自主制作CDを作ることは効果的なのか?音楽配信と比較しながら考える

こんばんは!たけしゃん(@_tkshan)です。

今日のお題は自主制作CD。
もうCDの時代が終わったと言われて久しいです。

でも、アマチュア・インディーズでは未だに自分たちの音楽を届けるにはCDがメインのツールだったりするのです。
周りでも音楽配信を始めたって言う人はいないけど、CDリリースしたって人はたくさんいます。

アマチュアミュージシャンがマネタイズを考える時に自主制作でCDリリースをするという選択肢はどうなのかを考えます。

この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

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プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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1. CDを自主制作するための知識

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まず、CDで自主制作するといっても色々あることを知りましょう。
ここでは弾き語りミュージシャンがよくやっているパターンをご紹介。

1-1. CD-RとプレスCDの違い

自主制作CDを作っている方でさえ違いをわかっていない方がいますが、結構重要です。ちゃんと読みましょう。

■CD-R

まず、CD-Rというのは家電量販店で売っていますね。
みなさんがDTMで作った音源を家電量販店で買ってきた空のCD-Rに焼けば、自主制作CDの完成です。

無料配布やライブ会場で安価に販売しているデモ音源はこのCD-Rで製作されたものがほとんど。

■プレスCD

続いてプレスCDです。
こちらは音源を渡して専門業者にCD作成(CDプレス)を委託して作られたCDのことを指します。

金額は業者によっても異なりますが、純粋にCDプレスだけ依頼する場合は100枚で50,000円前後が標準的です。
なお、CDプレスだけなら100枚も1000枚も値段はほぼ変わらないことが多いです。よく枚数を多く刷った方が単価が低くなると言われます。

CDケースや歌詞カード、ジャケットなどのデザインも渡してCDパッケージを丸ごと作ってもらう俗に言う完パケまでお願いすることが多いです。
当たり前ですが、完パケまで依頼する場合はCDプレスだけ依頼するよりは枚数に比例して金額も高くなりやすいです。それでも多く頼んだほうが単価は安いですね。

全国流通させる時など、きちんと販売する時はプレスCDを用います。

■CD-R、プレスCDの違い

意外にそこまで変わらないんですけどね。今やインクジェットプリンターでCD-Rもデザインできちゃいますし。
一番変わるのはCD-Rだと正常に再生されない機器があるということ。そして耐久性がプレスCDより劣るということでしょうか。

これも、昔と比べるとさほど問題ではないです。
というのも、CD-Rで再生されない機器ってのはCDウォークマンやCDコンポなんですよね。PCで再生できないことはほとんどない。

そして耐久性もプレスCDだと数十年は持ちます。といってもCD-Rだと何年も持つし、今やiTunesに取り込んだらお役御免なわけですから、そこまで重要視されない。

しかし…。しかし…。
一番の問題点はプレスされたCDじゃないとCDショップなどのお店が取り扱いしてくれないこと。

全国流通させる場合は特にプレスCDじゃないとお話になりません。
店も再生できないとか苦情きても困るし、しょうがないのかねぇ。

1-2. マスタリングの必要性

マスタリングって何ぞや?って話から始まるのですが、ものすごく奥が深いのでここでは触りだけ。

一言で言えばCD内の各曲の音量を整えることです。
今はみんな、スマホに大量の音楽を入れて聴いていますが、曲によって音量が違いすぎて困ることってありません?

特にavexやAKBなどのアイドル、Perfumeに代表される中田ヤスタカさんプロデュースのアーティストあたりは最初から最後までコンプ前回の音圧MAXなんで、他のアーティストと音圧が違いすぎてランダム再生していると音量調整必須です。

このように色んなアルバムを入れているとしょうがないのですが、同一アルバム内は音量差が激しくならないように音量調整されています。
この調整がマスタリングです。

昨今だと、「音圧を上げる作業=マスタリング」になってしまっているのが現状ですけどね。

このあたりも自主制作CDだと意識されていないことが多いです。
もちろん、レコーディングスタジオでマスタリングまで依頼していれば調整されますが、最近はDTMが浸透してマスタリングを自身でやる人も多いですからね。

ちゃんと他の音源と音量差が出すぎていないかをチェックしましょう。

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2. CDを作る意味

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続いてはCDを作る意味です。
高いお金もしくは膨大な手間をかけてCDを作成する意味ってなんでしょう。

2-1. 名刺代わり

自分を知ってほしいと思った時に必要なのは名刺です。ビジネスマンはみんな持っていますね。

ミュージシャンにとって名刺にあたるのがCDです。
自分に少しでも興味を持ってもらえたらCDを渡すというのはよくあるお話。

しかし、どうなんでしょうか。最近ではオーディションの応募フォームもCDを送る郵送応募よりWeb完結を推奨している感じがしますね。
確かに音源もyoutubeや自分のサイトのURLを書けば終わりですし。

以前よりyoutubeの浸透度が非常に高くなったので名刺としてCDを渡すというのも時代遅れかも。
でも、「CDもらったし聞かなきゃな」とは思うのでCDのほうが効果はありそうです。

