編曲依頼のやり方、相場、準備することをシンガーソングライターの視点で徹底解説

音楽制作している様子

ぎたすけ

自分が作った曲の編曲を頼むにもどこに依頼して良いか全くわからないよな

たけしゃん

最近は色んなサービスがあって頼みやすくなったけど、基本的な依頼方法とか抑えておくと大分違うよね
この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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編曲依頼の流れ

曲を作る
ノートブック

メロディー、歌詞を作って、曲を完成させる

曲を録音する
iPhoneを見ている画像

作った曲をスマホに録音。DAWでちゃんとデモを作れるとベスト

編曲家を探す
ノートPCでGoogle検索

編曲してくれる人を探す。知人に頼むか、ココナラで探すのが主流

発注
仕事で交渉・調整しているところ

編曲家さんと依頼内容・金額・制作物の権利など調整して正式に発注

ラフアレンジをもらう

本格的に詰める前のラフアレンジをもらって、方向性を再確認。低価格だとこの工程はカット

完成
スマホとイヤホン

編曲された音源が納品される。修正は契約内容に沿って有料・無料が変わる

基本的な流れは以上になります。

本記事ではSTEP3からの話になるわけですが、主には下記の4点を解説していきます。

特に①の「編曲依頼するにあたって準備すること」が重要です。

準備が十分にできていれば、相場的に安い方に頼んでも比較的大丈夫です。

逆にお任せでお願いしたいという人は予算に余裕を持ったほうが良いですね。

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編曲依頼するにあたって準備すること

ノートとペン

編曲家さんから事前に提出を頼まれるのは、大体下記の4点です。

  1. デモ音源
  2. 歌詞
  3. コード譜
  4. イメージに近い参考曲(複数提示)

コード譜に関しては、最近は不要と言われることも多いですね。

ここではデモ音源と参考曲について掘り下げて解説していきます。

デモ音源

スマホとイヤホン

編曲依頼する際に意外と苦戦するのが、デモ音源です。

大半の編曲家が「一定のリズムで録音された音源の提出」を条件として出しています。

補足

リズムが一定なら鼻歌でもOKの方が多いです

この「一定のリズム」というのはクリック(メトロノーム)に合わせて録音した音源を指します。

そのため、何かしらのDAWを使ってデモ音源を制作する必要があります。

Cubase AIのMixConsole画面
Cubaseの画面

iPhoneユーザーであれば、無料で入っているGaragebandを使うことでクリックに合わせて録音できます。

GarageBand

GarageBand

Apple無料posted withアプリーチ

Gargebandの詳しい使い方はサウンドオルビスさんのサイトを参考にするとよいでしょう。

また、人によっては一定のリズムでなくとも、メロディーがわかればOKの人もいます。

ココナラや個人だとかなり少数ですが、Super dolphinはメロディーがわかればOKになってます。

DAWでの録音はハードルが高い…という人は依頼先が限られることは覚悟しましょう。

イメージに近い参考曲

AirPods pro

続いてはイメージに近い参考曲についてです。

編曲依頼で失敗しないためのコツは参考曲をしっかりと提示することです。

ここは手を抜いてはいけません。イメージに合う楽曲が見つかるまで頑張って探しましょう。

そして全体像で似てる楽曲を探しがちがですが、編曲家さんが知りたいのは楽器構成・音色であることが多いです。

DTMをやっているデスク

あいみょんの曲を例に出して話しますが、下記の2曲を聞いてみてください。

ハート/あいみょん(YouTube)

裸の心/あいみょん(YouTube)

