アコギ用ピックアップ おすすめ5選。音源付きで製品の違いを徹底解説!

エレアコで演奏している人

ぎたすけ

ピックアップってアコギをエレアコに改造する機械のことだよな

たけしゃん

そうだね。機種によって最適な製品は大分違うし、交換は大変だからちゃんと勉強したほうが良いね
この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

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ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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アコギ用ピックアップについて

エレアコで演奏している人

ピックアップとは弦の振動を電気信号に変換する装置のことです。

アコースティックギターに取付けることでギターの音をアンプやスピーカーから出力することができます。

主にはライブハウスなどで活躍するアイテムですね。

また、オーディオインターフェイスを経由して、ライブ配信にも音を送ることが可能です。

YAMAHA AG03 正面からの写真
YAMAHA AG03

アコギを使って音楽活動されるのであれば、1本はエレアコを持っていたほうが良いですね。

一方でライブでの音質に大きく影響するアイテムなので、商品選定は慎重に行うべきです。

まずはピックアップ取付について基本的な話について解説していきます。

ピックアップ取付工賃の相場

ピックアップの種類相場価格
マグネット(穴あけ)7,000円程度
アンダーサドルピエゾ10,000円程度
デュアル(複合型)15,000円程度
店によって違うので参考程度です

ピックアップの取付工賃は種類によって、相場価格が異なります。

また、ピックアップ本体が持ち込みなのか、購入と取付同時依頼なのかでも工賃は変わりますね。

人気のデュアルピックアップであるAnthemだと、下記のような工程が施されています。

Anthem
コントローラーの取付
電池ボックス
電池ボックスの取付
ボディ内部のピックアップ配線
ピックアップ取付と配線の固定
ピックアップとの接続口になるエンドピン
ギターに穴をあけて接続ジャックを取付

自分でやる人もいますが、ギターの穴あけなどリスクが高いので自信がない人はお店に依頼しましょう。

また、マグネットタイプは加工不要で使えるものが多いです。

L.R.Baggs M-1を取付けたGibson ハミングバード
マグネットはサウンドホールに取付可能

ただ、加工しない場合は配線を表に晒すことになるので、やや不格好になりますね。

L.R.Baggs M-1を取り付けたGibson ハミングバードの背面
サウンドホールから裏を通してアンプへ配線を流す

配線周りをスッキリさせたい人はアンダーサドルと同様にギター下部に穴をあけて、ボディ内部から配線を回せるように加工します。

さらには最近ではマグネットタイプのワイヤレスピックアップもありますね。

skysonic WL-800JP
2019年発売のSKYSONIC WL-800JP

ワイヤレスの場合は配線の心配はなくなるので、加工不要でパッと使えます。

ここ数年でアコギ用ピックアップもかなり選択肢が増えましたね。

個人的にはライブでガシガシ使う人は有線で回しやすいように穴あけ加工することをおすすめします。

加工したほうが現場でのセッティングが楽です。

アクティブとパッシブ

YAMAHA SLG200Sのプリアンプ部分

ピックアップにはアクティブとパッシブという種類があります。

ザックリ特徴を並べると以下の通りです。

アクティブ
パッシブ
  • プリアンプ内蔵
  • 駆動に電池が必要
  • Volツマミなどがある
  • 出力が大きく、ノイズに強い
  • プリアンプなし
  • 駆動に電池不要
  • 単独でVol調整不可
  • 出力が弱く、ノイズにも弱い

