CD受注生産(DOD)代行サービスは弾き語りすとにも需要があるか考える

こんばんは!たけしゃん(@_tkshan)です。

さて、音楽ブロガーの中では話題に上がっていたCD受注生産(DOD)代行サービスについてです。

Amazonで誰でも自主制作のCDを受注生産で販売できるようになります/俺、まちがってねぇよな

Amazonで以前から実施しているCDの受注生産ですが、一般ユーザーが販売することはできませんでした。

これを、Tune Core Japanが代行することで私たちのような一般ユーザーも利用できるようなりました。

なんとも興味深いですよね。
CD自体が既に世の中の流れから排除されつつあるのに、作り手側の目線でCDの新サービスが始まるってのが。

そんな新サービスを紹介しつつ、どうやって使っていけるのかを考えます。

1. DODとは

CD受注生産という言葉のほうが伝わるのでタイトルなどはそうしましたが、Tune Core JapanのHP記載の正式名称はDOD受注サービスです。
DODサービスはAmazonが提供していますが、Tune Core Japanが間に入って一般ユーザーの制作者にも提供されます。

DOD(Disk on Demand)とはお客様のご注文を受けてからAmazon.co.jp がDVDを製造し、出荷するサービスです。主に、廃盤商品やDVD化されていないコンテンツを、コンテンツの権利保有者であるメーカーの許可を得て商品化しています。コンテンツは、市販品と同等の音質および画質でDVD-Rに記録し、市販品と同等のケースに入れてお届けします。

-Amazon HPより-

記載の通り、イメージ的には昔のアニメやドラマなど廃盤となって生産されなくなった商品に対して、Amazonが受注生産することで販売継続できるという画期的なサービスでした。

CD・DVDってプレスするには結構なお金がかかって、しかも一度に大量の枚数をプレスするほど単価は下がるんですよね。

逆に言ったら、こういったニッチな需要に応えていたらプレス単価が恐ろしいことになり、赤字も赤字。真っ赤っかになること必死でございます。

これって、アマチュアミュージシャンにも言えることなのです。
大して売れないので、100枚だけ制作したくても500枚制作した時のプレス金額と大して変わらないわけで、そこそこ売れないと厳しいのです。

そういった事情をクリアにしてくれるのがこのサービスです。

2. サービス内容

それでは具体的なサービス内容へ。
固定でかかる費用などが最も気になるところですね。

2-1. 利用料金

『DOD (Disc On Demand)受託サービス』の利用料は、以下の通りです。

初期費用:なし
利用料 :DOD収益の15%

-Tune Core Japan HPより-

おぉ!無料ってすごい!…と思いきや。

ディストリビューションサービスにて音源配信をしている曲だけ対象のようです。
ということは音源配信する費用がかかります。費用は下記の通り。

シングル アルバム
1年間 1,410円 4,750円
2年間 2,650円 8,560円
3年間 3,790円 12,370円

※価格は税抜き

まあ、こんなもんか。
ちなみにシングルは1曲のみとなっているので、カップリング曲とかつけるならアルバム料金がかかります。

普通の3曲入りくらいのCDを作ろうとすると、初期費用は1年間で5,000円ちょいか。
あとはここにレコーディングスタジオの料金やパッケージデザインのデザイン料を見ておくあたりでしょうか。

2-2. 収益について

続いて気になるのが収益の分配率。

"DOD収益"とは、DOD楽曲/リリースの販売に直接起因する対価として、Amazon.co.jpなどのDOD事業者から受領した額をいいます。当社は、この "DOD収益"の85%をアカウント管理者様のアカウント「Report」および「Money」に計上します。15%は当社の手数料として頂戴させて頂きます。

-Tune Core Japan HPより-

なるほど。85%ももらえんのか!1,000円で販売したら850円ってこと?
と思っちゃいけません。

"DOD収益"とは、DOD楽曲/リリースの販売に直接起因する対価として、Amazon.co.jpなどのDOD事業者から受領した額をいいます。

となっていますので、Amazonの取り分を除いた額から更に15%分がTune Core Japanに差し引かれます。

一応、AmazonのHP掲載データが基準になっていると仮定して試算してみましょう。
HP掲載の計算式は以下の通りです。

出品者が受け取る金額 =(出品価格+配送料)- 販売手数料(販売価格の15%) – カテゴリー成約料(CDの国内販売は140円) – 基本成約料(100円)

配送料はAmazonが配送するためないので、仮に1,000円のCDが売れた時は下記のようになります。

1,000円 – 150円 – 140円 – 100円 = 610円

そして、ここから更にTune Core Japanが15%取るので

610円 – 91.5円 = 518円

最終的に予測される収益は518円(51.8%)になります。あくまで他サービスで適用されている指標を用いた試算です。

音源制作にかかる費用ですが、以前も参考にさせてもらったCD制作いくら売れば儲かる?「結論:1200円の4曲入りEPを779枚売ればいい」に掲載いただいているデータを基にすると…。

  • 音源制作費用(3曲)= 142,350円
  • ジャケットデザイン  = 21,600円
  • 編曲(3曲)    = 60,000円
  • 音源配信費(1年) = 5,130円(税込

合計 229,080円!