この2曲はたぶん弾き語りなどのデモ音源はかなり似てたはずです。

編曲後は下記のような構成になっています。

曲名アレンジ
ハート電子ドラム、シンセサイザーなど
打ち込み中心のサウンド
裸の心生っぽい王道のバンドサウンド

大分違いますよね。

ここが大きな分岐点になるので、最初の段階で楽器構成の意識合わせをちゃんとしておきたいわけです。

なので、音色や楽器構成がイメージと近い参考曲をとにかく頑張って探しましょう。

ヒアリングで聞かれるのも、ほとんどが音色や楽器構成の話なので説明できるように準備しておくとベストです。

楽器構成のイメージが合致してれば、大きくズレたアレンジが上がってくることはほぼないです。

楽器の音色など全然わからないという場合

レコーディングスタジオ

楽器の音色や構成など全くわからないという人は編曲家さんと一緒にイメージすり合わせするのが一番です。

ただ、予算が5万円くらいだと編曲家側もヒアリングに工数を割いていられません。

なので、自身がない人はSuper dolphinなど価格はそれなりにかかっても、ヒアリング含めてまるっと面倒みてくれるところを選びましょう。

 

契約の細かい内容について

書面を記載している人たち

続いては編曲についての契約のお話です。

一番大きいところ著作権ですが、納品データの種類、修正回数についても割と重要な話になってきます。

個人間だと契約書作ったり、きちっとやることは稀なんでメールのやりとりなど証跡をちゃんと残しましょう。

それでは、各項目について掘り下げて解説していきます。

著作権について

たくさんの書類

編曲にも著作権が存在します。

基本的に編曲依頼においては編曲家側に著作権を譲渡してもらうの一般的です。

詳しく言うと

著作権法第27条および第28条所定の各権利を譲渡する

譲渡してもらえない場合はどうなるのか?というと当初契約で定めた使用以外は許可が必要になります。

商用利用する場合も契約によっては、制作費とは別で都度使用料を払う必要がでてきますね。

音楽業界だと編曲は著作権譲渡が一般的なので、ここで揉めることはほぼありません。

ただ、書面あるいはメールなど文面で譲渡する旨の証跡を残しておくべきです。

補足

法律的には著作権譲渡を明示した証跡がないと譲渡は成立しません

Super dolphinはメールで契約文書が送られてきて、その中に譲渡する旨記載があります。

ココナラ、個人取引では証跡が欲しい場合は相手にお願いしましょう。

納品データの種類

Macbook Airで仕事しているところ

続いては納品データの種類です。

主には下記の2項目について決めます。

  1. サンプリングレートとビットレート
  2. パラデータかまとまったデータか

サンプリングレートとビットレートは音の解像度のようなものです。

サンプリングレートとビットレートの説明

基本的には48kHz/24bitで納品されることが多いです。

特にそれで困ることはないですが、特定の事情で指定したい人は事前に伝えておきましょう。

パラデータかまとまったデータかは納品データの単位のようなものです。

項目内容
パラデータ各音色をバラバラのデータで納品
ドラムはパーツ単位で1データ
ステムデータ構成パート単位でデータを納品
ドラムならドラム全部で1データ
まとまったデータ伴奏全体を1つのデータで納品

まず、エンジニアさんにミックス・マスタリングを依頼する場合はパラデータでもらっておくべきです。

逆にラフにミックスするなら、まとまったデータでも問題ないですね。

ちなみにココナラだとまとまったデータでの納品が標準で、ステムとパラ納品は有料オプションが多いです。

Super dolphinはまとまったデータとパラデータの両方が納品されます。

たけしゃん

Apple Musicなどで配信するならパラでもらってエンジニアさんにミックス・マスタリングを別依頼するのがベターです

修正回数

PC操作とメモを書いてるところ

修正回数は伴奏完成後の修正依頼できる回数のことです。

多くは特定の回数までは無料で、回数超過した修正依頼は有料対応となっています。

ただ、最初の打ち合わせの楽曲イメージと異なる修正は不可となっていることが大半です。

ちなみに10万円未満の低予算で依頼している場合は妥協も大事です。

低予算の場合は主にイメージすり合わせの工数が減るので、ドンピシャの伴奏制作は厳しいです。

 

