L.R.Baggs VOICEPRINT DIをレビュー。iPhoneを使ってアコギの音をシミュレートするエフェクター

L.R.baggs VOICEPRINT

評価:4

ぎたすけ

iPhoneでアコギの音を再現って面白いな!専用アプリみたいなのがあるの?

たけしゃん

iPhoneで録音した音を専用アプリでシミュレートしてエフェクター本体に連携する機種だね。ユニークで面白いよね
補足
レビューのために国内正規代理店のJES International, Inc様よりデモ機を貸していただきました
先にVOICEPRINT DI 評価まとめ
音質
 (4)
機能性
 (4.5)
利便性
 (4)
価格(5.5万円程度)
 (3)
総合評価
 (4)
メリット
デメリット
  • 他のシミュレート系エフェクターより数段強力な補正がかかる
  • iPhoneのBluetoothで遠隔操作可能
  • EQがプラグインレベルで超細かく調整可能
  • DIとしても機能する
  • iPhone 6以降のiPhoneが必要
  • チューナー機能はない
  • EQはiOSアプリからのみ操作可能
  • 電池では駆動しない
  • 価格が高め

シミュレート前の原音

シミュレート機能を使った音

VOICEPRINT DIの特徴

L.R.baggs VOICEPRINTをiPhoneと連携させていてるところ

2021年2月に国内販売を開始したL.R.Baggsの新製品 VOICEPRINT DI。

iPhone用の専用アプリを介して、iPhoneの内蔵マイクで録ったアコギの音を基にプリセットトーンを作成してピックアップに反映させる製品です。

補足

iPhone6以降のモデルのみ対応。Androidは非対応です

作ったプリセットはアプリを介して本体に保存されるので、演奏時はエフェクター本体だけで動作します。

本体左右にはギターシールドを繋ぐための接続口があります。

L.R.Baggs VOICEPRINTの横部分。ギターシールドを繋ぐジャックがある
L.R.Baggs VOICEPRINTの横部分。ギターシールドを繋ぐジャックがある

