ギターピックの素材 15種類について材質や特徴を解説する

9種類のピックを素材別で並べた画像

ぎたすけ

ピックってみんな同じに見えるけど、素材によってそんな違うものなの?

たけしゃん

大分違うね。楽器や弾くジャンルによっても適したピックは違うから奥が深いよ
この記事の著者
音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

tkshan

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ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
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ピックの素材

ピックを6種類並べた画像

ギターのピックは多種多様な素材が使用されています。

昔からよく使われるのはセルロイドです。

FenderとGibsonのピック
補足

Fenderはクラシック・セルロイドという名称になっている

セルロイドは価格も安く、演奏もしやすいので、今でも人気の素材ですね。

一方でピックの素材は年々多様化しており、色んな素材で作られるようになっています。

ギター用ピック 15種類を並べた

本記事では15種類の素材について、特徴や代表的な製品を紹介していきます。

ピック紹介 目次

材質特徴
GIBSON 73M
セルロイド
一番オーソドックス
クリアな音で万能
JIM DUNLOP TORTEX TRIANGLE
トーテックス
(デルリン)
やや硬めでスッキリした音
しなりもよく万能に使える
JIM DUNLOP URTEX TRIANGLE 0.73mm
ウルテックス
(ウルテム)
硬くてクッキリした音
万能だがやや単音弾き向け
JIM DUNLOP HERCO FLEX50
ナイロン
弾性に優れた材質
テクニカルプレイ向け中心
べっ甲のピック
べっ甲
ウミガメの甲羅を使った材
爪に近い材質で高級
ポリアセタールのピック
ポリアセタール
機械の歯車などに使われる
摩擦が少なく、弾きやすい
アクリルのピック
アクリル
透明度の高いキレイな材
硬い音が出る
ポリカーボネートのピック
カーボネート
透明度の高いキレイな材
硬くてエレキギター向き
ジムダンロップ ゲイターピック
ゲイター
表面がマットで滑らない
しなりがあり、キレが出る
MASTER 8 JAPAN INFINIX TRIANGLE HARD GRIP - 0.6mm
INFINIX
特殊プラスチック
弾性率が高く
アタックも強い
PPSのピック
PPS
軽くてしなやか
アタック感は固め
しなりもある
PVCポリ塩化ビニール
市販品は少なく
オリジナルピックで多い
TASQのピック
TASQ
人造象牙
べっ甲並みの強さで硬い
金属ニッケルやブラス
アタックが強くて硬い
全くしならない
ローズウッドのピック
ヒノキやローズウッド
アタックが硬くて強い
ほぼしならない

セルロイド

GIBSON 73M
  • 代表的なピック素材
  • 硬くて丈夫な材質
  • ストロークも単音弾きも使いやすい

昔からピックの素材として使用されるセルロイドです。

Fender、Gibson、Martinといったギターメーカーのピックはセルロイドを使ったものが多いですね。

FenderとGibsonのピック

硬くて丈夫な素材で激しいプレイを繰り返しても、それなりの期間は欠けずに使えます。

まずはセルロイドのピックを使ってみて、他のピックと比べて見ると良いでしょう。

トーテックス(デルリン)

JIM DUNLOP TORTEX TRIANGLE
  • デルリンの表面を加工したもの
  • 摩擦が少なく、軽くて振り抜きやすい
  • しなりもよいため、アコギで使いやすい

デルリン表面に特別処理を施して、触り心地は損なわずに滑りにくくしたのがトーテックスです。

ジムダンロップ社が開発したもので、今では定番のピック素材になっています。

TORTEXは太さごとに色が異なる
TORTEXは厚さごとに色が違う

特に0.6mm(オレンジ)のピックはアコギ弾きに最適で使用者が多いですね。

摩擦が少ないので振り抜きやすく、しなりもよいのでストロークで非常に使いやすい素材です。

ウルテム

JIM DUNLOP URTEX TRIANGLE 0.73mm
  • 熱に強く、曲げ弾性率が非常に高い
  • クッキリした音で高音の伸びが良い
  • 爪の音に近い素材と言われている

曲げ弾性率が非常に高いことが特徴のウルテムです。

硬めで爪に近い質感で、高音の伸びが良いクッキリした音がでます。

滑りにくいため、汗をかいても持ちやすいところも良いですね。

べっ甲が希少で年々高くなっているため、代替え素材としても用いられています。

ナイロン

JIM DUNLOP HERCO FLEX50
  • 弾力性、硬さともに優秀な素材
  • 手汗をかくと弾力性が低下して硬くなる
  • どちらかというとテクニカルプレイに適している

セルロイドと並んで、昔から用いられてるピック素材のナイロンです。

弾力もありつつ、硬いところがナイロンピックの特徴ですね。

ナイロンピックは1960年~1970年代によく使われていたHERCOが最も有名です。

JIM DUNLOP HERCO FLEX50

往年のロックスターが使っていたこともあり、今でもギタリストの使用者は多いです。

一方でアコギ弾きだと、ナイロンピックを使う人は珍しいですね。

べっ甲

べっ甲のピック
  • ウミガメの甲羅を使った天然素材
  • 爪に近い感覚で弾性・硬さともに弾きやすい
  • 1枚1,000円以上する高級素材

高級ピックで有名な素材 べっ甲です。

ウミガメの甲羅を使った天然素材です。

爪に近い感覚で手に馴染みやすく、弾性・硬さともに優れているため、高音の伸びも良いです。

べっ甲のピック

ただ、ウミガメの甲羅という希少な材を使っているため、年々価格は上がっています。

そのため、最近は比較的近い素材のウルテムを使う人が多い印象ですね。

ポリアセタール

ポリアセタールのピック
  • 機械の歯車などに使われる熱に強い素材
  • 摩擦が少なく、軽くて振り抜きやすい
  • 滑りやすいため、グリップ加工されているものが多い

