Steinberg UR12をレビュー。安くて機能が充実したオーディオインターフェイス

Steinberg UR12

評価:4

ぎたすけ

オーディオインターフェイスってDTMやるときに使う機会だよな

たけしゃん

そうだよ。UR12は安くて機能も充実してるから、予算1万円くらいの安いオーディオインターフェイスの中では最有力と言える優良機種だよ

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この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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Steinberg UR12

Steinberg UR12
  • 1万円で買える高音質のオーディオインターフェイス
  • 配信で使えるループバック機能付き
  • 音楽制作ソフト Cubase AI(Win/Mac)、Cubasis LE(iOS)が付属

1万円程度で買えるオーディオインターフェイスのエントリーモデル、UR12。

小さいボディに配信やDTMをやるのに必要な機能を詰め込んだ人気モデルです。

付属にCubase AIとCubasis LEが付いているので、PCやスマホを使って楽曲制作を行うことができます。

ちなみに2022年にカラーバリエーションとしてUR12Bが発売されました。

カラーリングが違うだけで、スペックなどはUR12と一緒です。

製品仕様の目次

Steinberg URシリーズのエントリーモデル

URシリーズの機能比較表

Steinberg URシリーズは全部で6機種。

それぞれの特徴を簡単に書くと…

  • UR12…最低限の入出力端子に絞ったエントリーモデル
  • UR22C…マイク接続やMIDI入出力が増えたDTMer向けのベーシックモデル
  • UR242…入力数4つに増やしてエフェクト機能と搭載したモデル
  • UR28M…出力数・モニターコントロール機能を強化したモデル
  • UR44…入出力数を増やして機能性を高めたモデル
  • UR824…プロユースにも応えられるモデル

この中でUR12はマイク入力端子が1つ、LINE端子が1つの2IN 2OUTという最小構成のエントリーモデル。

ボーカルや歌い手向けの機種と言えます。

URシリーズは5,000円刻みくらいでランクが上がっていき、主に入出力数が増えていきます。

自身の活動内容を考えて、機種を選ぶようにしましょう。

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2IN 2OUT

Steinberg UR12 入力端子

入力端子

  1. ファンタム電源対応のXLR端子(マイク)
  2. LINE端子(ギターなど)