ただ、LINEやメールアドレスを交換していればyoutubeのURL送ってくれたほうが絶対聴く確率高いです。
今は一応、CDも作っておくといいよってくらいかな。

2-2. 製作物を作ると成長する

音源をちゃんとした形で作るとミュージシャンとして一段階成長できます。
特にアルバムとか作ろうとすると、作曲のレパートリーのなさに苦しみますからね。これ大事。

編曲や他の楽器のことも考えるようになるし、レコーディングではピッチやリズムにも苦しむ。
楽器も含めて練習熱心になれますよ。

ただ、これも別にCD作らなくてもいいよね。
配信音源やyoutubeにアップする音源でもいい。

2-3. ライブハウスで販売できる

ライブ終了後に物販でCD販売する。
いいライブができると、買ってくれる人って意外といるんですよね。

ライブ終了後のCD販売って貴重な収益源です。
ただ、これもCD作るタイミングが大事だよね。

ライブ来てくれてCD買ってくれるファンって一番よい。
こういった優良ファンを作るために何をするかが大事だから、ライブにお客さんがきてくれてCDも売れている状態なら、そらCD作ったほうがいいに決まっている。

でも、大抵の人はライブしてもお客さん全然いない。もちろん買ってくれる人なんているわけない。
たぶんアマチュアの弾き語りミュージシャンの9割以上がこの状態。この状態じゃCD作ったってしょうがない。youtube用の動画作ったり、他にお金を回したほうがよい。

今の自分の状況を考えてやることが大事ってことですね。

 

3. CD制作費と収益性

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CD制作費って本当にピンからキリ。どこまで自分でやるかによって全然変わる。
また、友達とかに安く頼めるところはあるかも重要。

まずかかる費用としてあげられるのは下記の項目

  • レコーディング費用*
  • ミックス・マスタリング費用*
  • CDプレス・リッピング費用
  • ジャケットデザイン費用*

このあたり。「*」をつけた3点は自分でやることもできる項目。
他にもPV製作したり、楽器演奏やアレンジを外注したりすればお金は追加でかかる。

下記の記事を参考にすると仮に4曲入りのEPを1000枚作成するとMV製作も含めて53万円ほどですか。
CD制作いくら売れば儲かる?「結論:1200円の4曲入りEPを779枚売ればいい」

楽器演奏やアレンジも頼むことは想定されていないが、弾き語りミュージシャンは大抵頼むことになるだろう。
4曲も頼むとなると、安くても6~7万かかりそうだから約60万円。1000枚全部売っても±0円じゃん。

まあ、上記サイトの試算だと流通会社が売り上げの半分を持っていく計算なので、実際は手売りのほうが売れるから黒字にはなるだろう。
しかし、1000枚を完売するのは相当ハードル高い。

実際に周りの友人を見てもMV製作しないで20万くらいで作れているケースが多い。
なので、上記の例は高すぎるかな。

 

4. 配信限定にした場合のコストは?

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<<3. CD制作費と収益性>>で算出されたコストのうち、配信限定にした場合のコストはいかほどか。

配信限定だと下記のコストは発生しない。

  • CDプレス・リッピング費用(1000枚で11万)

ジャケットデザインについては不要にできるかもしれないけど、あったほうがよいでしょう。

前章の例だと60万かかる費用の内、11万は削減できるが49万。
1曲150円で「Tune Core Japan」で音楽配信するとコストと収益は下記の通り。

  • アルバム 4,980円/年間
  • 収益は1曲ダウンロードにつき、約89円

TuneCore Japan

黒字にするためには約5600曲購入されないければいけない。
ハードル高すぎるな(笑)

実際のところだと製作費はCDプレス・リッピング費用を含めずMVも作らなければ10万ちょっとで音源製作は可能です。
そうすると1120曲ダウンロードされればペイできる計算だが、これも厳しいよね。

 

5. まとめ

結論から言うと自分たちの音楽を届けるという意味合いだけでいくとCDを製作する必要はない。別に音楽配信でもyoutubeでもいいし、むしろそっちのほうが効果的。
でも、収益を出そうとするなら現状はまだCD製作と音楽配信の両方をやったほうがよい。

そして製作コストを抑えることが最重要。
そら、いい作品作るためにはコストが必要だったりしますけどね。昔と違って音源がメインの収益源ってわけでもないからコストをかけても元が取れないのが現状なんですよね。

成功している人って自分と周りの少数の協力者で最低限のMVと音源作ってyoutubeやSNSにあげて活動していますからね。
例えば、コバソロさんとか見ても動画作るのに1曲20万とかかかっていたら、完全に成立しないわけですし。

クオリティは保ちつつ、どこまでミニマムのチームで低価格で作品を作り上げられるか。
なんだか、音楽も他のビジネスと同じ感じになってきましたね。

そして、CDってもう時代遅れではありますが、まだ完全に排除はできないということも感じました。
メインの収益源として考えるのはありえないけど、全く製作しなければしないでビジネスチャンスを逃すでしょうね。

最近のミュージシャンを見ているとyoutubeで広告費で稼ぎつつ、SNSと連携してライブ動員数を増やす。CDなどの物販を含めたライブ収益で収益をあげる。
こんな感じですか。

CDを作って色んな人に知ってもらおうというのは時代遅れなんだけど、収益源として機能はしているんですね。