ギターって木材でそんなに音が変わるのか?木材別の特徴と代表機種を解説。

ギター

たけしゃん(@_tkshan)です。

本日はアコースティックギターにおける木材について。

ギターは木で出来ているので、使う木材によって音質はもちろん変わります。

その中でもアコギは木の共鳴で音を大きくするので木材の影響力は物凄く大きい。

ギターを買う際に木材毎の違いや特徴を掴んでおくことは重要なポイントです。

しかし、木材の種類や構成はたくさんあって全部覚えようと思うと膨大な数です。

そこで、今日はよくある木材と構成の解説を各代表的なギターを交えて解説していきます。

1. ギターのパーツについて

まずはギターのパーツについて。

楽器店にいったり、ギターの通販サイトを見ると木材が書いてあるけど、場所によって木材が違うことがほとんど。

トップやらバックやら書いてあるけど、実際にどこの部分を指すのか…?というお話から解説していきます。

1-1. トップ(表板)

まずはトップ材から。これは画像の通りでホールが付いている正面部分の木材を指します。

アコースティックギターはトップにはスプルースという木材を使うのが一般的。

特殊なギターになるとスプルースではなく、「コア」「メイプル」「ローズウッド」「マホガニー」等も使われますが90%以上のギターがスプルースです。

また、クラシックギターは「シダー」が多いこともあり、クラシックに寄せたアコースティックギターでは「シダー」がトップで使われていることもあるみたい。

コア材とかだと木目など、見た目が特殊だったりするのでわかりやすい。といっても上記画像の右側のギターみたいに普通のスプルースでも塗装などでイメージが大きく変わるので、あんまり見た目で木材を選ぶことはない。

ちなみに画像の二つは左が「HPL」で右が「スプルース」。

HPLとは
ハイプレッシャーラミネートと呼ばれる安価なギターに使われる、木材を繋ぎ合わせた特殊な合板

1-2. サイド&バック

続いてサイド&バックの木材について。

写真はサイド。バックはそのままで背面の木材です。大抵のギターはトップとサイド&バックで木材が異なります。

また、大体のサイトや楽器店で「サイド」と「バック」は一括りにされています。理由はサイドとバックは同じ木材を使うというのが前提だからです。

サイド&バックの木材は特に音に関する影響が大きいです。弾いたを音をトップ材が受け止めてサイドとバックの木材が共鳴して膨らますからです。

そのような都合かサイド&バックの木材は種類が豊富。トップのように特定木材が大半を占めたりしていません。

といっても主力は決まっていて「ローズウッド」「マホガニー」が主力。そこに「シダー」「メイプル」「コア」「サペリ」「オバンコール」といった木材も入ってくる。

ちなみに写真の二つはどちらも「HPL」。

1-3. 指板&ブリッジ

軽視されがちな指板&ブリッジ。

こちらも大凡決まっていて、大半は「ローズウッド」か「エボニー」のどちらか。

そして、採用されるルールも基本的には決まっていてサイド&バックの木材がローズウッドだと指板&ブリッジは「エボニー」、マホガニーだと「ローズウッド」という設定になっている。

ただし、Taylorはサイド&バック材が何でも指板は「エボニー」である。

そんなところで、一定のルールがあるもんだから選択権もそんなにないわけで軽視されがちなのもわからないでもないし、そこまで悩む必要もないと言える。

1-4. 同じ木材でも呼び名が違う

細かく言い出すときりがないが、触れておかないと楽器屋で混乱するのでザックリと書きます。

同じ木材でも産地などの関係で呼び名が違うものがあります。

代表例は「ハカランダ」。またの名を「ブラジリアン・ローズウッド」と言います。

つまり、ローズウッドの1種です。

ハカランダは随分昔に輸出規制されていて、希少価値が大変高いのでローズウッドの中でも別枠になっています。

輸出規制されているので、基本的にはヴィンテージギターとして中古で販売されているわけですが100万を軽く超すものも多く超高級ギターです。

また、スプルースも産地によって種類分けされていますが、ハカランダのような特殊な名前がついているものはありません。大半は「シトカスプルース」です。

1-5. どこを気にするべきか?