つまりはプリアンプ内蔵がアクティブ、プリアンプなしがパッシブということです。

プリアンプとはアンプやスピーカーの前段で音を増幅させる装置です。

L.R.Baggs para acoustic di
アコギ用プリアンプで定番のパラアコ

ピックアップの信号は微弱なので、そのまま送ると音量が不足したり、ケーブルを通す間に音が劣化したりします。

補足

ライブハウスなどではPAまで長い距離、ケーブルを這わせるので顕著に変わります

そのため、出力を安定させつつ、ノイズを抑制するのにエレアコではプリアンプを使うのが一般的です。

プリアンプ
良いピックアップだとプリアンプの機能も充実している

そんな背景もあり、アコギ用の定番ピックアップはほぼアクティブです。

逆に安価なピックアップだとパッシブが多いです。

ピックアップ自体が安くても、外付けプリアンプが必要で結局高くついたりするので気を付けましょう。

たけしゃん

凝る人は逆にパッシブを選んで、自分が好きなプリアンプを買い足したりもします

ピックアップの種類

Anthem
名称特徴
ピエゾ
(アンダーサドル)
サドル下に取り付けるタイプ
ハウリングに強い
音はナチュラルではない
マグネットサウンドホールにつけるタイプ
ハウリングに強く、取付が楽
コンタクトボディ内に張り付けるタイプ
音は良いがハウリングに弱い
マイクマイクを取り付けるタイプ
音は良いがハウリングに弱い
複合型これまでのタイプの組み合わせ
デュアル、3Wayなどがある

アコギで使われるピックアップは上記の5種類が主に使われています。

それぞれ、用途によって強み・弱みがあります。

まずは種類の解説に行く前にサンプル音を用意したので聴き比べてみましょう。

ピエゾ(アンダーサドル)

マグネット

コンタクト

マイク

複合型(ピエゾ&マイク)

補足

使っているギターがそれぞれ異なるので参考程度に考えてください

音質が結構違いますよね。

主流はハウリングに強く、出力も高いアンダーサドルのピエゾピックアップです。

一方で近年では音質の良い複合型を使う人が増えており、ギターメーカーも複合型に少しずつシフトしています。

たけしゃん

バンドだけでなく、ギター弾き語りライブもやる人は特に複合型をおすすめしたいです
 

アコギ用ピックアップ おすすめ5選

エレアコでライブをしているところ

それでは、アコギ用ピックアップのおすすめ製品を5つ紹介していきます。

まずは紹介するピックアップを一覧化した表がこちら。

製品名タップで解説に飛びます

製品Anthem
Anthem
skysonic WL-800JP
WL-800JP
L.R.Baggs M80
M80
FISHMAN RARE EARTH MIC BLEND
RARE EARTH BLEND
L.R.Baggs Lyric
Lyric
収音方法ピエゾ&マイクマグネット&マイクマグネットマグネット&マイクマイク
タイプアクティブアクティブ切替可能アクティブアクティブ
接続有線無線有線有線有線
穴あけ加工不要不要不要
実売価格約40,000円 約29,800円約29,000円約30,000円約25,680円
ECサイトAmazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス

なお、僕は弾き語りの人間なので、弾き語りで使用する観点で選定しました。

また、ライブハウスやスタジオで使えるレベルの実戦的な製品に絞りました。

L.R.Baggs Anthem

Anthem
収音 アンダーサドルピエゾ
マイク
タイプアクティブ
コントローラーVolツマミ
ブレンドツマミ
バッテリーチェッカー
フェイズスイッチ
実売価格40,000円程度

プロアーティストでも使用者が非常に多い、L.R.Baggs Anthem

アンダーサドルピエゾとマイクのデュアルタイプのピックアップです。

コントローラーはサウンドホール横に取付する形式です。

全体音量の他に、ピエゾとマイクの音量バランスも調整可能となっています。

Anthemコントローラー

ピエゾとマイクの音量バランスですが、マイクは絞れば完全にOFFにできます。

一方でピエゾは0まで絞っても200Hz以下だけ残る仕様になっています。

ピエゾ0にした時の音

完全にマイクの音だけにしたい場合は他の製品にするか、マイクを別で立てて直接拾いましょう。

あと、製品バリエーションとしてAnthem SLという小型タイプが存在します。

L.R.Baggs Anthem SL

Anthem SLは全体音量ツマミとマイクゲインのトリムだけになります。

また、マイクゲインの調整は精密ドライバーが必要となります。

補足

Anthem SLは200Hz以下はピエゾ、250Hz以上はマイクと完全に分担されています

シンガーソングライターだとピエゾとマイクの音量バランスは細かく変えたいシチュエーションが多いので、通常のAnthemをおすすめします。

使用アーティスト
  • あいみょん
  • 斉藤和義
  • 櫻井和寿(Mr.Children)
  • スガシカオ
  • 秦基博
  • 星野源
  • miwa