入力端子はマイクなどを接続できるXLR端子と楽器を接続できるLINE端子が1つずつ。

なので、「マイク × エレアコ」「マイク × キーボード」といった弾き語り向けのセッティングが可能です。

逆にマイク 2本は接続できないため、ボーカル・ギターそれぞれをマイク録音することはできません。

弾き語りでマイク 2本立てることがあるなら、1つ上のUR22Cを買いましょう。

UR12とUR22C

※上がUR12、下がUR22C

UR22C

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UR12のループバック

ループバック機能の説明図解

ライブ配信で使う機能でステミキと呼ばれるものに近い機能です。

PC内で流しているBGMとマイクからの入力音をオーディオインターフェイスを介して配信で流すことが可能です。

ループバックのON/OFFはPCから「Yamaha Steinberg USB driver」というソフトウェアのコントロールパネルを開くことで設定可能です。

UR12のループバック設定

※赤枠にチェックを入れるとループバックONになる

喋っている時に効果音を出したり、BGMを流したり…と活用範囲は広いです。

ただし、PC画面からしか「Yamaha Steinberg USB driver」開けません。

スマホやタブレットのみの方はON/OFFできないので、スマホ・タブレット用アプリが用意されている上位機種のUR22Cを購入することをおすすめします。

UR22C

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iPad / iPhone 接続可能

UR12とiPhone7を接続した

UR12はiPhone、iPadに接続して使用することが可能です。

接続には別途、Apple iPad Camera Connection KitもしくはLightning – USB カメラアダプタが必要です。

Andoroidは非対応です。

ちなみにスマホやタブレットのUSBバスパワーでは供給量が足りずに動作しません。

Power Sourceのスイッチを5V DCに切り替えてモバイルバッテリーもしくはUSBコンセントを繋いで電源供給しましょう。

Steinberg UR12 スマホとの接続方法

※裏面にPower Sourceがある

自宅で使うにはUSBコンセントを使ってコンセントに繋いでしまうのがおすすめです。

逆に持ち歩く際はモバイルバッテリーを使うとよいでしょう。

なお、UR12はiPhoneやiPadでも使えますが、下記2点の弱点があります。

  1. ループバックをONにするにはPCが必要 
  2. ステレオ仕様のアプリだとINPUT1は左から、2は右からしか音が出ない

②については一部ライブ配信アプリとiOS純正のカメラアプリがステレオ仕様です。

例えば、INPUT1にマイクを挿してカメラアプリで動画を録ると左からしか音が出ません。

上位機種のUR22Cの場合はループバックをONにすることで両耳から音が出るのですが、UR12はループバックをONにしても左からしか音が出ません。

補足

ほとんどのオーディオインターフェイスがUR12と同じ仕様です。ループバックで対策できるUR22Cが珍しいです。

なお、17Liveやnana(nanaパーティーはステレオ)はモノラル仕様なのでUR12でも両耳から音が出ます。

nanaパーティー

nanaアプリを使ったライブ配信のこと

また、撮影についてもGargeBandなどを使ってモノラルで録音した音をステレオ出力し、後からiMovieで映像と音を合成することで両耳から音が出る映像は作れます。