接続するピックアップはアクティブ、パッシブタイプのどちらでも大丈夫です。

L.R.BaggsらしくD.I機能も兼ね備えており、XLRアウトの端子もついています。

L.R.Baggs VOICEPRINTの裏面。XLRアウトとセンド端子がある

センド&リターンもついているので、他のエフェクターをセンド&リターンで接続することも可能です。

D.I機能もあって、アンチフィードバックなどもついているのでプリアンプとしても使えます。

普通に弾き語りライブで使うなら、アコギ用のプリアンプ&エフェクターはVOICEPRINT DI 1台で済みそうな感じですね。

色々試した感じはボイスプリントデータの作成とEQの設定以外は本体操作だけで対応できました。

本体の電源は付属のACアダプタで取ります。

L.R.baggs VOICEPRINTとACアダプタ

接続口は本体右側にあります。

L.R.baggs VOICEPRINT

電源が入るとディスプレイに赤文字が表示されます。

電池では駆動しないので注意しましょう。

続いて、本体のツマミやペダルの機能、実際のボイスプリントデータ作成までの流れを解説していきます。

本体機能や使い方の話は飛ばして、実際の音質比較などを読みたい方は<VOICEPRINT DIのレビュー>を参照ください。

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VOICEPRINT DIの本体機能

L.R.baggs VOICEPRINT

VOICEPRINTはiPhoneとの連携が目玉機能ですが、本体だけでもかなり多機能です。

iPhoneの専用アプリでフルコントロール可能なので、基本は専用アプリで調整したほうが楽ですが本体操作も一通り理解しておくと本体だけの環境で苦労しませんね。

まずは本体上部にある各ツマミの機能です。

L.R.baggs VOICEPRINTのツマミ 機能説明

本体だけでも一通りの操作はできるようになっています。

アンチフィードバックは回すとアンチフィードバック機能が働き、長押しすると位相が反転します。

PADの切替はボタンを押すごとに0db、-3db、-6db、-9dbと変わっていきます。

VOICEPRINTでPADスイッチを押して-6dbにした写真

ディスプレイ側に今の状態が表示されるので、設定しやすいですね。

続いてはペダル機能です。ペダルはいたってシンプルでミュートとプリセット切替の2つです。

L.R.baggs VOICEPRINT ペダルの機能

プリセットの切替はペダルを1回押すごとに次のプリセットに移行する仕様です。

なお、チューナー機能はついていませんので、別途用意しましょう。

ボイスプリントデータの作成

L.R.baggs VOICEPRINTをiPhoneと連携させていてるところ

さて、VOICEPRINTの目玉機能であるiPhoneと連携した音のシミュレーション機能についてです。

まず対応機種はiPhone6以降のiOS端末です。

補足

iPadは使えますが、アプリがiPhone用しか用意されていないので画面サイズなどは適合しません

まずはApple Storeから専用アプリをインストールしましょう。

LR Baggs AcousticLive

LR Baggs AcousticLive

L.R. Baggs Corp.無料posted withアプリーチ

アプリをインストールしたら、VOICEPRINTの電源をONにします。

また、iPhoneとはBluetooth接続になるので、iPhone側のBluetoothをONにしてアプリを立ち上げましょう。

アプリを立ち上げると近くのVOICEPRINTをスキャンしはじめます。

VOICEPRINTをスキャンしているところ

見つかったら、そのまま「ADD PEDAL」をタップしてペアリングを開始します。

VOICEPRINTを見つけたら、ADD PEDALをタップしよう

すると英語で本体の左から2番目のボタンを長押しして、4桁のパスコードを見るように画面指示が出ます。

VOICEPRINTのペアリング方法
VOICEPRINTのペアリング用パスコードの出し方を画像で説明

4桁のパスコードが出たら、アプリ側に戻ってパスコードを入力するとペアリングが完了します。

ちなみに僕の環境だとBluetoothの検知がされにくいときがちょこちょこありました。

補足

メーカーさん側でも検証してもらいましたが、大丈夫だったので僕のiPhoneの問題の可能性が高そうです

スキャンしなかったり、ペアリングしない場合はiOS側のBluetooth設定がちゃんとしているか確認しましょう。

それでも成功しない場合はiPhone、VOICEPRINTを再起動したり、時間を空けて再度チャレンジしてみましょう。

ペアリングが成功したら、下記の画面になります。

VOICEPRINTのペアリング成功直後の画面

「CRATE NEW VOICEPRINT」から早速、ボイスプリントを作成していきましょう。

なお、ボイスプリント作成にはエレアコとVOICEPRINT本体を接続する必要があります。

エレアコに接続したギターシールドを本体右側のジャックに差し込みましょう。

VOICEPRINT DIとエレアコを繋いだ写真

ボイスプリントはピックアップの音とiPhone内蔵マイクの音をブレンドして作られるので、エレアコと接続していないと適正なトーンが得られません。

たけしゃん

試しにエレアコを繋げずに作ってみたら、ものすごくこもった音になってしまいました

さて、エレアコを繋いでボイスプリント作成画面に進むと、まずはチュートリアル画面が流れます。

VOICEPRINTのチュートリアル画面

ぎたすけ

全部英語か…。辛いな…。

たけしゃん

代わりに全工程でチュートリアル動画が表示されるから、動画見ながらやれば問題なくできたよ

最初の画面ではiPhoneの設置位置調整と音量調整を行います。

「input pad」のパラメーターでiPhone内蔵マイクの音量を下げることができます。

僕は特に下げる必要はなかったです。

調整が終わったら「CREATE VOICEPRINT」をタップして進みましょう。

VOICEPRINTのモード選択画面

ボイスプリントの作成モードがデフォルトとアドバンスの2つから選べます。

デフォルトは音の録り方が指定されていて、アドバンスは自由に弾いて音を選択できるモードっぽいです。

チュートリアルを見た感じだとエレアコ以外のアコギや他の弦楽器を録るのにつかわれてる感じでしたね。

エレアコで普通に録る分にはDEFAULTをタップしましょう。

続いては、実際のアコギの音を録っていきます。

これが、結構ちゃんとした段取りになっていて4工程に分かれています。

ボディを叩く音を録る
VOICEPRINT タッピングの音を録るチュートリアル動画

チュートリアル動画を参考にボディを叩く音を録ります。START STEP1をタップすると録音開始です。

録音はやり直しもできるので安心してください。

ストロークを録る
VOICEPRINTのストロークを録音画面

続いてはストローク音を録音します。色んなフレットで弾いた方がいいっぽいです。

アルペジオを録る
VOICEPRINTでアルペジオを録る画面

その次はアルペジオを録ります。アルペジオも色んなフレット位置で演奏した方がいいみたいです。

スケールを録る
VOICEPRINTでスケールを録る

最後は最低音から最高音まで好きなスケールを録ります。色んなスケールで試してみましたが、普通にドレミファソラシドで問題なかったです。

完成したボイスプリントを聞く
作成したVOICEPRINTを聴く画面

完成したボイスプリントをON・OFFして音の違いを確認できます。オーディオインターフェイスやギターアンプに繋いで音を出して確認しましょう。

プリセットを保存
VOICEPRINTのプリセット保存

VOICEPRINT本体ディスプレイに表示される4文字(アルファベットのみ)とアプリ内で表示されるプリセットの名前や説明文を入力して作成したプリセットを保存します。

