天井の反響音はあまり拾ってないのかと思います。

そのため、調音パネルを設置してもそんなに録り音は変わらないのかなと思いました。

もっと、全体的に反響してしまう部屋のほうが効果は感じやすかったかもしれないですね。

たけしゃん

担当の方も録音の音も変わると仰るお客さんが多いから、意外だったと仰ってました

ACP-2とTCHの違い

YAMAHA TCHとACP-2

今回はACP-2と一緒にTCHも1枚お借りしたので、両方試してみました。

ACP-2とTCHの仕様は下表の通りです。

カラーACP-2 WHTCH
サイズ
(WHD)
587×1,200×29 mm600×900×28 mm
制御周波数80~4,000Hz125~4,000Hz
重量5.2 kg4,3 kg
販売価格約49,500円約39,600円

結論、僕は違いほとんど感じなかったです。

ACP-2もTCHも同じように中低音域を抑えて、音を明瞭にしてくれると感じました。

YAMAHA ACP-2とTCHを自分の背面に設置してみた

そのため、個人的にはサイズ感で選べばいいのではないかと思いました。

ACP-2のほうが300mmほど縦に長いので、カバーできる範囲が広いです。

YAMAHA TCHとACP-2を斜めから撮った

縦長のスピーカーなどをカバーする場合などはACP-2のほうが適していますね。

YAMAHA ACP-2 スピーカーの裏に設置した
公式より引用

逆にカバーする範囲がそこまで広くなくてよいなら、TCHで十分だと感じました。

お試しで貸出してくれる

YAMAHA ACP-2 3つのカラーバリエーション
公式より引用

YAMAHAの調音パネルは販売店でお試し用に貸出されています。

なので、販売店が近くにある方はまずはお試しで借りてみることをおすすめします。

ちなみに貸出可能機種や貸出条件は販売店によって異なるようです。

筆者が問い合わせた販売店さんだと、ACP-2 WHとTCHが貸出可能で運送料3,300円が必要でした。

補足

購入する場合は運送料分を本体価格から値引きするとのことでした

また、筆者の場合は営業の方が設置する部屋に入って、実際に音を出しながら設置場所を試してくれました。

お近くに販売店がある人はまずは貸出の相談をしてみると良いと思います。

 

YAMAHA ACP-2 まとめ

YAMAHA ACP-2
  • 吸音と散乱の機能を併せ持つ調音パネル
  • 設置すると中低音を抑えてくれるので、音がスッキリする
  • 販売店でお試しで貸してくれる

ぎたすけ

こんな板を置くだけで音の聴こえ方が大分変わるもんなんだな

たけしゃん

スピーカーから鳴らす音はかなり良い感じになってたからすごいなと思ったね

YAMAHA ACP-2のレビューでした。

筆者の部屋だとレコーディングでの効果はなかったですが、リスニング用途ではかなりの違いを感じました。

また、弾き語りの練習でも自身の演奏が聴こえやすくなっていました。

YAMAHA ACP-2を2枚設置した

なので、練習部屋やリスニングルームには非常に良いアイテムだなと感じました。