とはいえ、楽なのはUR22Cを買ってループバックで対応しちゃうことなので、スマホメインの方はUR22Cをおすすめします。

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UR22C

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Steinberg UR12をレビュー

ノートPC

はじめに総評すると「マイク 1本ならこれで十分。長い目で考えるならUR22Cにしたほうがよい」です。

コンデンサーマイク&エレアコ or キーボードでの弾き語りなどであれば、UR12で十分です。

1万円とは思えない音質なので、コスパも非常に良いです。

ただ、拡張性が低いのでDTMを深くやっていきたい人やコンデンサーマイク 2本を使った弾き語り録音をしたい人はUR22Cにしておきましょう。

また、iPhoneに接続して使う人もUR22Cにしておいたほうが何かと便利です。

レビューの目次

UR12の音質は十分

UR12とCUBASE AIで録音しているところ

マイク接続端子にはYAMAHAのプリアンプD-Preが採用されています。

YAMAHAのミキサーなどに使われている定番のマイクプリです。

そんなわけで音質的には十分で綺麗でちゃんと太い音が出力されます。

1万円と安い機材ですが、ライブ配信やボーカル録りで使うには十分で困ることはありません。

実際にUR12と付属のCUBASE AIを使ってレコーディングした演奏動画がこちら。

融解sink / Vaundy 【アコースティック Cover】

音質は十分良いですね。

上の動画は付属する音楽ソフトのCUBASE AIでボーカル、コーラス、アコギをRECしてミックスしてます。

1万円くらいの機種でこれだけちゃんとやれるんだから、すごいですよね。

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マイク端子 1つは微妙

Steinberg UR12 入力端子

ギター弾き語りを録るなら、コンデンサーマイク 2本が音質的には望ましいです。

なので、突き詰めていくとファンタム電源対応のマイク端子は2つ欲しいです。

ただ、突き詰めていくと…という話なので必須ではありません。

実際に弾き語り動画を撮っている人でも歌とギターを別撮りしている人は多そうですし、それならマイク 1本あれば可能ですしね。

なので、将来的にどこまでこだわるか?でUR12かUR22Cのどちらを選ぶかが変わります。

  • 当面マイク 1本で大丈夫⇒UR12
  • 将来的にコンデンサーマイク 2本使う⇒UR22C

どちらか検討しましょう。

ちなみに僕の経験上はギター弾き語りをコンデンサーマイク 2本録りする以外は基本的にマイク端子 1つで足りてます。

あとは仕事でアコギのRECをやるときは音質的にアコギ用マイクを2本立てたい時が多いので、そのときくらいかな…という感じです。

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モニターボリュームがない

Steinberg UR12 ヘッドホン端子

ヘッドフォン端子は本体前面にあるものの、ヘッドフォン端子用のモニターボリュームがありません。

横のOUTPUTツマミで調節するしかありません。

OUTPUTツマミはマスターボリュームなので、背面のLINE OUTPUTからスピーカーなどに接続しているとスピーカーに出力する音量も上がってしまいます。

Steinberg UR12 出力端子

※ボリュームツマミは背面のOUTPUTとヘッドホン共用

まあ、そもそもUR12を選択する人はそんなにオーディオ機器を接続しないと思いますが色々繋げる人にはやや不便です。

1つ上位機種のUR22Cはヘッドフォン端子専用のボリュームツマミがあります。

UR12とUR22C

※UR22CはPHONESというヘッドホン用ツマミとOUTPUTツマミが独立している

まあ、このあたりは価格相応といった感じですね。

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LINE OUTがミニジャック

LINE OUTがテレビなどで使う白と赤のRCAミニジャックタイプです。

モニタースピーカーなど音響機器だとTSフォンかXLR出力が標準なので、ガッツリDTM環境を組む人には不便。

UR12とUR22C 裏面

※UR22CはLINEOUT(右下のMAIN OUTPUT)が用意されている

UR12はライトユーザー向けに徹底的に価格を抑えて、機能を最小限にしていますね。

将来的にDTM環境を整える…という人はUR22Cにした方が良いですね。

逆に簡単なデモ音源を作るくらいなら、UR12で問題ないっちゃ問題ないです。

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MIDI入出力なし

UR12とUR22C 裏面

UR12はMIDI入出力がありません。

最近はUSB接続がメインでMIDI入出力なくても困らない人が多そうですが…。

もし、自身のキーボードなどをMIDI端子で接続したい方はUR22Cを選択しましょう。

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リアルタイムエフェクトは配信ツールを利用

OBS Studioはソースを追加して画像やテキストと組み合わせ可能

ループバック機能に対応しているので、リアルタイムエフェクト自体はDAWを介してかけることは可能。

…ただ、DAWの音をモニタリングしようとすると音がループしてハウリングを起こします。

なので、OBS STUDIOなどの配信ツールを使ってエフェクトをかけましょう。

このあたりもUR22Cになると、内蔵エフェクトと専用アプリが用意されるので便利になります。

iOSのdspmix画面

※UR22Cのスマホアプリ画面

特にUR22Cはスマホ用のアプリも用意されているので、PC・スマホ共に調整が楽です。

UR12は機能を絞って価格を抑えているので、このへんは仕方ないですね。

シンプルにPCでDAW使って、歌や楽器録りたい人はUR12で問題ないので、UR12は自分が使いたい機能がある程度ハッキリしてる人が選ぶと良い機種ですね。

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UR22C

 

競合機種との比較

Steinberg UR12
UR12
YAMAHA AG03MK2 ブラック
AG03MK2
UR22Cの正面から撮った写真
UR22C
YAMAHA AG06MK2
AG06MK2
入力端子XLR
LINE
コンボジャック
LINE
コンボジャック×2コンボジャック×2
LINE×2
ビットレート192kHz / 24bit192kHz / 24bit192kHz / 32bit192kHz / 24bit
4極入出力××
ヘッドセット××
エフェクト×
スマホアプリ×
ループバック
実売価格約10,000円約18,300円約17,820円約23,100円

UR12と競合となるのはここまででも登場した、YAMAHA AG03MK2とUR22C。

そして、AG03MK2の上位機種であるAG06MK2。

この4機種は割とすみ分けができており、こんな感じです。

  • 費用を抑えたい…UR12
  • コンデンサーマイクを2本同時に使いたい…UR22C
  • ライブ配信で簡単にエフェクトを使いたい…AG03MK2
  • ギター&ピアノユニットでライブ配信したい…AG06MK2

UR12は機能面では他の機種に劣りますが、価格が安くて歌ってみた動画自体は十分できるのが強みです。

もう少し、掘り下げて競合機種との比較をしていきます。

UR12とAG03MK2の違い

Steinberg UR12
UR12
YAMAHA AG03MK2 ブラック
AG03MK2
入力端子XLR
LINE
コンボジャック
LINE
ビットレート192kHz / 24bit192kHz / 24bit
4極入出力×
ヘッドセット×
エフェクト×
スマホアプリ×
ループバック
実売価格約10,000円約18,300円

一言で言うと、AG03MK2はUR12にライブ配信に使いやすい機能をプラスした機種です。

その他、AG03MK2はPCやスマホがなくても単独でミキサーとして機能します(スタンドアローン)。

また、AG03MK2はヘッドフォン端子専用のボリュームツマミがあったり、LINE OUTが音響機器で良く使うTS端子であったり…と何かと便利。

補足
UR12のLINE OUTは一般ユーザーが使うRCA端子(テレビとゲーム機を繋ぐ赤・白のミニジャック)