編曲依頼の相場価格

お金と草

編曲の相場価格は率直に言うとあってないようなものでピンキリです。

その中でザックリまとめると、下記のような相場になってます。

項目内容
ココナラ3万~5万円
Super dolphin一律 88,000円
プロに個人で依頼7万~10万円
制作会社に個人で依頼10~20万円
補足

僕の所感です

10年くらい前はプロの編曲家に個人で編曲依頼すると10万円くらいが相場だった印象です。

ただ、ここ10年のアイドルブーム、ボカロPブームで編曲家が爆発的に増えて値崩れしてます。

そんなわけで、最近は2~3万円でもやってくれる人はいくらでもいます。

また、プロでもヒアリングやすり合わせの工数を減らして、5万円くらいでやってくれる人も増えました。

一方で打ち合わせなどちゃんと要件詰めて制作となると、やっぱり今でも10万円くらいが相場かなと思います。

詳しくない人ほど予算に余裕を持つこと

机にノートとコーヒー

編曲依頼で失敗しないコツは最初の打ち合わせでイメージをすり合わせることです。

一方で編曲家が格安で受けるためにはコミュニケーションコストをいかに下げるかがポイントになります。

そのため、低価格ほど発注者側が要望を具体的に提示する必要があります。

なので、色々相談しながら要件を決めたい人はココナラのような低価格帯は向いていません。

色々相談したいという人はSuper dolphinに依頼するのがいいでしょう。

 

編曲を依頼する人の探し方

暗い部屋でMacで音楽制作しているところ

最後は編曲を依頼する人の探し方です。

基本的には下記の4パターンがあります。

サービス名ココナラSuper dolphin知り合いに依頼制作会社
クオリティ人によるプロレベル人によるプロレベル
相場価格3~5万円88,000円7~10万円10~20万円
曲の権利ほぼ譲渡ほぼ譲渡ほぼ譲渡ほぼ譲渡
納品形式まとまったデータ
※パラは別料金
まとまったデータ
パラの両方
交渉次第まとまったデータ
パラの両方
契約書基本なしメール交渉次第会社による
キャンセル基本不可可能
※3,300円
基本不可基本不可
やり取り直接仲介直接仲介が多い
補足

上記表は筆者がよくあると感じている契約条件を書いたものです

基本的には低予算なら「ココナラ」。

予算が確保できれば、Super dolphinがおすすめです。

編曲家の知り合いがいる場合は知り合いに頼むのも有効ですね。

僕はココナラ、Super dolphin、知り合いは発注経験があるので、細かく解説していきます。

ココナラ

ココナラ
クオリティ人による
相場価格プロだと5万円程度
アマだと3万円程度
曲の権利ほぼ譲渡
契約書なしがほとんど
納品形式まとまったデータが多い
※パラは有料オプション
発注後のキャンセル基本不可

一番、編曲を頼んでいる人も多いであろうココナラです。

プロからアマチュアまで色んな方が編曲サービスを出品しています。

ココナラの良いところは何と言っても安いところです。

5万円前後で出品している人のデモ音源を聴くと、かなりハイクオリティです。

また、やり取りや決済はココナラのシステムを使えるので楽なのも良いところですね。

一方で細かいヒアリングや意識合わせなどなく、参考曲と簡単なメール打ち合わせだけで作るケースが多いです。

発注未経験の人はまずはSuper dolphinで依頼して流れを掴むのが良いかなと思います。

一方で、メールできちんと要望を言語化して伝えられる人はココナラは安いのでおすすめです。

ココナラ

リーズナブルで依頼できるフリーの編曲家が多数出品。予算に応じて、様々な人に発注することが可能

Super dolphin

super dolphinのロゴ画像
クオリティプロレベル
価格(税込)88,000円
曲の権利ほぼ譲渡
契約書メールで届く
納品形式まとまったデータ
パラの両方
発注後のキャンセル可能
※手数料 3,300円

2022年に誕生した匿名編曲家チーム、Super dolphinです。

Frekulなどのアーティスト支援サービスを提供しているワールドスケープ社が運営しています。

Super dolphinでは下記の3つのシステムで誰でも安心して編曲依頼できるようになっています。

  • 契約の条件が基本決まっている
  • イメージのすり合わせは仲介がいる
  • 発注後のキャンセル可能(手数料3,300円)