【補足】上記ページには編曲については触れられていませんが、ギター弾き語りブログなのでアレンジャーに依頼することを前提に僕がそれらしい金額を予測しました。

1枚518円の利益と仮定すると黒字化するのは443枚目から。うーん、厳しい!

2-3. 販売媒体

ブックレット用紙:コート紙 104.7グラム/平方メートル
CD Case :透明ジュエルケース、透明プラスチックトレイ
Media :CD-R 700MB (Printing Area :Thermal white)

-Tune Core Japan HPより-

ふむ。自主制作とかで僕らがCDプレスしないで作るもんと同じですね。

プレスもされていないし、これまでの常識だと全国流通とかはできないレベル。
でも、Amazonを通して全国流通できちゃうわけですね。

こりゃ、アマチュア・インディーズミュージシャンのCDプレスを生業としている中小企業は倒産しそうだな。
正直、僕らのようなアマチュアミュージシャンがCDプレスする理由ってお店が取り扱ってくれないからだもんなぁ。

CD-Rで焼いた音源を全国に販売できるなら、プレスするって人減りそう。
Amazonが焼いて送ってくれるから、CDが聴けないとかの保証は向こうでやってくれるだろうし。

3. 活用を考える

さて、いよいよ本題。
弾き語りすとの目線で考えた場合に、このサービスは活用できるのか。活用についての意見を記載します。

3-1. 制作が自主完結するなら大いに有り

DTMで音源制作が自主完結するなら、初期費用がほとんどかからないので大いにありです。

レコーディングも自宅で済んで、アレンジも自分でできる。
Mix、マスタリングもOK。

この条件であれば、かかる費用なんてジャケットデザインと音源配信費くらいです。
製作費を抑えつつ、ある程度の品質を担保してコンスタントにリリースしたいという方には相当強いサービスですね。

ライブハウスでの手売りができないって意見も出ていましたが、そこは割り切ってAmazonのサイトか音源配信サイトに誘導するか、50枚くらい手売り用で自分のCDをAmazonから自分で買っちゃうかってところですかね。

Amazonから自分で買った場合は収益と相殺して予測の持ち出し額は25,000円くらいですか。
プレスすると100枚でも7万以上はかかるので、まあ一応安くはなる。

そもそも、このサービスを使うなら主戦場はyoutubeやニコニコ動画などWebだよなぁ。そして主戦場がそこなら配信のほうが有効だよなぁとは思いますが。

3-2 手売りに自信があるならなし

もうちょっと深く言うと、現在の流通ルートで満足している方は本サービスを利用する必要はありません。

Amazonのサービスに乗っかるのもあり、このサービスはそもそも対面販売する想定ではありません。

対面販売をメインチャネルにしたいなら、本サービスの利用は避けるべきでしょう。

自分のCDをAmazonから自分で買うことで実施することはできますが、枚数が嵩めば明らかにこれまで通りCDプレスして制作したほうが利益率が高いですし、商品の質も高いです。

4. まとめ

  • CDプレスに比べて商品の品質は悪いが初期費用はほとんどかからない
  • 制作費用を抑えつつ、コンスタントにリリースしたい人には向いている
  • 対面販売をメインに考える人には不向き

ライブハウスでガンガン活動している人にはあまりピンとこないサービスじゃないかなぁって印象。

逆にボカロPや歌い手の方々には強力なサービスな気がします。
…が、そこで考えるとCDである意味はない気がします。

選択肢が増えるから、やってもらって嬉しいサービスですが、ちょっと時代から逆行しているサービスとも感じるんですよね。

色々、使い道を考えていくと思いついたりはするけど「CDである意味は?」って問題にぶつかるんだよね。

特に本サービスだと音楽配信もやっていることが条件になっているから配信でいいじゃんってなっちゃう。

結局、僕もCD買っているパターンってCD買う以外に音源手に入れる方法がないってパターンだからなぁ。

よく、本サービスについての書き込みでライブハウスで良い演奏聴いたらCD買ってくれる人がいて、手売り分がないのはきつい…って書いてる人を見るけど音楽配信で買えたら、それはそれでCD買わずに配信で買うんじゃないのか?とも思う。

少なくとも僕はそうすると思うな。

本サービスが始まって真剣に考えてみて、CDって時代遅れなんだなぁと再認識しました。以上。

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ABOUTこの記事をかいた人

たけしゃん

アコースティックギターによる弾き語りを中心に音楽を愛するアラサーのサラリーマン。20代はギターを片手にシンガーソングライターとして東京都内で音楽活動に精励。
30代になって音楽と仕事(サラリーマン)の両立を模索中。