ぎたすけ
たけしゃん
- 単板と合板の違い
- アコギにおける単板と合板による音への影響
単板と合板
たけしゃん
- 単板…1枚の木材、あるいは1枚の木材を繋ぎ合わせた木材のこと
- 合板…複数の木材を重ねた(圧着した)木材のこと
単板・合板は主にボディトップ(ギター表面)とボディバック(ギター背面)の2か所に使われる言葉です。
トップとバックは通常、異なる木材で構成されているのでトップが単板、バックが合板というパターンもあるわけですね。
そして、単板・合板の区別は木材を重ねている(圧着している)かどうか?が基準になります。
木材を重ねる単位をプライと呼び、繋ぎ合わせる単位をピースと呼びます。
プライ
プライは英語で層を意味します。
合板は英語でPlywoodと呼ぶので、そこからきているのでしょう。
薄くスライスした木材を何層にも重ねて圧着させることで、単板と同じ強度の木材(合板)を作り上げます。
ギターで使用する木材は見た目も綺麗で丈夫で形も適していなければいけません。
その複雑な条件を満たす木材を切り出すには大きく、丈夫な木材を調達する必要があります。
大きくて丈夫な木というのは年々希少になっており、調達するのはコスト的にも大変なことなのです。
そこで、複数の木をスライスして圧着させることで様々な木材を使うことができるわけですね。
コスト的に環境的にも合板の利用は推奨されており、各ギターメーカーでより良い合板を開発しています。
ピース
ピースは木材を繋ぎ合わせることです。
2枚繋ぎ合わせたものは2ピース。3枚なら3ピースと呼ばれます。
単板か合板化の区別に繋ぎ合わせた枚数は関係ありません。
何ピースであっても、各木材が全て単板であれば単板扱いになります。
実際、トップやバックを1枚の木から切り出すのは形や木目の調整等の観点で困難であり、1ピースのギターはほとんどありません。
アコギはトップもサイド&バックも、それぞれ2ピースで構成されているものが多いです。
また、Martin(マーチン)D-35のように3ピースバックとなっている高級ギターも存在します。
トップはピースの構成が見た目ではわかり辛いですが、中央部分をよく見るとつなぎ目が見えます。
対して、バックはつなぎ目が装飾されていることが多く、わかりやすいです。
1ピースのギターはそもそもレアですが、存在してもカスタムショップ製などで価格が跳ね上がっていることが大半です。
対して、2ピースと3ピースでは一概にどちらが良いということもなく価格差もわかり辛いです。
実際に3ピースであるMartin(マーチン)D-35を愛用されているアーティストは多くいます。
ソリッド
ギターの仕様書を見ると木材の頭に「ソリッド」とついていることがあります。
例
- ソリッド・スプルース
- ソリッド・インディアン・ローズウッド
このソリッドは単板であることを指しています。
ただ、お店やメーカーによってソリッドをつけるところとつけないところがあります。
なので、ソリッドがないからといって、必ず合板というわけでもありません。
単板と合板の見分け方
ハッキリ言って…見た目で見分けるのは無理です!