以上でボイスプリントのプリセット作成は終了です。

作成したプリセットはアプリを介してEQ、原音とのミックス割合、アンチフィードバックなどの調整が可能です。

VOICEPRINTのEQ
VOICEPRINTのアンチフィードバック
VOICEPRINTのインプットレベル

なお、EQの調整以外はVOICEPRINT本体のツマミでも調整可能です。

EQはアプリ経由のみのコントロールになりますが、代わりにかなり細かく調整できます。

プリセットが用意されており、ボタン1つでそれなりに調整できるのもいいですね。

VOICEPRINTのEQ

プリセットでは微妙という人はCUSTOM EQで細かく調整できるようになってます。

VOICEPRINTのCUSTOM EQ画面

EQのグラフィック画面のカラフルな◯をタップしてパラメーターをいじるだけなので感覚的に調整できます。

普段、DAWでEQ調整している人には分かりやすい作りです。

なお、プリセットは99個まで保存できるため保存数で困ることはありません。

またアプリ側にはプリセット名の他に説明文も入力できるようになっているので、プリセット整理もだいぶしやすくなってます。

多機能でアプリ内の操作説明や動画の説明は全て英語ではありますが、国内正規代理店のJES International, Incが日本語の取扱説明書を用意してくれています。

 

VOICEPRINT DIをレビュー

L.R.baggs VOICEPRINTをiPhoneと連携させていてるところ

それでは、VOICEPRINT DIを細かくレビューしていきます。

はじめに箇条書きでざっくりとレビュー内容をまとめたものがこちら。

  • シミュレートされた感じの音だが、かなり強力に音質が変わる
  • LINE録りより、アンプやスピーカーで出力したときに良い感じ
  • EQはかなり細かくて使いやすい
  • Bluetoothが反応しないときもあった
補足

Bluetoothの件はメーカーさん側でも検証してもらいましたが大丈夫だったので、僕のiPhoneの問題の可能性が高そうです

さすがにマイク録りのような音にはならないですが、ピエゾ臭さはほぼなくなります。

特にアンプやスピーカーで出力した出音はナチュラルで抜けも良くて良いですね。

レビューでは実際に録った音を並べて比較できるようにしましたので、参考にしてください。

レビューの目次

シミュレートされた音にガッツリ変わる

VOICEPRINTを動作させている写真

L .R .Baggs Anthemを搭載したGibson J-45で色々と試してみました。

まずはAnthemだけの音、VOICEPRINT DIを通した音、コンデンサーマイクで録った音を比べてみましょう。

Anthemの音

Anthem

VOICEPRINTを通した音

VOICEPRINTを動作させている写真

コンデンサーマイクで録った音

TLM102にショックマウントを取付けした

いかがでしょうか。

流石にコンデンサーマイクで録った音は生感もあって抜群ですが、Anthem単体に比べるとVOICEPRINTはピエゾっぽさがなくなって聴きやすい音になってますね。

一方でVOICEPRINTの音は明らかに補正・調整された感じの音なので、好き嫌いはありそうかな〜とも感じました。

続いて、ZOOMのエフェクターでシミュレート機能を使って録ったピックアップの音とも比較してみましょう。

ZOOM AC-2を借りてた時にTaylor 814ce(FISHMANのピエゾ)で録った音と、同ギターでVOICEPRINT DIを通した録った音の比較です。

ピックアップの音

Taylor 814ce

ZOOM AC-2

ZOOM AC-2を使っているところ
補足

Martin 000のモデリングをかけた音です

VOICEPRINT DI

VOICEPRINTを動作させている写真

聴き比べてみると、VOICEPRINT DI側はピエゾ臭さが見事に無くなってますね。

というか、全然違う音になってます。

他社製品と比べても、かなり強力に音が変化しています。

あとはこのシミュレートされた音が好きかどうかってところですね。

僕はピエゾの原音よりは遥かに好きなので、すごく良いなと思いました。

アンプやスピーカーを通した方が良い感じ

THR30ⅡA WirelessをSM57で録ってるところ

※THR30ⅡA Wireless

前述の比較音源ではVOICEPRINT DIからLINEでオーディオインターフェイスに送ってますが、やっぱりマイク録りとの差はそれなりに大きく感じます。

一方でスタジオなどでアンプやスピーカーから大きい音を出す場合はVOICEPRINT DIの出音は抜けもいいし、ハウリングもしないのでかなり良い感じなんですよね。

なので、自宅からのライブ配信などで使うよりはスタジオやライブハウスなどで大きい音を出すときにこそ本領発揮する製品ですね。

自宅からの配信でピエゾの音をなんとかしたい…という要望にも対応はしますが、静かな環境ではマイク録りには勝てないので理想は環境によってマイクと使い分ける感じかなと思いました。