熱に強く、摩擦が少ないことが特徴のポリアセタール。

軽くて振り抜きやすいため、アコギ初心者におすすめのピック素材です。

滑りやすい素材なため、グリップ加工されるものが多いですね。

前述のトーテックスもポリアセタールの1種で滑りにくく特殊加工したものです。

JIM DUNLOP TORTEX TRIANGLE 0.73mm

純粋なポリアセタール素材よりはトーテックスなど特殊加工した素材の方が一般的かなと思います。

アクリル

アクリルのピック
  • 透明度の高い綺麗な素材
  • くっきりとしたアタック感で硬い音が出る
  • 耐久性が高いが、値段も高いピック

透明度が高く、キレイな見た目が特徴的なアクリルです。

多くのアクリルピックは着色されて、カラフルな色合いになっています。

硬い素材なので、くっきりとした硬い音が出ます。

そのため、単音弾きが中心のプレイで活きる素材ですね。

カーボネート

ポリカーボネートのピック
  • 透明度の高い製品が多い
  • 硬めのアタック感でエレキギター向き
  • ポリカーボネートやメタカーボネートとも呼ばれる

透明度が高く、見ためもキレイな素材 カーボネートです。

ポリカーボネート、メタカーボネート、Lexan®という名前でも呼ばれます。

硬めのアタック感で音も硬いため、単音弾きに適しています。

そのため、アコギよりはエレキギターで使われる素材ですね。

ゲイター

ジムダンロップ ゲイターピック
  • ジムダンロップオリジナル素材
  • 表面がマット上で滑らない仕様
  • しなりがあってキレは出しやすい

ジムダンロップオリジナルの素材であるゲイターです。

表面がマットになっており、滑らずにしっかりグリップする素材になっています。

しなりがある素材なので、カッティングに適しています。

アコギだとトーテックスの方が使いやすいですが、エッジのあるカッティングをするならゲイターが良いかもしれません。

INFINIX

MASTER 8 JAPAN INFINIX TRIANGLE HARD GRIP - 0.6mm
  • 特殊プラスチックを用いた新素材ピック
  • アクリルピックのような透明度の高さ
  • 弾力性がありつつ、クッキリした音質

2016年に新たに登場した新素材INFINIX。

特殊プラスチックを素材としており、キラキラした見た目でウルテムに近い弾性です。

クッキリした音質ですが、弾力性もあるのでアコギのストロークでも使いやすいですね。

アタック感も強く出るため、ストロークの音量も出しやすいです。

PPS

PPSのピック
  • セルロイドより軽くカーボンよりしなやか
  • アタック感は硬く、音量が出やすい
  • 国内生産量が高い素材

セルロイドより軽く、カーボンよりしなやかなPPS。

ギターメーカーのFERNANDESがよく採用しているピック素材ですね。

しなりがありつつアタック感も強く、厚みがあるものだと金属で弾いたような硬い音が出ます。

ストロークと単音弾きのどちらもいける、割と万能な素材です。

PVC(ポリ塩化ビニール)

  • 添加物によって素材の特徴が変わる
  • PVCピックの市販品は少ない
  • オリジナルピックの素材としては良く使われる

ギターのピックガードなどによく使われるPVCです。

加工がしやすく添加物によって質感も変えられるため、オリジナルピックでよく使われています。

市販のピックではPVCを使ったものはほとんどありません。

また、PVCは添加物によって質感も変化するため、特性は製品ごとに異なります。

補足

ポールギルバートシグネイチャーピックは硬めでどちらかというとエレキギター向けです

TASQ

TASQのピック
  • 別名、人造象牙。
  • 本べっ甲に匹敵する強さと素材固有の周波数特性を持つ
  • 硬くてアタック感が強い

ギターのナットやサドルにもよく使われるTASQです。

人造象牙とも呼ばれ、べっ甲に匹敵する強さと硬さの素材です。

硬いのでサスティーンがしっかり伸びて、クッキリとしたクリアな音が鳴ります。

単音弾きの方が適しているので、アコギにはあまり向かない素材ですね。

金属

  • ニッケル、ブラスなどの金属製ピック
  • アタック感が強い硬い音が出る
  • 全くしならないのでストロークは辛い

ニッケルやブラスなどを使った金属素材です。

誰しもやったことがある10円玉をピック代わりにするのに近い感覚が得られます…(笑)。

金属なので、非常に硬く、全くしなりません。

アタック感も非常に強く、単音弾き向けですね。

ローズウッドのピック
  • ヒノキやローズウッドなど木材を使ったピック
  • 硬いのでアタック感が強い…けどマイルドな音にもなる
  • 金属ほどではないが、ほぼしならない

最後はヒノキやローズウッドを使った木製ピックです。

木なので、非常に硬く、ほぼしなりません。

アタック感も強いですが、金属に比べると音はマイルドに仕上がっています。

しならないため、アコギでは使い辛いですね。

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ピックの素材 まとめ

ギター用ピック 15種類を並べた

ぎたすけ

ピックの素材ってこんなにあるんだな〜。びっくり。

たけしゃん

これでも一部だけどね。アコギだとトーテックスとかセルロイドあたりが使いやすいよ

ピックの素材についての解説でした。

アコギだとしなりが良いオーソドックスな素材をおすすめします。

僕はトーテックスの0.6mmをずっと愛用しています。

エレキギターの人は、まずはセルロイドやウルテムを使ってみるのが良いでしょう。

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