一番、気にするのは「サイド&バック」の木材。ここで音質の傾向がほぼ決まる。

トップ材の影響力も同等レベルに大きいものの、トップは基本「スプルース」であるため、そこまで比較しようもないってのが現実。

逆にトップにスプルース以外を選択する場合は選択肢が激減する。試しに弾いてみたら物凄く気に入ってしまった…といったような選択した時点で一本釣りに近い状態になるパターンが多い。

つまり、9割以上の人はトップがスプルースで「サイド&バック」の木材をどうしようかな?という迷い方をする。

オススメなのは最初にお店を1週する際によくある組み合わせと特殊なものを一通り弾いてまわること。

10万円以上の予算を持っているなら、とりあえず下記のパターンのギターを触っておくとよい。

  1. トップ:スプルース サイド&バック: ローズウッド
  2. トップ:スプルース サイド&バック: マホガニー
  3. トップ:スプルース サイド&バック: メイプル or コアあたり
  4. トップがスプルースでないもの(シダーとかコアとか)

まあ、このへん全て触って自身の所感を持っておけば大丈夫。

だけど、ほとんどの人は①か②になる。

そして、後述しますけどGibson J-45やMartin D-28などのいわゆる定番機種は全部①か②。だから、③以降は視野を広げるために弾いておくとよいってくらい。

また、③と④は置いてない店が多い。特に地方だと県内にないエリアもあるだろうから無理してまで探す必要はない。

2. 木材別の特徴

さて、ようやく木材別の特徴へ。

前章を踏まえてよくある木材構成のパターンをご紹介していきます。また、その構成で作られた代表的なギターもご紹介していきます。

代表的なギターを弾いている古澤剛さんの演奏動画をセットでくっつけておきます。この人、凄いよね。

2-1. スプルース×ローズウッド

まずは「トップ材:スプルース サイド&バック材:ローズウッド」。動画は代表機種のMartin D-28を演奏されています。

このパターンのギターと次の「スプルース×マホガニー」がアコギ木材のツートップ。定番ギターの大半がこのどちらか。

まずは「スプルース×ローズウッド」の特徴から。

  • 指弾きもストロークも両方いける優等生
  • 高音の伸びが良く、キラキラした抜けの良い音がなる
  • いわゆるMartinの音

とにかく優等生ってイメージです。

この組み合わせを用いた代表機種は下記の通り。

  • Martin D-28
  • Martin ooo-28
  • Taylor 700・800・900シリーズ

この組み合わせの代表例で出てくるのはMartinの「D-28」「ooo-28」です。

Gibson J-45と並ぶ高級ギターの代名詞。プロの使用者も非常に多い機種ですね。J-45のようなブルージーで枯れた渋い音ではなく、高音がしっかりと伸びて万能な優等生という特徴を受けます。

また、僕もメインで使っているTaylorの700番台以降のシリーズもこの組合わせ。僕が使っているのはTaylor 814CE。

Taylor 814CEをレビュー。7年以上使いこんだ感想をお届け

2016.07.31

814CEを弾いていると高音の伸びや抜けの良さが本当に素晴らしいです。テンションコードとか入れる時に光る感じで鳴ってくれるんですよね。

やっぱり、スプルース×ローズウッドは高音の伸びやかさと万能性が売りですね。

ちなみに代表機種で書いたような高級ギターは「シトカスプルース」×「インディアンローズウッド」という組み合わせですね。

同じ木の中でも「最上級品」「プレミアム品」となっている「シトカスプルース」や「インディアンローズウッド」を使っているそうです。

同じ木材でもピンキリあるということなので木材名だけではわからないというのが、また難しい。

2-2. スプルース×マホガニー

続いては「トップ材:スプルース サイド&バック材:マホガニー」。動画は代表機種であるGibson J-45を演奏されています。

アコギ木材のツートップの片割れ。

ザックリ言っちゃうと、「スプルース×ローズウッド」がMartin。「スプルース×マホガニー」がGibson。と言えなくもない。

けど、難しいのは「スプルース×ローズウッド」のGibson名機って聞かないけど、「スプルース×マホガニー」のMartin名機ってたくさんあるんだよなぁ。

でも、大半の人は「スプルース×マホガニー」と言えばGibsonってイメージを持っている。

そんなところでまずは音質の特徴から。

  • 高音の伸びがない代わりに中音域が出ていて箱鳴りしている感じが出る
  • 年代が古いものだと、枯れて乾いた感じの渋い音がしてストロークなどに合っている
  • いわゆるGibsonの音

こちらはローズウッドと比べると渋くて温かみのある音。キラキラしていない分、落ち着きがあります。

Martinも出してはいるものの、やっぱりGibson!って印象が強い音です。

代表機種は下記の通り。

  • Gibson J-45
  • Gibson B-25
  • Martin D-18
  • Martin ooo-18
  • Taylor 500シリーズ

