マイクのゲインとは?ボリュームとの違いを理解してライブ配信での音量調整をマスターしよう

ゲインとボリュームの違い

ぎたすけ

ゲインとボリュームってどっちでも音量上がるし、どっちでもいいと思ってたぞ

たけしゃん

それが役割が違うんだよね。キレイに音を録るためにはゲインとボリュームの違いを理解するのが重要なんだよ

ゲインとボリュームというと、ギターアンプの話が多いですが、本記事の主役は「USBマイク」と「オーディオインターフェイス」です。

昨今はライブ配信の急激な普及で、USBマイクにもゲインとボリュームの両方が用意されている製品が増えてきました。

Blue Yetiの正面
Blue Yetiの正面パネル
Blue Yetiの背面
Blue Yetiの背面パネル

一方でゲインとボリュームの違いを理解して使えている人はかなり少ないと思うんですよね。

しかし、ノイズの抑制や音割れを防止するためにはここの理解が超重要です。

本記事ではゲインとボリュームの違いを初心者にもわかりやすいように解説していきます。

この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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ゲインとボリューム

ゲインとボリュームの違い
ゲイン
ボリューム
  • 入力信号を増幅する
  • 音質も変化する
  • 入力信号を増幅せず、調整する
  • 音質は変化しない

ゲインはマイクから入ってきた音を増幅させる役割を担います。

Steinberg UR12 前面左
オーディオインターフェイス UR12

音を増幅させるので、音質は変化します。

一部のギターアンプのようにガンガンに歪ませて増幅するものもあれば、できるだけ原音のまま増幅させるものもあります。

音楽スタジオの風景

USBマイクやオーディオインターフェイスのゲインはできるだけ原音のまま増幅させるタイプです。

そして、USBマイクなどのボリュームはゲインで増幅させた信号を調整する機能です。

AKG araの前面パネル
AKG Ara-Y3

ボリュームは信号自体を増幅できないので、ゲインで稼いだ音量の中で上げ下げできるだけです。

なので、ゲインで増幅させる段階で音質やノイズの混入比率などは決まってしまいます。

録音データの波形サイズはゲイン調整の時点で確定する

ボリュームは録音データをデジタルに変換したあとの調整弁なので、録音データ自体には影響しません。

例えば、ゲインで増幅させすぎて音が割れてしまった場合はボリュームをいくら下げても音は割れたままです。

ゲインの段階で音が割れてしまったら、ボリュームでは直せない

この場合は音割れしないレベルまでゲインを下げてから録音しなければいけません。

また、ゲインはアナログ音声をデジタル化する手前で音を増幅するものです。

対して、ボリュームはデジタル化された音声の音量を調整するものです。

ゲインはアナログ音声を増幅し、ボリュームはデジタル音声で調整

なので、ボリュームは録音した後でも自由に調整できます。

しかし、ゲインは録音後に変更は効きません。そのため、配信やレコーディングでは事前にゲインの調整をしっかりやりましょう。

ノイズ抑制は適切なゲイン設定がカギ

AKG Lyra-Y3を斜め横から撮った画像
USBマイクのAKG Lyra-Y3

録音や配信では、周囲のノイズをできるだけ拾わないようにしたいもの…。

そのノイズ対策で重要になるのはゲインの適正化です。

ノイズの相談を受けていても、ゲインの設定が適切ではないためにノイズを拾っているパターンは多いです。

たけしゃん

ゲインを適当にやって、ボリュームで帳尻合わせると無駄にノイズをたくさん拾っちゃうんですよね

周りのノイズを抑えるには「録りたい音を大きくして、ゲインを下げる」が基本です。

ノイズを抑制するにはマイクを近づけてゲインを下げよう

録りたい音を大きくするには、マイクを音の発信源に近づけるのがシンプルな方法ですね。

そのほか、ボーカルやナレーションにおいては声量を高めることも重要なポイントです。

上図の2パターンで録った音声とノイズの比率をイメージ化すると下図のようになります。

マイクの距離による音声とノイズの比率

マイクの位置とゲインを適正化することで、ノイズの比率をほとんど上げることなく、音声の比率だけ高めたクリアな音を録音することができます。

