ギター チューニングのヘルツを解説。周波数は440Hz、441Hz、442Hzのどれを使うか理解しよう

ギターのチューニングに使うヘルツ 3種類を説明

ぎたすけ

周波数とチューニングの関係がよくわからないんだけど、音の高さが変わるってこと?

たけしゃん

周波数は要は音の高さだね。状況によってチューニングの基準となる音の高さが変わるんだよ
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たけしゃん

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ギターのヘルツ(周波数)とは

周波数と音の高さの関係を説明した図解

まずはギターのヘルツ(周波数)について理解しましょう。

音は振動によって作られています。ギターなら弦の振動が音の素になっていますね。

ギターは弦を弾く振動で音が作られる

そして、音の高さは振動の速さで決まります。

振動が遅いと低い音、早いと高い音になるわけですね。

低い音は振動数が少ない。高い音は振動数が多い

この振動の回数を数値化したものがヘルツ(Hz)です。

日本語では周波数と呼びます。

ヘルツは「1秒間に繰り返される波の数」を表した単位になっています。

440Hzとは1秒間に440回の振動の波が発生すること
440Hzの場合は1秒間に440回の振動の波が発生している

つまりはヘルツが低いほどに音も低くなり、高いほどに音も高くなるわけですね。

同じA(ラ)という音でも、ヘルツによって高さが変わります。

A3とA4のヘルツを鍵盤に記載した図解

220Hzの音

440Hzの音

そして、チューニングする際は特定の音を基準に各弦の音を調整していきます。

その基準となる音は「A(ラ)=440Hz」です。

各楽器でA=440Hzのポジションを記載すると以下の通りになります。

楽器基準音の位置
ギター1弦5フレット
ピアノ88鍵盤の左から49鍵目

上記の音が何Hzなのかで、各弦のチューニングも微妙に変わってきます。

チューナーはどこのメーカーも「A=440Hz」がデフォルトで設定されています。

UNITUNE CLIP 正面
クリップチューナーはどこもA=440Hz

そして、本体機能でヘルツ変更できる機種が多く、状況に合わせて基準音の高さを変えることができます。

STX7-ピエゾ
STX7 415Hz~444Hzまで変更可能

次章では具体的に使用されるヘルツを解説していきます。

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ギターチューニングで使用されるヘルツ

ギターのチューニングに使うヘルツ 3種類を説明
ヘルツ概要
440Hz国際基準値。デフォルトで使用されるHz
441Hzプロアーティストが好んで使用するHz
442Hzクラシック・オーケストラで使用するHz

細かくはもっと色々ありますが、大きくは上記の3種類です。

そして、ポップスなどの大衆音楽をやる分には440Hzか441Hzかの2択です。

たけしゃん

僕がセッションやアコギRECの依頼を受けた範囲では440Hz、441Hzのどちらかしか使ったことないです

なので、基本的には440Hzと441Hzの2つを理解しておけば問題ありません。

ここからはヘルツの違いと具体的な使い分けについて、もう少し細かく掘り下げて解説していきます。

目次

ヘルツによる音の変化

UNITUNE CLIPの正面

基準となるヘルツを変えると、チューニングが微妙に変わります。

基本的に音が高いほうが響きが心地よく聞こえる傾向にあります。

一方でチューニングを高くすると、弦のテンションも強くなるため、楽器への負担が大きくなります。

弦の先端をブリッジ側に引っ張りながら巻く

プロの現場で441Hzがよく使われるのは、心地よく聞こえつつも楽器への負担がそこまで大きくならない範囲だからのようです。

とはいえ、1Hzの差だと変化は本当に小さいものです。

クリップチューナーで440Hzを基準値とした状態で441Hzのチューニングを計測すると、メモリ1つ動くか動かないかの差です。

STX7-ピエゾ
441Hzでチューニングしたギターを440Hz基準で計測

実際にサンプル音も用意したので、聴いてみてください。

440Hzでの演奏

441Hzでの演奏

442Hzでの演奏

聴いてわかる通り、楽器単独だとほとんど変わらないです。

一方でバンドアンサンブルでは、ヘルツが違うパートがいると和音が濁って感じることがあるので注意です。

バンド演奏でのチューニングヘルツ

バンドのスタジオ画像

まず、大前提として固定メンバーの場合はチューニングのヘルツは合わせましょう。

メンバーでヘルツが異なっていると無駄に和音が濁ります。

そして、メンバーで合わせていれば440Hz441Hzのどちらでも問題ありません。

ライブハウスに設置されたアコースティックピアノは441Hzでチューニングされていることが割とあります。

ピアノの鍵盤

なので、メンバーにピアノがいるなら441Hzが安定かなと思います。

補足

ピアノは簡単にチューニングを変えられないため、原則はギターやベースが合わせる

相乗りで演奏するセッションの場合は、いちいち参加者で周波数を合わせることはまずないです。

そのため、基準である440Hzに合わせて置くのが間違いないです。

ちなみにセッションで管楽器やクラシックの方がいても、僕の経験上では442Hzに合わせたことはないですね。

奏者の方から指定されたときだけ、合わせれば問題ないです。

レコーディングのチューニングヘルツ

Baby Bottleでレコーディングしているところ

続いてはレコーディングにおけるギターのチューニングヘルツについてです。

仕事なり、依頼でレコーディングを受けるときは必ず事前に確認しましょう

確認しても指定がなかった場合は僕は440Hzで録ってます。

打ち込みの音源もデフォルトは440Hzでチューニングされており、変更できるようになっています。

KONTAKT音源でHzを直す方法
Native Instruments KONTAKT

そのため、わざわざ441Hzに変更している人は確認した際に441Hzを指定してきます。

自身で打ち込みから生楽器録音まで全部やる場合は、もちろん全パートのヘルツを合わせましょう。

打ち込みだとピッチが超正確なので、1Hz違うパートが混入するとすぐ濁ります。注意しましょう。

 

チューナーでのヘルツ変更方法

UNITUNE CLIPの周波数変更
UNITUNE CLIP

楽器用チューナーは周波数変更できるものが多いです。

ここでは人気のクリップチューナー「TC ELECTRONIC UniTune Clip」を例に解説します。

ヘルツ変更モードにする

チューナーの電源を入れた状態で端のボタンを押下

UNITUNE CLIPで周波数変更する方法1 端のボタンを押す
ヘルツを変更

ディスプレイの数値を使うヘルツに合わせる

UNITUNE CLIPでヘルツを変更する方法2 ボタンで数値を変更

変更方法は機種によって異なりますが、大体は上記の流れが多いです。

安いチューナーだと440Hz固定だったりするので注意しましょう。

KORG Pitch Clip2
440Hz固定のKORG Pitch Clip2

チューナーは製品説明欄に対応する周波数は記載されているので、確認して購入するようにしましょう。

 

チューニングのヘルツ(周波数)まとめ

ギターのチューニングに使うヘルツ 3種類を説明
  • 同じ音でもヘルツで音の高さが微妙に違う
  • 基本は440Hzを使い、状況によって他のヘルツも使用しよう
  • ヘルツ変更できるクリップチューナーを1つは持っておこう

ぎたすけ

なるほど。なんかプロが使ってるというと441Hzを使いたくなるな

たけしゃん

441Hzにしている人は結構多いね。重要なのはちゃんと理解して使い分けることだよ

ギターをチューニングする際のヘルツについての解説でした。

基本的には仕事で音楽やる人以外は440Hzだけで問題ないかなと思います。

ヘルツ変更できるチューナーを持っておけば、対応できるので1つは持っておきましょう。

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