SKYSONIC WL-800JP

skysonic WL-800JP
収音 マグネット
マイク
タイプアクティブ
コントローラーVolツマミ(2つ)
フェイズスイッチ
サウンドホール90mm~105mmに対応
継続使用時間フル充電で4~6時間
実売価格29,800円程度

ワイヤレスで使えるデュアルピックアップ SKYSONIC WL-800JP

2019年に発売されたときも話題にはなってましたが、使用者はまだまだ少ないイメージです。

WL-800JPは加工不要で取付可能なタイプです。

skysonic WL-800JPをギターに取付した写真

両端の可動部分をサウンドホールにセットしてドライバーでネジをしめるだけです。

skysonic WL-800JPの両端を稼働させてサウンドホールに挟む

ワイヤレスなので配線もないのが良いですね。

アンプ側の接続は同梱されている子機側を接続するだけです。

skysonic-WL-800JPの子機

ピックアップ側も子機も充電はUSBで行えます。

連続稼働時間はMAXで4~6時間とのことです。

skysonic-WL-800JPの子機 USB充電可能

外で使う際は充電できるようにモバイルバッテリーを携帯しておくと良いですね。

肝心の音質ですが、結構良いです。

同じデュアルタイプのAnthemと比べると少し劣りますね。

Anthem

WL-800JP

とはいえ、簡単に取付できてワイヤレスであることを考えるとかなり良いですよね。

マイクとマグネットの音量を個別に管理するタイプなので、演奏形態によって音量調整しましょう。

取付加工不要の製品でデュアルピックアップなのは本当にありがたいですよね。

やはり、良いギターだと加工で穴を開けるのは怖いですしね。

ビンテージギターなどを所有している方には非常に有効な選択肢と言えます。

L.R.Baggs M80

収音マグネット
タイプアクティブ/パッシブ
切替可能
サウンドホール約89mm以上に対応
コントローラーVolツマミ
バッテリーチェッカー
実売価格29,000円程度

マグネットタイプのピックアップでは定番のL.R.Baggs M80

ベストセラー製品であるL.R.Baggs M-1を改良して、より生感あるアコースティックサウンドに近づけた製品です。

L.R.Baggs M-1を取付けたGibson ハミングバード
L.R.Baggs M-1

M80はプリアンプ内蔵のアクティブタイプですが、本体スイッチでパッシブに切替可能です。

なので、使用するプリアンプにこだわりたい人からも人気が高いですね。

なお、取付に際しては加工不要の簡易取付と穴をあけて半永久的に取付けた状態にするパターンを選択できます。

ピックアップとの接続口になるエンドピン
半永久取付はエンドピンに穴をあける

エンドピンに穴をあけることで配線をギター内部に流せます。

エレアコ用途がメインの人は利便性の観点から穴をあけて取付する人が多いですね。

M80の音質はエレキギター寄りにはなりますが、粒もあって聞き心地の良い音です。

特にアルペジオでは存在感もしっかり出るので、マイク録りとは違った良さがありますね。

ハウリングにも強く、弾き語り以外でもバンドボーカルで使ってる人も多いピックアップです。

使用アーティスト(M-1含む)
  • 植村花菜
  • おおはた雄一
  • 斉藤和義
  • Char
  • 清水依与吏(back number)
  • 秦基博