とまあ、多い。Gibsonのメイン機種は大半がこのパターンを採用しています。

上記以外でも「Gibson J-50」や「Gibson J-160E」などたくさんの名機種がこの組み合わせ。

Gibsonのハミングバードはレギュラーは「スプルース×マホガニー」ですが、リミテッドエディションでトップはスプルースでサイド&バックに「コア」や「ウォルナット」を使う特殊なバージョンも出しています。

Martinは18シリーズはこの組み合わせ。28は上記の「スプルース×ローズウッド」です。どちらが良いというわけでもなく、どちらも色んなミュージシャンから愛されています。

2-3. スプルース×メイプル

お次は数が一気に減りますが名機が確かに存在する「スプルース×メイプル」。動画は代表機種である Gibson J-200を演奏されています。

エレキギターだと逆にメイプルが主流なのですが、アコギだと珍しい部類に入る木材です。

音質の特徴は下記の通り。

  • 音が固く、高音の伸びが少ない
  • ストロークがジャキジャキして歯切れがよい
  • 音が固くて、クッキリしているため聴きやすい

動画のストロークが正にそんな感じ。伸びはないけど固い音でクッキリしています。

代表機種は下記の通り。

  • Gibson J-200
  • Gibson Dove
  • Taylor 600シリーズ

J-200よりはDoveのほうが有名かもしれないですね。

最近だと、馬場俊英さん、高橋優さんや見田村千春さんと使用者も多いですしね。

2-4. スプルース×コア

今度は名前通りコアな人気がある「スプルース×コア」。動画ではTaylor K-10を演奏されています。

コアはウクレレでよく使用される木材ですが、アコギでも使われています。しかも、高級木材らしく大抵高い。

音質の特徴と言うと…。

  • 音が固い。粒立ちが良くてクッキリしている
  • 中高音域が強くてドンシャリっぽい音になる
  • あんまり、音量が大きく出ない

最初弾いたときは音量が出なくて微妙だなぁと思ったのを覚えています。

でも、録音した音を聴くとそんな印象を払拭してくれる良い音なんですよね。動画でも中高音域が強くて粒立ちが良い感じが出てますね。ドンシャリって印象を持ってます。

さて、代表的な機種については下記の通り。

  • Taylor コアシリーズ
  • Gibson ハミングバード リミテッドエディション
  • Martin ooo-28 Authentic 1921

こんなとこ。Taylor以外はレギュラー品じゃありません。つまり、あんまりないギターってことです。

そんな、Taylorのコアシリーズを使っている人と言えばTaylor Swift。日本だとスガシカオさんがたまに使っています。

2-5. シダー×ローズウッド

最後はトップがスプルースではなくシダーのパターンをご紹介。古澤さんの対応動画はないので、MrテイラーJason Mrazの動画でご紹介。

シダートップのギターはアコギというよりはガットギターで多いです。というわけで動画もTaylorのエレガットであるJMSM(Jason Mrazシグネイチャーモデル)。