EQはかなり細かくて使いやすい

VOICEPRINTのCUSTOM EQ画面

VOICEPRINT DIのEQは効き方も良好で、かなり細かく調整可能です。

普通はエフェクター内蔵のEQは3〜5バンドで本体ツマミで調整するタイプですが、VOICEPRINT DIはアプリのみでの対応にしたことで調整の自由度が大分広がってます。

小型エフェクター内蔵なのにハイパス、ローパスが使えたり、EQの効かせる帯域もピンポイントで絞れたりするのはソフトウェア動作に絞ったからこその強みな感じはしますね。

プリセットで呼び出しも可能なので、何種類か攻めた音を事前に作っておいて使い分けも可能です。

アプリのUIも使いやすいので、EQやアンチフィードバックなどボイスプリント機能を除いても純粋に優秀なDI・プリアンプですね。

ライブ時は本体操作をメインにしよう

VOICEPRINTのペアリング方法

3週間ほどお借りして使っていたのですが、Bluetoothが繋がらない時は繋がらないです。

基本的には一度ペアリングに成功すれば、瞬時に繋がるのですがダメなときはダメなんですよね。

補足

メーカーさん側でも検証してもらいましたが大丈夫だったので、僕のiPhoneの問題の可能性が高そうです

本体再起動しても、アプリからプロファイル消してスキャンし直しても認識されなかったり。

ただ、時間を置くと普通に解決します。

ライブ本番でBluetoothを使ってスマホからコントロールする際は保険で、本体操作でも対応できるように操作方法は覚えておきましょう。

L.R.baggs VOICEPRINTのツマミ 機能説明
L.R.baggs VOICEPRINT ペダルの機能

幸い、本体操作は簡単ですし、ディスプレイもついているので普通のコンパクトエフェクターよりは楽です。

VOICEPRINTで設定を変更するとディスプレイに表示されるのでわかりやすい

まあ、ライブ本番で演者がEQ調整するのはあんまりないと思うので、本体操作だけで困ることはないはず。

当日、Bluetoothが繋がらなくて焦ることがないよう準備は余裕を持ってやりましょう。


細かくレビューしてきましたが、VOICEPRINT DIの強みはこの2つ!

  • ボイスプリントによる音の変化が強力!ピエゾ臭さはほぼなくなる
  • EQがアプリでしか操作できない分、非常に細かく多機能

弱いところはやっぱ、価格ですかね…(笑)。

実売価格で5.5万円程度します。流石にこれだけの機能となると、2〜3万円じゃ買えないですね。

とはいえ、マイクを使わずにこれだけナチュラルな音を出すのは困難ですから、エレアコでのライブが多い人は5万出す価値は十分ありますよ。

 

L.R.Baggs VOICEPRINT DI まとめ

L.R.Baggs VOICEPRINT DI
  • VOICEPRINT DIはiPhone内蔵マイクで録音した音を基にシミュレートした音を出せるエフェクター
  • シミュレートされた音は強力でピックアップのピエゾ臭さをほぼ完全に無くしてくれる
  • EQやアンチフィードバック機能も優秀でDI・プリアンプとしても良い

ぎたすけ

音を比べてみると、確かにピックアップだけの音や他のエフェクターと大分違うな

たけしゃん

ここまで強力に音を変えるのってなかったと思うよ。シミュレートにハイテクスマホの処理能力使うって発想が良いよね

VOICEPRINT DIのレビューでした。

スマホの高度な処理能力を活かすというおもしろアイデアが搭載されたL.R.Baggsの新製品です。

アコギの生音をシミュレートできるプリアンプはこれまでもありましたが、L.R.Baggsってあまり出してなかったと思うんですよね。

どっちかというと原音に忠実にブラッシュアップする感じの製品が中心というイメージ。

満を辞して投入してきた製品なのもあって、やっぱりすごかったですね!