テンションコードとは。ギター弾き語りでの使い方を実例付きで具体的に解説

良く使うテンションコード 7選

ぎたすけ

テンションコードって難しいやつだろ。難しいのはわからないぞ!

たけしゃん

理論的な話もするけど、後半では理論わかんなくてもこれだけ覚えておけば、おしゃれな弾き語りできる…!ってやつも解説するからさ

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音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

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プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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テンションコードとは

CM7のテンションコード

テンションコードとは4和音コードに「9」「11」「13」にあたる音を重ねることで構成されるコードを指します。

なので、コードネームの例を出すと

  • CM7(9)
  • C7(♭9)
  • CM7(#11)
  • C7(13)

などなど、後ろの()内に9・11・13の数字が入ってるものがテンションコードになります。

テンションコードは構成音が多く、音の重なり方も複雑で響きも複雑になります。

その複雑さがおしゃれなテイストを生み出して、ジャズやブラックミュージックに活用されています。

最近流行りのシティポップやネオソウルにおいてもテンションコードは欠かせないですね。

ぎたすけ

藤井風さんとかSIRUPさんとかだな!

たけしゃん

そうだね。藤井風さんはほんとにテンションコードが多いね

まずはテンションコードの理論的な話から解説していきます。

とはいえ、理論だけ覚えても役に立たないので後半の<弾き語りでよく使うテンションコード>で譜例を基に色々弾いてみることを強くおすすめします。

テンションコードとは 目次

テンションは2・4・6の音

ギターコードにおけるテンションの音とはどれか?

※Cがつくコードなら「レ(9)」「ファ(11)」「ラ(13)」となる

テンションとは「9度」「11度」「13度」の音を指します。

そして、それぞれの音は下記のような関係性になっています。

  • 2度の1オクターブ上=9度
  • 4度の1オクターブ上=11度
  • 6度の1オクターブ上=13度

たけしゃん

1オクターブ上になると、度数が+7されると覚えておくと逆算できて便利ですね

1度・3度・5度・7度の音は通常の4和音コードの構成音にあたるので、1オクターブ上に上げてもテンションとは呼ばれません。

なお、音の呼び方は以下の通りです。

  • 9(ナインス)
  • 11(イレブンス)
  • 13(サーティーンス)

このあとは9、11、13のテンションコードをそれぞれ解説していきます。

なお、よく使うコードフォームについては後半の<弾き語りでよく使うテンションコード>で解説するので、本章では割愛しています。

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9th(ナインス)

9thを使ったテンションコードの解説

9th(ナインス)はテンションの中でも、最もよく使用される音です。

特に最近のシティポップなどでよく使われているのは下記の4種類。

  • ⅠM7(9)…CキーではCM7(9)
  • Ⅱm7(9)…CキーではDm7(9)
  • ⅣM7(9)…CキーではFM7(9)
  • Ⅴ7(9)…CキーではG7(9)

CM7(9)

Dm7(9)

FM7(9)

G7(9)

このあたりはおしゃれ曲では定番でよく出てきます。

また、プラスしてⅢ7(♭9)もおしゃれ曲のアクセントとしてよく利用されます。

補足

Ⅲ7(♭9)はCキーではE7(♭9)

たけしゃん

Ⅲ7(♭9)は藤井風さんの楽曲でよく登場しますね!

そんなわけで、9th絡みのテンションコードは実用性も高く、いろんな場面で登場します。

後半の<弾き語りでよく使うテンションコード>でも、たくさん出てきますので響きを覚えておくとよいですね。

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add9はテンションコード?