音質の特徴は下記の通り。

  • 丸い感じの音で温かみがある
  • どちらかというとストロークよりフィンガーピッキング向け。
  • 丸い温かみのある音からナイロン弦と相性が良い

あんまり、アコギで見る事ないですが意外と低価格帯で結構使われているようです。音の安定性が高く安価で手に入るってところなのでしょうか。

代表機種は下記の通り。

  • Taylor ガットギターシリーズ
  • ガットギター全般

ちなみにTaylorのエレガットには普通のスプルース×ローズウッドのものもあるので注意してください。参考動画のTaylor JMSMはシダートップです。

基本的にはシダー×ローズウッドという組み合わせが一般的。たまにマホガニーのものもある。

いやー、これ見るとエレガット欲しいなぁ。ギター2本重ねで音源作る時とかに1本ガットギターにしたくなること多いんですよねぇ。ソロとかの音が綺麗だし。

以前もキクチリョウタさんがエレガットの弾き語りでライブやっていて、それも凄くよかったです。いつか買いたい。

3. オススメする選択方法

さて、凄く長い記事になってきましたが僕の考えるオススメの選択方法。

状況別に3パターンほどご紹介していきます。

3-1. 初めてギターを買う人

ぶっちゃけ何でもいいです。木材気にするより、「握りやすい」「見た目が気に入った」など感覚重視で選びましょう。

初めの1本は音や木材より、いかに続けやすいギターを選べるかが勝負です。

もし、1本目から高いギターに手を出すつもりであれば「スプルース×ローズウッド」か「スプルース×マホガニー」という定番のどちらかが良いでしょう。

もっと具体的に言うと高いもの買うならJ-45とかD-28などのギターを弾かない人でもなんとなく聞いたことがあるくらいの有名な機種を買うのがよいでしょう。

何故なら、自慢した時に周りのリアクションを得やすいからです。これも続けやすいギター選びの1つ。

低価格帯だとトップはスプルースでサイド&バックはよくわからない木材が多いです。でも、ちゃんと鳴るし、それなりに弾けるのでそれで十分っちゃ十分。

もう少しお金を出してちゃんとしたのを買いたいって人はMartinやTaylorでサイド&バック材が「HPL」や「サペリ」あたりのものを選ぶとよいでしょう。10万前後くらいです。

サペリはマホガニーと同じような音色です。マホガニーが最近希少価値が上がって高いので代用品としてサペリが使われることが増えました。

3-2. 2本目のギターを買う人

1本目の安めのギターを弾き倒して少し高いギターを買って本格的にギターをやろうって人向け。

この場合も基本的には「スプルース×ローズウッド」か「スプルース×マホガニー」という定番のどちらかが良いでしょう。

両方弾いてみて惹かれる方を選択するというのが一番良いですが、よくわからなければ好きなミュージシャンが使っているギターを選ぶというものありです。

正直なところ、どちらを選んだところで間違いないので後は好みの世界です。

強いて言うなら…。

  • 弾き語りメインの人…どっちでも良い
  • ソロギターとか色々やりたい人…「スプルース×ローズウッド」が良い

ってくらい。
別にマホガニーでもソロギターやれるけど、音が乾いて渋いのでソロギターやる人は煌びやかな音がするローズウッドを選ぶ人が多いです。

僕も両方持っていますが、弾き語り以外もやるならローズウッドのほうが万能ですね。

ただ、弾き語りやっている分にはどっちでも十分万能だから気にするこたぁない。

3-3. サブギター買う人

メインで良いギターを持っていて、サブで違うギターを買いたいと思っている人向け。

こちらは結構やり込んでいる人ですね。このパターンは買う理由によるので正解はない。

■違う音色が欲しい人

今のメインギターにはない音色が欲しい人は違う材質のギターを買うべし。何か欲しくなりますよね。

結局、プロミュージシャンの方でもGibsonの「スプルース×マホガニー」をメインに使っているけどMartin D-28とかサブで持っている人が大半なんですよね。逆もしかり。

なので「ローズウッド」「マホガニー」で自分が持っていない方を買うのが良いかなと。あと、ガットギターなどに手を出すのも面白いですね。

■リペア時などの対応用

結構、音楽をやり込んでいると1本だと何かと不便。
急な故障などでメインギターが入院した時にいきなり、数か月活動休止するわけにもいかないですからね。

そんな場合に関しては拘りがある人は同じ材質のギターを買うのも良いでしょう。

まあ、でもアマチュアの弾き語りミュージシャンだと、この選択肢取る人はあんまりいないかなぁ。

別に違う材質のギターでも問題なく演奏できますしね。予算も限られているから、どうせなら違う音色のサブギターでリペア時の対応も兼ねることが多いですよね。

4. まとめ

  • アコギの使用する木材は「トップ」「サイド&バック」「指板&ブリッジ」と3つで分かれる。
  • 「トップ」「指板&ブリッジ」は選択肢は大凡決まっているため、「サイド&バック」選びがメインになる
  • 「サイド&バック」の主流は「ローズウッド」か「マホガニー」。
  • やり込んでいる人以外は「木材」で悩むよりは「感覚」を信じたほうが良い

こんなところ。

木材にこだわるのは趣味か職人の領域ってイメージです。
それよりはまずは「かっこいい」とか「弾きやすい」という自身の感覚を信じたほうが良い買い物ができます。

自身の感覚を信じて愛用のギターが出来てから、木材を気にした新ギターを買う…という選択が最も良いでしょう。

僕もいつからこんなに木材オタクになったのか…。

たしか、Taylor 814CEを買って弾き倒して不満もないけどGibsonやMartinのヴィンテージギターが欲しくなったあたりからかなぁ。

その後はいつの間にか購読しているアコースティックギターマガジンのギター作る記事や木材の記事を読みふけるようになって、やたらと知識量だけ増えてしまったわけです。

ちなみに合板と単板などについても本記事に書こうと思ったのですが、長くなりすぎるので追って別途記事にする予定です。

それではこのへんで終わりにします。

みなさんも木材オタクになって、より深くギターの世界につかりましょう!