なお、この音声とノイズの比率はS/N比(シグナルとノイズの比率)と呼ばれます。

たけしゃん

ちゃんとしたマイクメーカーさんは決まった条件で計測したS/N比をマイクのスペック表に載せてます

対して、USBマイクなどのボリュームは確定した音声とノイズを均一に上げ下げするだけです。

ボリュームを上げると音声もノイズも両方上がる
ボリュームを上げるとノイズも一緒に上がる

そのため、クリアな音声をリスナーに届けるためには録音の時点でノイズの混入率をできるだけ下げる必要があるわけです。

たけしゃん

プロのエンジニアさんは録音する際のS/N比最適化にものすごい神経使ってます

本体にゲインの設定がない場合の対処方法

AKG ara-Y3
ゲインのつまみがないAKG Ara-Y3

ゲインの重要性を説明しましたが、USBマイクは本体にゲインのツマミがないものが多いです。

逆にオーディオインターフェイスはほとんどの製品にゲインのツマミがあります。

M-Audio M-Track soloを上から撮った写真
M-AUDIO M-TRACK SOLO ゲインはINPUTツマミ

本体にゲイン調整機能がついていない場合は接続するPC・スマホのOS側で調整をします。

選択したOSの設定方法を表示します

Windowsの場合は右下のサウンドアイコンを右クリックして、「サウンドの設定を開く」をクリックします。

Windowsの右下にあるトレイ
Windowsのサウンド設定ウィンドウ

サウンドの設定画面が開いたら「入力」の中にある「デバイスのプロパティ」をクリックします。

Windowsのサウンドの設定画面

ボリュームでマイクの入力音量を変えられます。

付属のスタンドで机に置いて喋る場合は80~90くらいで大丈夫です。

Windowsのサウンド入力 調整画面

逆に口元にマイクを持ってきて歌う場合は50くらいまで下げたほうが良いです。

声を出すとフェーダーが振れるので、試しながら適切な音量を見極めましょう。


左上のアップルアイコンをクリックして、「システム環境設定」をクリックします。

Macのシステム環境設定

続いて、次の画面では「サウンド」をクリックします。

Macのシステム環境設定2

すると、サウンド画面が開くので、対象のUSBマイクをクリックしてから、中央の「入力音量」のフェーダーを調整しましょう。

Macのサウンド設定

初期値は90%くらいのところになっています。マイクを机に置いて、喋るだけならそのままで大丈夫です。

マイクを口元に持ってきたり、歌う場合は真ん中くらいまで下げると良いでしょう。


iOSは外部マイクの入力音量を変更できる機能がありません。

そこで、入力音量の変更機能がある撮影用アプリ「SHURE MOTIV Video」を使って調整します。

ShurePlus MOTIV Video

ShurePlus MOTIV Video

Shure無料posted withアプリーチ

インストールしたら、USBマイクをつなげた状態でアプリを立ち上げ、マイクアイコンをタップします。

SHURE MOTIV Videoのトップ画面

すると、外部マイクの音量設定画面が出るので、マイクゲインを調整します。

SHURE MOTIV Videoのマイクゲイン

初期値は92%でしたが、机に置いてトークするだけなら変更不要です。

口元にマイクをもってきたり、歌う場合は50%くらいまで下げたほうが良いです。

なお、一度設定してしまえば、アプリを閉じても設定は維持されます。

なので、他のアプリでもここで設定した値が適用されます。


一方で最近はUSBマイクの用途が大分広がったこともあり、ゲイン調整機能がついている製品も増えてきました。

AKG Lyra-Y3の後面コントロールパネル
AKG Lyra-Y3は本体背面にゲインツマミがある

どこのメーカーも1万円未満の下位モデルはゲイン調整機能がなく、上位モデルだけついてることが多いですね。

ワンオペのライブ配信では、配信中にソフトを開いて音量調整するのはしんどいので、本体にツマミがあると楽で良いです。

逆にテレワークだったり、トーク配信くらいなら事前に調整できていれば、音量をいじる必要はほとんどありません。

blue Snowball iCE
テレワークにも使いやすい Blue Snowball iCE

そのため、用途によってはゲイン調整機能がないマイクでも全く問題ないです。