更にはゲーム実況などで便利なヘッドセット端子やAUX端子も搭載されています。

よって、ライブ配信での使用がメインの方は+8,000円しますが、AG03MK2を選択したほうが簡単で便利です。

逆にライブ配信はしないし、内蔵エフェクト機能が不要という方はUR12のほうがコスパが良いですね。

更に言うと音楽用途がメインの人はこの後のUR22CのほうがAG03MK2よりもっといいです。

UR12とUR22Cの違い

Steinberg UR12
UR12
UR22Cの正面から撮った写真
UR22C
入力端子XLR
LINE
コンボジャック×2
ビットレート192kHz / 24bit192kHz / 32bit
4極入出力××
ヘッドセット××
エフェクト×
スマホアプリ×
ループバック
実売価格約10,000円約17,820円

表でまとめると上記の通り。7,000円差ですが割と違いは多いです。

UR22Cは2019年発売の新製品なので、グッと機能性が増していてUR12と差がついた感じですね。

大きな違いはUR22Cは入力端子が2つともマイク接続可能なこと(UR12は1つだけ)。

UR12とUR22C

ギター弾き語りやっていると、歌とギターで2本マイクを立てたいことは多いのでUR22Cを選択したほうが無難ではあります。

また、UR22Cには内蔵エフェクトがついており、スマホやタブレットでも操作できる専用アプリが用意されているのも大きな違いです。

iOSのdspmix画面

スマホのカメラアプリでサクッと動画作りたいとか、ライブ配信を行う場合は圧倒的にUR22Cのほうが強いです。

なので、使用用途が明確になってない人はUR22Cを選択しておくのが大安定です。

逆にこの記事を読んでUR12で事足りると思う人はUR12で良いでしょう。

予算の関係でどちらにするか悩んでる人は後で後悔する可能性が高いので、お金を貯めてUR22Cにしておくことを強くおすすめします。

たけしゃん

僕の周りでもスマホだけで色々やれるようにしたい…などの理由でUR22Cに買い替えた人が結構います…

UR22C

UR12

 

UR12におすすめのマイク

MPM-1000 本体

Steinberg UR12を購入検討されているあなたはもちろん、マイクも何に使用か考えていますよね。

おすすめのマイクはズバリ、マランツプロ MPM-1000です。

6,000円程度で買える安価なコンデンサーマイクですが、音質はかなりしっかりしています。

再掲ですが、先ほどの動画はMPM-1000とUR12で録ってます。

融解sink / Vaundy 【アコースティック Cover】
MEMO
ボーカル・アコギをそれぞれMPM-1000で録ってます

6,000円程度で買えるとは思えない高音質っぷりです。

デモ音源の制作やYouTube動画の制作、ライブ配信といった用途なら全然問題なくこなせるレベル…。

更にMPM-1000は付属品が色々ついているところも良いところです。

MPM-1000 本体と付属品を上から摂った画像

MPM-1000の付属品

  • ショックマウント
  • ポップガード
  • マイクスタンド
  • マイクケーブル

マイクスタンドは簡易なものなので、別で用意したほうが良いですが他は普通に使えます。

Steinberg UR12とMPM-1000の両方をセットで買っても、16,000円くらいです。

16,000円でそれなりに良い音でレコーディングできちゃうんだから、すごい時代ですよねぇ…。

MPM-1000(XLR)

UR12

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Steinberg UR12 まとめ

Steinberg UR12
  • 1万円で買える機能を絞った高品質のオーディオインターフェイス
  • 自分が使いたい機能があるかはちゃんと確認すべし
  • 使用用途が明確じゃないならUR22Cを検討すべし

Steinberg UR12のレビューでした。

2020年の巣ごもり需要で色んな人の購入相談を受けましたが、UR22Cが大安定でUR12は影が薄くなったな…という印象があります。

UR12は最低限必要な機能だけに絞って、安くて品質が良い…というのがウリです。

本記事のレビュー内容を改めて確認していただき、自身のやりたいことが実現できるかを確認しましょう。

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