アコギの単板と合板の違いとは。ギターの音への影響を解説

ギターの単板と合板を説明した図解

ぎたすけ

単板と合板ってアコギだとよく聞くけど、そんなに違うものなの?

たけしゃん

それなりに違いはあるけど、結局は使ってる木材とか作り手の技術の方が大きい気はするね
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たけしゃん

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ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
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単板と合板とは

ギターの単板と合板を説明した図解

ギターにおける単板・合板は木材の構成の違いを指します。

単板は1枚の木材をつなぎ合わせたもの、合板は複数の木材を圧着して構成したものを言います。

木材をつなぎ合わせても単板ですが、重ねる(圧着する)と合板になるため、定義がやや複雑ですね。

YAMAHA FGX5 背面
これは木材を繋ぎ合わせている2ピースの単板

なお、繋ぎ合わせる単位をピース、重ねる単位をプライと呼びます。

サイド&バッグは上図のように2ピースになっている単板ギターが多いですね。

補足

Martin D-35のように3ピースのギターもある

また、トップ材とサイド&バック材は分かれており、両方単板のものをオール単板と呼びます。

アコースティックギターのパーツ名称

安価なギターでもトップ材は単板なことが多いです。

対して、サイド&バックも単板になるのは、国産で10万円あたり、海外ブランドだと20万あたりからという相場感ですね。

なお、英語では単板はソリッド(Solid)、合板はレイヤード(Layered)と記載されます。

補足

合板はラミネートやプライウッドと記載されることもあります

メーカーの製品仕様書は英語で記載されているものが多いので、覚えておくと良いでしょう。

 

単板と合板の違い

壁美人ギターヒーローで3本のギターを並べた

続いて、単板と合板の違いです。

やはり、1枚の木材から作られる単板の方が希少で価格も高いです。

ザックリの相場感

構成価格帯
オール合板数千円〜数万円程度
※最近はあまりない
トップ単板
サイド&バッグ合板
数千円〜10万円程度
最近の安いギターほぼこれ
オール単板国産は10万円〜
海外ブランドは20万円〜

じゃあ、高い単板の方がいいのか?というと、そうとも言い切れないのが難しいところです。

本章では単板と合板の違いを掘り下げて解説していきます。

単板と合板の違い 目次

鳴りは単板の方が良い

Gibson J-45

オール単板のメリットとして、まず挙げられるのが鳴りの良さです。

圧着して重ねている合板より、単板のほうが振動するので楽器としての鳴りがいいです。

これは実際にいろんな楽器を演奏してみても感じることですね。

やはり、オール単板はよく鳴りますし、弾きこむことで更に鳴りが良くなってくれます。

C414XLIIでギターのレコーディングしているところ

参考までにオール単板ギターとサイド&バックが合板のギターのサンプル音を聴き比べてみましょう。

オール単板(YAMAHA FGX3)

YAMAHA FGX3

サイド&バック合板(Taylor 214ce)

Taylor 214ce

木材の組み合わせも異なるので参考程度ですが、弾いてる感覚でもFGX3の方が鳴ってる感は強いです。

10万円台だとオール単板と合板ギターの両方が存在しますが、やはりオール単板の方が総じて鳴る印象はあります。

YAMAHA FGX3
YAMAHA FGX3は10万円前半でオール単板

新品のギターを色々触ってると、オール単板の方が鳴るというのは肌感としてもありますね。

一方で合板だと、必ず鳴らないかというとそうでもないです。

例えば、Japanビンテージ的なYAMAHAなどの古いギターはオール合板ですが、ものすごく鳴ります。

YAMAHAの古いギター

また、ギター工房に取材に行くと、希少なビンテージ木材を組み合わせた合板ギターなどもあり、やっぱりものすごく鳴るんですよね。

なので、一般論として合板は鳴りにくいですが、例外も多々あると感じています。

結局は使用する材や作り手の技術の方が影響力は大きいと思います。

合板は頑丈

YAMAHA FG820

合板は単板に比べて、耐久性に優れています。

複数の木材を圧着させているので、1枚の単板よりは頑丈なのは何となくわかりますね。

そのため、用途的に耐久性が重要な製品ではあえて合板が使われていたりします。

OF422Nのネックを取り外しているところボタンを押してロックを解除しよう
Journey Instruments OF422N

前述のJAPANビンテージのオール合板ギターも頑丈なので、何十年も使用され続けています。

初心者向けの低価格帯のギターも消耗品パーツは壊れますが、ボディ自体は非常に長持ちだったりしますよね。

YAMAHA FG820

オール単板は湿度管理など気をつけないと、割と簡単にボディが割れます。

なので、ちょっとした趣味で持つ分には合板のギターの方が良かったりします。

単板と合板を見分けるのは難しい

カッタウェイのアコギ

単板と合板をぱっと見で見分けるのは正直無理です。

トップ材はサウンドホール内の繋ぎ目でわかる人もいるそうですが、サイド&バックは職人さんでも無理とのことでした。

そのため、メーカーの製品仕様をちゃんと確認するようにしましょう。

なお、メーカー毎に表記は異なりますが、単板だと単板もしくはSolidと書かれていることが多いです。

カッタウェイのアコギを横から撮った

逆に合板だと何も書かれていないことが多いですね。

補足

Taylorは逆で合板だとLayeredと記載され、単板は何も書かれていません

また、オール単板は商品説明欄などにオール単板と記載されていることも多いです。

表記を見てもわからない場合は楽器屋の店員さんに確認しましょう。

 

単板と合板 まとめ

Fender CC-60S Concert
  • 1枚の木材を繋いだものを単板、複数の木材を重ねたものを合板と呼ぶ
  • 合板の方が安いが、単板の方が鳴る傾向にある
  • 合板の方が耐久性は高い

ぎたすけ

なるほど。必ずしも高い単板の方が優れているってわけでもないんだな

たけしゃん

そうだね。一般的には単板の方が鳴るけど、例外も多々あると認識しておくといいね

ギターにおける単板と合板の違いについてでした。

ギターも生き物なので、単板と合板のどっちがいいと単純に言いきれないところがまた面白いところですね。

単板・合板それぞれの良いところを理解しておくと、ギター選びが一層楽しくなるのではないかと思います。

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