FISHMAN RARE EARTH BLEND

収音マグネット
マイク
タイプアクティブ
サウンドホール92mm以上に対応
コントローラーVolツマミ
ブレンドコントロール
実売価格30,000円程度

アコギ用ピックアップメーカーの大手FISHMANのRARE EARTH BLENDです。

かなり前から存在するデュアルタイプのピックアップですね。

FISHMANのデュアルはマイクの自由度が高いことが特徴ですね。

RARE EARTH BLENDもマイクがグースネックで位置調整可能になっています。

FISHMANのレアアースブレンドはマイクの位置を調整可能
公式の取扱説明書から引用

取付はM80と同様に加工不要の簡易取付、穴をあけて半永久的な取付の2パターンを選択できます。

FISHMANのデュアルはマイクの音が良いんですよね。

僕もずっと使っているアコギにFISHMANの「ピエゾ&マイク」のデュアルが載ってますが、マイクがナチュラルな音で気に入っています。

プリアンプ
FISHMAN製デュアルPUの内蔵プリアンプ

FISHMANの内蔵マイク

WL-800JPの内蔵マイク

一方でマグネットやピエゾを加えた音だと、Anthemのほうが使いやすいと感じる場面が多いですね。

万能に使うならAnthem、マイクの音を前面に出すならRARE EARTH BLENDといった感じで僕はギターを使い分けてますね。

使用アーティスト
  • 斉藤和義

L.R.Baggs Lyric

収音マイク
タイプアクティブ
コントローラーVolツマミ
プレゼンス
実売価格25,680円程度

最後はマイク内蔵タイプのL.R.Baggs Lyricです。

ノイズキャンセリングデザインでハウリングを抑制しつつ、ナチュラルな音を捉える製品です。

取付位置はブリッジ裏になっており、加工についてはアンダーサドルピエゾに近いみたいですね。

本体コントローラーはサウンドホール横につきます。

コントローラーはVolツマミとプレゼンス調整トリムです。

トリム側は付属の調整用バーが必要なので、あんまり頻繁にいじるものではないですね。

Lyricについてはセッションで知人が持ってきていたので、色々試させてもらいました。

音はマイク録りした音から、少し加工されている感じの音質になりますね。

その分、ハウリング抑制はされており、アコースティックバンドなら良い感じの音で演奏できていました。

ただ、フルバンドだと埋もれやすいので、Anthemのほうが万能だなとも感じました。

Anthem

アコースティックバンド、弾き語りがメインの方には良いピックアップですね。

使用アーティスト
  • 斉藤和義
  • 清水依与吏(back number)
 

アコギ用ピックアップ まとめ

製品Anthem
Anthem
skysonic WL-800JP
WL-800JP
L.R.Baggs M80
M80
FISHMAN RARE EARTH MIC BLEND
RARE EARTH BLEND
L.R.Baggs Lyric
Lyric
収音方法ピエゾ&マイクマグネット&マイクマグネットマグネット&マイクマイク
タイプアクティブアクティブ切替可能アクティブアクティブ
接続有線無線有線有線有線
穴あけ加工不要不要不要
実売価格約40,000円 約29,800円約29,000円約30,000円約25,680円
ECサイトAmazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
Amazon
楽天市場
Yahoo!
サウンドハウス
  • 最近は複合型のピックアップが主流
  • 取付に加工が必要なものと不要なものがある
  • プロアーティストだとAnthemの使用者が多い

ぎたすけ

えー、ピックアップってこんなに色々あるんだな。選ぶの難しいぞ

たけしゃん

弾き語りだとピックアップの音は重要だから製品もたくさんあるよね。Anthemが安定かなとは思うよ

アコギ用ピックアップについての解説でした!

ライブではピックアップを通した音がメインとなるので、製品選択は非常に重要です。

やっぱり、複合型のピックアップをお勧めしたいですね。

アンダーサドルピエゾが今でも多いですが、ライブ会場で聴き比べても差が大きくでます。

アコギ本体選びと同じくらいにピックアップ選びも大事です。

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