トップ材ならサウンドホール内のつなぎ目で分かる人はいるそうですが、バック材は職人さんでも見てわからないそうです。
というわけで、見た目での判別は諦めてメーカーが出しているギターの仕様をちゃんと確認しましょう。
単板と合板によるギターへの影響
たけしゃん
ギターの価格としては単板のほうが高く、高級ギターは必ずと言っていいほどトップもサイド&バックも単板を使用しています。
実際に単板と合板でどんな違いがあるのかというと…。
- 音の鳴り
- 丈夫さ
- 価格
この3点が大きく違ってきます。
音の鳴りの違い
合板は木の板を異なる方向に重ねているため、弦の振動音が上手く伝わらず単板に比べると鳴らないと言われれています。
木は音を鳴らし続けることで成長し、音の響きが豊かになりますが合板ではこの成長自体も弱いです。
よって、音の鳴りや弾き込むことでの成長を期待するプレイヤーには単板がおすすめ。
そして、高級ギターに単板が好んで用いられるのも木の鳴りと成長が単板の方が優れているためです。
実際に合板ギターと単板ギターで演奏した動画を見てみましょう。
合板ギター
演奏に使っているギターはMartin DX1。
トップ材、サイド&バック材共にHPLと呼ばれる合板を使ったギターです。
ジャキジャキっとした音で箱鳴りの響きは薄いです。
ただ、切れ味のあるストローク音は作りやすくてファンクっぽく弾くときは割と良いです。
合板のギターは豊かな鳴りがするものはないですね。
良い感じで使えるものはどれも、ジャキっとした音質になっています。
単板ギター
演奏に使っているのはTaylor 814ceです。
トップ材:スプルース、サイド&バック:ローズウッド。
どちらも単板の2ピースになっています。
箱鳴りもしっかりしており、響きも豊か。
単音もストロークもバランス良い出音になっており、聴きやすい音です。
また、Mixでギターの音を調整しているのでわかり辛いですがTaylor 814ceはMartin DX1より生音が一段階大きいです。
ボディサイズはTaylor 814ceのほうが小さいので、中での共鳴具合に相当差があるんでしょうね。
まあ、価格差も5倍くらいありますが…(苦笑)。
丈夫さ
ボディの丈夫さは合板のほうが上です。
木材を異なる方向に重ねて圧着しているので、乾燥や経年変化に強いです。
実際に僕の家でも同じ環境ですが、単板ギターであるTaylor 814ceはボディの変化で割とメンテナンスが必要となります。
対して合板ギターのMartin DX1はボディのひびやふくらみなど、長年使っていても全く発生していません。
しかも、Martin DX1は元々は知人が弾かずに長年放置していたギターなので、そう考えると本当に丈夫です。
初心者の方が始めに買うギターとしては鳴りがイマイチでも合板の方がトラブルが少なくて、おすすめですね。
価格
- オール単板…10万円あたりから登場し、上の価格帯はほぼ単板のみ
- トップ単板・バック合板…5万円くらいから登場。15万円くらいから存在しなくなる
- オール合板…安いギターはほぼオール合板。10万円くらいから存在しなくなる
単板と合板の価格帯としてはザックリはこんな感じです。
なお、海外メーカーのほうが価格は高めに設定されていることが多いです。
同じ価格帯でも、海外メーカーはオール合板で国内メーカーはオール単板が存在したりします。
例えば、10万円でMartin(マーチン)やGibson(ギブソン)などの海外メーカーのギターを探すとオール合板か一部合板しかありません。
対して、YAMAHAやTakamine(タカミネ)であれば、10万円でオール単板のギターもあります。
僕含め、10~20万円くらいの予算だと国内メーカーを推す人が多い理由は木材の違いにあるわけです。
メーカーにこだわるか、木材にこだわるかが分かれるポイントでもあります。
単板と合板の違い まとめ
- 単板と合板の違いは木材を重ねて圧着しているかいないかの違い
- 単板の方が音が良い、合板の方が丈夫で安い
- ギターの扱い方を知らない初心者の段階では合板ギターがおすすめ
ぎたすけ
たけしゃん
単板と合板の違いについての解説でした!
まあ、ギター選ぶ時にそこまで気にしないですが、店員さんは単板と合板の違いを推す人が多い気がしますね。
単板と合板の違いもありますが、そもそもの木材の質や特性にも差があったりします。
必ずしも、単板の方が音が良いとも言えないので確実なのは弾いたときの自分の感覚を信じることです。
ただ、色んなギターを知って色んな違いを知っていくと奥が深くてギター探しが楽しくなります。
単板と合板のギターをそれぞれ弾き比べてみて違いを感じるのも楽しいですよ。
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