ちなみにUSBマイクの場合、ゲインのツマミは背面についている製品がほとんどです。

Blue Yetiの背面
Blue Yetiの背面

僕が知っている中では前面にゲイン調整ツマミがあるのはBlue Yeti Xくらいです。

blue-yeti x
Blue Yeti Xはゲインとボリュームが兼用になっている

そんなわけで、配信中に細かく音量調整をしたい人は結局「XLRマイク&オーディオインターフェイス」で配信する人が多いです。

YAMAHA AG03 正面からの写真
配信で人気のYAMAHA AG03

オーディオインターフェイスなら手元でサッと音量いじれますからね。

色んな用途で使うなら、やはりYAMAHA AG03が安定なんですよね。

2022年に後継機種のAG03MK2が登場して、ますます配信では便利になっています。

 

ライブ配信アプリにおけるゲインとボリューム

弾き語り配信しているところ

ライブ配信アプリで配信中にリスナーさんから「音が小さい」と言われて、調整したのに大きくならない…という経験はみんなあると思います。

これはライブ配信アプリにおける音の流れを理解していないから起きる問題です。

まず、結論から言うと以下のように認識してもらえれば大枠はOKです。

項目影響範囲
ゲインリスナーに聞こえる音
自分に聞こえる音
ボリューム自分に聞こえる音

よくあるミスはボリュームを頑張って調整しちゃうパターンです。

ボリュームは自分の聴いてる音だけ変化して、リスナーさんには影響しません。

リスナーさんに聞こえる音を調整するなら、ゲインを調整しましょう。

ここからはもう少し、細かく解説します。

オンラインカラオケ系の配信アプリで配信する場合はザックリ、以下のような音の流れになっています。

カラオケ系のライブ配信アプリの音の流れを図解にした

ちょっと複雑ですね…。

重要なのは自分のところのボリュームはリスナーとは関係ないという点です。

リスナーのボリュームはリスナー自身がアプリや端末を使って調整します。

リスナーに届ける音量を変えたい場合はゲインを調整しましょう。

Blue Yetiの背面

一方でゲインをいじると、全リスナーの音量に影響しますので、1人のリスナーの意見だけ聞いて調整するのは危険であることも覚えておきましょう。

たけしゃん

極力はリスナーさん側でボリューム調整してもらったほうが良いです

また、オンラインカラオケ系アプリはオケ(伴奏)がアプリから流れます。

カラオケ系のライブ配信アプリの音の流れを図解にした

このオケの音量はアプリ側にボリューム調整フェーダーが用意されていることが大半です。

nanaパーティーの音量調整
カラオケ配信できるnanaパーティー

nanaパーティーでは画面下部に伴奏用フェーダーが用意されています。

この伴奏用のフェーダーは自分が聞こえる音、リスナーに聞こえる音の両方に影響します。

こんなわけで、ライブ配信アプリが絡むとボリュームと言っても

  1. 自分のボリューム
  2. リスナーのボリューム
  3. 配信アプリのオケ用のボリューム

とまあ、色んなボリュームが絡んできます。

全貌を把握するのはなかなかにしんどいですが、まずは下表の切り分けだけでも覚えておきましょう。

項目影響範囲
ゲインリスナーに聞こえる音
自分に聞こえる音
ボリューム自分に聞こえる音

ここがわかっているだけでも、大分違います。

 

ゲインとボリュームの違い まとめ

AKG Lyra-Y3を斜め横から撮った画像
  • ゲインは入力信号を増幅するもの
  • ボリュームは入力信号の音量を調整するだけで増幅はしない
  • 音をキレイに録るためにはゲインの調整が重要!

ぎたすけ

えー、ノイズの混入とか音割れとか防ぐにはゲインを調整するべきだったのか…。ボリュームばっかいじってた…

たけしゃん

僕も昔はボリュームばっかりいじってたよ。ゲイン調整してみると色んな問題が解決すると思うよ

ゲインとボリュームについての解説でした!

ちなみにボリュームに関しては機械の種類によって、意味が多少違ったりもします。

今回はオーディオインターフェイスとUSBマイクを基準に説明しました。

音量調整はほんとにほんとに奥が深いのですが、基本的な仕組みを理解するだけでも全然違います。

まずは 「録りたい音を大きくして、ゲインを下げる」 を意識してみましょう!

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