弾き語りではものすごくよく使うadd9。

これも9thが入っているコードなので、テンションコードなのか?というとテンションコードではありません。

テンションコードは4和音コードに9、11、13の音を加えたものを指します。

対してadd9は3和音コードに9thを足した4和音コードです。

addがついているものは3和音コードにaddの後ろにくる数字の音を足したコードになっています。

まあ、そんなに気にする必要もないですが、add系はテンションコードに分類されないことは覚えておきましょう。

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11th(イレブンス)

ギターのテンションコード、11thの説明資料

続いては11thです。

11thに関してはポップスでも割と使われていて、秦基博さんの楽曲でも下記の2種類はよく登場します。

  1. Ⅱm7(11)…CキーならDm7(11)
  2. Ⅵm7(11)…CキーならAm7(11)

Dm7(11)

Am7(11)

m7に追加する11thはクセも強くないので、結構使いやすいんですよね。

代わりにシティポップなどのおしゃれ楽曲では、そんなに使われていないイメージです。

また、11thには半音上げた#11thもあります。

こちらはクセが強い音が多いのですが、星野源さんが色んな楽曲で多用してます。

例えば、SUNのイントロで最後に使われているクセの強い音が♭Ⅶ7(#11)ですね。

SUNで使われているG♭7(#11)

なかなか、普通の楽曲に入れにくい音ですが、効果的に使えれば強力なアクセントになります。

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13th(サーティーンス)

ギターのテンションコード、13thの説明資料

テンションの最後は13thですね。

13thでよく使うパターンは下記の2種です。

  1. V7(13)…CキーならG7(13)
  2. V7(♭13)…CキーならG7(♭13)

G7(13)

G7(♭13)

V7の13、♭13はかなり良く使います。

おしゃれ楽曲でもよく登場しますし、POPSでも割とよく登場します。

後半の実践編でも良く出てくるので、しっかり押さえておきましょう。

 

弾き語りでよく使うテンションコード

良く使うテンションコード 7選

弾き語りでよく使うテンションコードは上記の7つです。

ただし、曲によってキーは変わるので固有のコードとして覚えるのではなくフォームを覚えましょう。

テンションコードはフォームとコードネームの右部分を覚える

フォームとコードネームの右部分を覚えて、その曲で演奏するコードに合わせてフレット位置を平行移動させます。

このときに重要なのが、5弦・6弦の各フレットが何の音なのかを理解しておくことです。

5弦と6弦のフレット毎の音程

アコギの演奏ではコードの最低音になるルート音は5弦・6弦のどちらかを押さえることが大半です。

そのため、5弦・6弦の各フレットの音を覚えることで対応力がグッと上がります。

たけしゃん

フォームと5・6弦の音を一通り覚えると、コード譜あれば初見の曲でもそれなりに弾けるくらいの対応力が身に着きます

例えば、G7(♭13)は6弦3Fがルート音になります。これを7Fに移行するとB7(♭13)になります。

ギターコードのG7(♭13)を7Fに移行するとB7(♭13)になる

こんな要領でフォームとコードネームの右側を関連付けて、平行移動して使いまわします。

テンションコードは開放弦を使わないものが大半なので、この方式を覚えてしまえば一気にコードを覚えられます。

たけしゃん

良く出てくる7種類のテンションコードを使いまわせれば、かなりのおしゃれ曲が演奏できます

本章では具体的に藤井風さん、SIRUPさん、竹内アンナさんの楽曲を題材にコード進行を演奏してみましょう。

目次

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藤井風さんの旅路

藤井風さんの旅路 サビのコード進行

参考動画

旅路 / 藤井風 アコースティックCover

テンションコードを活用した楽曲が多い、藤井風さん。

旅路もAメロ、サビで様々なテンションコードが活用されています。

藤井風さんの楽曲では、「9th(♭9th)」「♭13th」の使用が多いです。

特に各楽曲でアクセントとして利用されているのが「Ⅲm7(♭9)」と「Ⅳ#7(9)」。

色んな曲を弾いてると、割とパターンが決まってることがわかると思うので「旅路」からチャレンジしてみると良いでしょう。

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SIRUPさんのLOOP

SIRUPのLOOPのコード進行

参考動画

LOOP / SIRUP ギター弾き語り COVER

SIRUPさんのLOOPは同じコード進行をひたすらループです。

シティポップやネオソウルだと同じコード進行を終始ループさせる、ループ曲というのが多いです。

たけしゃん

Vaundyの楽曲も終始同じコード進行をループさせる楽曲が多いですね

ループ曲だとm7(9)とV7(♭13)を絡めたものが多いです。

そのため、フォームを覚えて平行移動して使いまわせるようになると、一瞬で弾けるようになる曲が多いです。

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竹内アンナさんのTOKYO NITE

竹内アンナさんのTokyo Niteのサビのコード進行

TOKYO NITE/竹内アンナ(YouTube)