発注後にキャンセル可能なのはすごいですね。

キャンセルにならないように事前の打ち合わせもオンラインミーティングでしっかりやってくれます。

Super dolphinの座組
打ち合わせは編曲家でなく専任スタッフが行う

また、参画している編曲家もプロなので、クオリティが高いです。

僕も1曲編曲してもらいましたが、非常に良いアレンジでした。

編曲してもらった僕の曲

【オリジナル】夏の果て Lyric Video

一方で至れり尽くせりな分、価格はやや高めです。

こだわりたい曲はSuper dolphinを利用し、オーソドックスな曲はココナラと使い分けるのが良いかなと思います。

また、編曲依頼したことない人は最初はSuper dolphinに依頼するのが安定です。

打ち合わせから納品までの流れを経験しておくと、ココナラでも失敗する確率が大分減ります。

super dolphinのロゴ画像

編曲家チーム Super dolphin

 (4.5)

¥88,000(税込)

Super dolphinはプロの編曲家と専門のスタッフが親切・丁寧に対応してくれる画期的なサービスです。

知り合いに頼む

ミーティングしているところ
クオリティ人による
価格プロだと7~10万円程度
曲の権利ほぼ譲渡
契約書基本なし
納品形式人による
発注後のキャンセル基本不可

昔からオーソドックスな依頼方法である知り合いに頼むです。

一番融通が利く一方で、頼む人は選ばないと失敗するので何とも難しいですね。

お互いある程度、経験があってわかってる場合は今でも一番有効な選択肢だと思います。

ちなみに職業作家の方々と知り合いになる方法は主に以下のパターンがあります。

  • 仮歌など仕事を通じて知り合う
  • 専門学校、音楽教室に習いに行って知り合う
  • 音楽関連の友達からの紹介

僕は仮歌の仕事を通じて知り合った方に頼んでました。

その知り合いの方々に聴くと、専門学校・音楽教室の生徒さんから編曲依頼されるケースは割と多いらしいです。

グランドピアノと譜面が置いてある写真

一方で今はココナラ、Super dolphinなど便利なサービスがあるので、無理に知り合いに頼む理由もないかなと感じます。

価格も別に安くはありませんしね。

ただ、直依頼は他社にマージンを取られないので、リピートしてくれるよう打ち合わせ含めて丁寧にやってくれる方が多いです。

制作会社

オフィス
クオリティプロレベルが多い
価格10~20万円程度
曲の権利ほぼ譲渡
契約書会社による
納品形式パラデータが多い
発注後のキャンセル基本不可

最後は制作会社です。

最近は編曲家の増加に伴い、個人の依頼を請け負う制作会社も爆発的に増えたように思います。

正直なところ、個人のシンガーソングライターだと制作会社に依頼するメリットはほとんどないかなと思います。

企業間同士だと、契約や納期などのリスクヘッジも兼ねて制作会社を通すメリットはあります。

個人であればココナラとかSuper dolphinを利用したほうがリーズナブルですし、クオリティもほとんど変わらないです。

編曲依頼に関するまとめ

本を開いている写真
  • DAWを使ってクリックに合わせたデモ音源を作ろう
  • 参考曲は似ている楽曲よりは音色や楽器構成が近いものを探そう
  • 低予算ならココナラ、安心感があるのはSuper dolphin

ぎたすけ

何もわからないから、色々提案してもらって決めたいけどそれは難しいんだな

たけしゃん

予算があれば、全然対応してくれるよ。低予算だと言われたことをそのままやるってスタンスが中心だよね

オリジナル曲の編曲依頼についての解説でした!

最近は個人でもハイクオリティなMVをYouTubeをアップする人も大分増えました。

なので、ミュージシャンにおいても編曲・ミックス・MV作成などを適切に制作依頼するスキルはかなり重要になっています。

専門家に丸投げしたいと思っちゃいますが、低予算だとそうもいかないので勉強する姿勢が大事ですね。

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