KDDIエボルバのハタラク×オンガクを考える

こんばんは!たけしゃん(@_tkshan)です。

6/27にKDDIグループのKDDIエボルバ社とアーティストに音楽配信環境を提供する「Tune Core Japan」が提携して提供する「ハタラク×オンガク」キャンペーンが発表されました。

ついに、働きながら夢を目指す若者を支援する会社が出てきたか。と興味本位に見ていましたが、少し掘り下げて紹介していきます。

1. KDDIエボルバについて

KDDI

まずはKDDIエボルバが何をしている会社なのか。そこから触れていきます。

KDDIエボルバ

1-1. 会社概要

名前の通り、KDDIグループの会社。
支社は全国にあり、従業員数は約23,000名。

2015年度の営業収益は約800億。テレマーケティング業界の売り上げランキングで毎年5位以内に入っています。
つまり、立派な大企業ですね。

1-2. 事業

KDDIエボルバの事業といえば、コールセンターの運営が主軸です。
KDDIグループの中心といえばauなのでコールセンターというイメージもつきやすいですね。

2014年度のテレマーケティング業界売り上げランキング4位。トランスコスモスやベルシステムと並ぶ業界最大手の1社です。

そして、もう一つの主業務が人材派遣業です。派遣会社として様々な会社に人材派遣をしています。

これだけ見ても分かりますが、在籍社員の中心はアルバイト・契約社員です。
そして、コールセンター系の業務が多いのでミュージシャン・役者・お笑い芸人といった芸能関係を目指しながら働いている人達がたくさん在籍している会社です。

2. ハタラク×オンガク

KDDI エボルバとの企画スタート!『ハタラク × オンガク』 – TuneCore Japan
さて、今回のメイン。ハタラク×オンガクキャンペーンの実施内容についてです。
このキャンペーンはKDDIエボルバが掲げる「エボルバであなたの夢かなえませんか」プロジェクトの第一弾キャンペーンです。

当社は、社員がワクワクする会社を実現するために、未来の「働く」を「クリエイト」するという思いを込めた「Workcreation(ワークリエーション)」というビジョンを掲げています。

その一環として、「社員の才能や能力を伸ばせるきっかけをつくれないだろうか。」という思いのもと、「エボルバで、あなたの夢かなえませんか」プロジェクトを開始しました。

この応援プロジェクトでの機会創出、環境改善および社内制度改定などによるバックアップの充実により、社員ひとりひとりが能力を発揮することで、クライアント企業様へ安定した品質提供をしてまいります。

-KDDIエボルバ HPより-

ふむふむ。
「ワクワクする会社」ってキーワードを使う経営者増えましたよね。

それだけ、待遇面で遡及できるものがないという悲しい日本経済を表している気もします(笑)

そして、「ハタラク×オンガク」キャンペーンの内容へ入っていきましょう。

002_KDDI

エボルバ社員がTune Core Japanを通して音楽STORE配信を望むときに費用を会社が負担。
売り上げについては本人へ還元。

うん、社員はメリットしかない。福利厚生の一環みたいなもんでしょうか。
なかなか画期的。

この取り組み以外でも、エボルバ社員の音楽活動を紹介したり、社員同士の交流の場を設けたりするとのことです。

3. 本キャンペーンを考える

business-tie-1240108-639x810

このキャンペーンについて掘り下げて考えてみます。
なかなか、いい話でありますが、現状の日本社会の問題である非正規雇用者の増加を助長する取り組みにも感じます。

3-1. メリット

何はともあれ、まずはメリットについて考えます。

◆活動費の抑制

一番わかりやすいのは活動費の抑制です。

音楽配信サービスを利用する費用を会社が負担してくれます。
Tune Core Japanの利用費は下記のとおり。

  • シングル 1,410円/年~
  • アルバム 4,750円/年~
  • リングトーン 1,410円/年~

曲数をある程度、配信するとなると結構な額になります。
会社負担してくれれば、ありがたいですね。

◆マスコミからの注目

エボルバ社自体が大手企業です。
この取り組みで会社に推されるミュージシャンはマスコミも取り上げるでしょうね。

本キャンペーンの最初の有力ミュージシャンはマスコミからも取り上げられ、エボルバ社も成功事例としてプッシュするでしょうから、レコード会社とエボルバ社の企業間取引でメジャーデビューできる可能性は十分考えられます。

ミュージシャン自体の実力があれば、そこからファンを獲得できるでしょう。
ただし、恩恵を受けられるのは最初に1~2組がいいところでしょうから現在エボルバ社に在籍しているか、今すぐ在籍する必要がありますね。