竹内アンナさんも楽曲内でテンションコードを多用しているアーティストですね。

ご本人がJohn Mayerが大好きなのもあって、ネオソウルっぽいコード進行が多いです。

TOKYO NITEのサビもほぼテンションコードだけで構成されています。

このコードパターンもかなり定番のもので、僕も昔から手癖になってるコード進行です。

ただ、TOKYO NITEはC7(9)が登場しますが、定番のループパターンだと

  • Em7(9) → A7(13) → DM7 → B7(♭13)

こっちが多いかなと印象です。まあ、両方覚えておくと良いでしょう。


最近のアーティストで3曲ほど例を出してみましたが、最初に出した7種のテンションコードを平行移動させることで全部対応できることが分かったと思います。

良く使うテンションコード 7選

なので、テンションコードにおいては難しい音楽理論を色々と覚えるより先に楽曲を通して鳴らしてみることが大事です。

色んな曲で活用してみると、意外とパターンが決まっていることに気づくはずです。

音楽理論の理解はそのあとでも構わないですし、むしろ後の方がスーッと入ってきます。

 

テンションコードを使いこなすには

P820 TUBEでRECしているところ

テンションコードを使いこなすのに重要なことは、演奏で使用することです。

プロアーティストの弾き語りでは非常に活用されるテンションコードですが、活用している弾き語りすとはかなり少ないんですよね。

その理由は下記の3点だと僕は思っています。

  1. 理論から覚えようとしたがわからない
  2. 無料コードサイトではテンションまで書かれていない
  3. どうやって活用していいかわからない

まず、テンションコードは理論を覚えるのは後でいいと思っています。

それよりは実際の楽曲を通して演奏して、響きやコードパターンを覚えるのが先です。

そして、無料コードサイトではテンションまで正確に書かれている譜面はほぼありません。

なので、無料コードサイトを使っているだけだと一生テンションを使えません。有料のギタースコアを買いましょう。

このギタースコアも「本人監修スコア」もしくは「本人ライブを採譜したスコア」が推奨です。

普通のギタースコアだと、テンションコードがたくさん載ってるものの実用性があまりないフォームが多かったりします。

対して、本人監修やライブを採譜した譜面はアーティストが弾いてる内容をそのまんま採譜しているので実用性が高いコードフォームばかりです。

僕がいつもおすすめしている、本人監修 or 本人ライブを採譜したスコアは以下の3冊。

たけしゃん

女性アーティストでは良いのがありませんでした。上記3冊でギターだけ練習するのが良いかも

おすすめは秦基博さんのevergreenですね。

難易度的にも難しくはないですし、今回紹介したテンションコードもよく出てきます。

evergreenでそれなりの曲数をコピーできれば、耳コピもできるようになってきます。

そして弾きたい曲を耳コピしてテンションまで聴き取るようになれば、テンションコードを活用できるようになります。

最初の一歩は本人監修のギタースコアを使って、楽曲を完コピすることです。

たけしゃん

僕も主要なテンションコードは秦基博さんのギタースコアを完コピして覚えました

ギタースコア

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テンションコード まとめ

ピアノがある部屋
  • テンションコードは4和音に9,11,13の音を追加したコード 
  • 使うパターンは割と決まってるので、理論を覚えるよりはまず弾いてみること
  • 無料コードサイトではテンションまで正確に載ってないので、本人監修のギタースコアを買うべし

ぎたすけ

テンションコードって、やっぱなんか難しそうだったなぁ

たけしゃん

まあ、簡単ではないよね。プロの複雑でおしゃれな伴奏はテンションコードが肝になってるから、頑張って使えるようになるべきだよ

テンションコードの解説でした!

テンションコードというとおしゃれ楽曲で使われるイメージですが、ポップスでも多用されてるんですよね。

要所要所で入る複雑な響きが曲やメロディーの説得力を上げてくれます。

無料コードサイトだけで練習していると、こういった細かい音の響きをスルーしてしまうので少しずつで良いのでチャレンジしてみましょう。

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