3-2. デメリット

続いて、デメリットです。
結構ありそうですけど、思い当たるところを何点か記載します。

◆ 職場がばれちゃう&職場にばれちゃう

これ、結構嫌な人は嫌じゃないですか?
職場に音楽活動をしていることを隠している人って多いですよね。

そして、ファンに就業先やバイト内容を知られるのも嫌ですよね。

本キャンペーンの恩恵を受けると、職場には思い切り知られちゃうだろうし、上記のようにマスコミなどを恩恵を受けると職場も知られちゃう。そら、会社の広告塔になるわけだからしょうがないんだけど。嫌な人は嫌でしょうね。

◆仕事が辞めにくい

これこそ、エボルバ社の戦略の一環ですが(笑)
活動サポートしてもらうとなると、仕事が辞めずらいですよね。

派遣とか非正規って結局のところ、音楽活動が軌道に乗ってきたら、いつでもやめるぞ!って気持ちがあるからやっているわけで。
そこが若干やりずらくなるのではないか。

それに音楽活動が活発になればなるほど、バイトは減らすだろうから、その点も難しいですよね。
エボルバ社がそのあたり、どう考えているか知りたいなぁ。

3-3. 会社側のメリットはどうか

これが一番気になる(笑)
会社的にこのキャンペーンをやる狙いは何か。そして、収益向上につながるのか。

◆求人に対する応募率の向上

簡単に思いつくのは人を採用しやすくなるということですよね。
コールセンターとかアウトソーシングの業界って非正規雇用で支えられています。

エボルバ社の業務内容からすると、非正規雇用者の確保ってのは最重要課題。
2015年12月の厚生労働省「就業形態の調査」の結果ではなんと40.5%が非正規雇用。

非正規雇用といえば主婦層。しかし、主婦は働く時間や日数に制限があるので、非正規雇用者を確保したいとなるとフリーター層が望ましいんですよね。しかも、欲を言えば覚えが早い20代の若者がよい。

その20代フリーター層の中で望んで非正規雇用者になる層がいます。
それが芸能関係を目指している若者なわけです。

しかも、20代半ば~後半で非正規雇用の人って会社として一番欲しい層だろうけど優秀な人は正直多くはない。悲しいけど、これが現実。
やっぱり、この年代で優秀な人は起業しているか、正社員として既に下位マネジメント層になりはじめているんだよね。

だけど、芸能関係目指してる人の中には能力あるけど、あえて非正規で居続ける層がいるので、優秀な人いるんだよね。

そういったところで、非正規雇用で原価抑えて円滑に回したいと考えた時に夢を追っかけている層にターゲット絞った取り組みを行うのは賢いと思う。

◆定着率の向上

これはデメリットにも書きました。
会社から音楽活動のサポートを受けると退職しづらいですよね。

退職することで自身の音楽活動にも影響が出てしまうなら、そら考えますわ。

その観点でも、この施策は非常にうまい。
前述の応募率向上は目に見えるほど上がるか疑問ではあるが、定着率の向上は間違いなく図れるでしょう。
対費用効果で考えても定着率向上のために業績一時金支払うコストと比べれば、Tune Core Japanの楽曲登録料負担はさほど高いコストとは思わない。

4. まとめ

なかなか、面白い取り組みです。さすがKDDIグループ。
勤務間インターバル規制の導入とか、取り組みが新しいよなぁ。

勤務間インターバル規制で残業時間は減るのか

2016.05.12

こういった取り組み自体はガンガンやっていってほしいし、本キャンペーンで紹介されるミュージシャンも今後、当ブログでも取り上げていきたいですね。

しかし、非正規雇用を減らそうと考える国の政策とは真逆のことをやっている
名目上は正規雇用者も対象だから非正規雇用を助長するものではない!ってことなんだろうけど(笑)

僕には非正規雇用者の効率的な確保と定着率向上による原価抑制施策にしか見えません。

今後のミュージシャンの生き方としては下記の2通りだと思うんですよね。

  1. 正規雇用で働きつつ、音楽活動を十分行えるだけの時間と自由度を確保する
  2. 非正規雇用&音楽収入で正規雇用以上の収益と自由度の高い活動環境を確保する

今回でいうと②の話になるんですけどね。
非正規雇用者の正規雇用化という厚生労働省の指針から考えると①の話がもっと出てきてほしいんだけどなぁ。

まあ、今後に期待して、今日は終わります。
今後も音楽と労働という観点の記事は定期的に書いていきます。この題材は面白いし、興味ある人が多い。

ABOUTこの記事をかいた人

たけしゃん

アコースティックギターによる弾き語りを中心に音楽を愛するアラサーのサラリーマン。20代はギターを片手にシンガーソングライターとして東京都内で音楽活動に精励。
30代になって音楽と仕事(サラリーマン)の両立を模索中。