アコギの弦高を解説。弦高調整の目安やプレイスタイル毎のおすすめを解説

ぎたすけ

弦高って低い方が弾きやすいってよく言うよな。できるだけ下げた方がいいってこと?

たけしゃん

プレイスタイルにもよるね。歌モノだと下げすぎると音が合わないから難しいだよね
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音楽ブロガーたけしゃん

ミュージシャン

たけしゃん

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プロフィール

ギター弾き語りのシンガーソングライター。長年の音楽活動や音楽の仕事で得た知識・経験を基にブログを書いています。
雑誌の音楽記事執筆、音楽専門書の執筆(工学社)、nana公認クリエイター、IPC VOICE STUDIO公認ボイストレーナーです。
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ギターの弦高とは

アコースティックギターを演奏している写真

ギターの弦高とは弦の高さを指す言葉です。

弦高の高さは演奏性や音質に大きな影響を与えます。主な傾向を表でまとめると以下の通りです。

弦高が高い
弦高が低い
  • 響きが豊かになる
  • ビビりにくくなる
  • 押弦に力がいる
  • 響きは控えめ
  • ビビりやすくなる
  • 押弦が楽になる

弦高が高いと音の響きが豊かになり、音量も大きくなります。

弾き語りのようなストローク中心のプレイでは、それなりに弦高の高さは欲しいものです。

アコースティックギターを弾いてる右手

一方で弦高が高いと押弦はしづらくなります。

そのため、テクニカルなプレイには不向きではありますね。

逆に弦高が低いと音の響きは控えめになり、音は細くなります。

アコースティックギターでアルペジオを弾いているところ

代わりに押弦は楽になるため、テクニカルなプレイに適したセッティングと言えます。

ただ、弦がビビらないギリギリを攻めるため、気候などによるネックの状態変化の影響を受けやすいです。

本章では基準となる弦高や弦高の測り方を解説していきます。

目次

標準的な弦高

アコースティックギターのネック部分を斜め横から撮った

まず、弦高は1弦12Fと6弦12Fが基準となることが多いです。

そして、弦高は「フレットの頂点から弦の下面部分」を計測します。

その上でアコギの標準的な弦高は以下の通りです。

項目標準的な弦高
1弦12F約2.0mm
6弦12F約2.5mm

このあたりはジャンルや演奏スタイルによっても異なりますが、弾き語りだと上記くらいのセッティングが多いです。

ここから更にプレイスタイルによって、適した弦高は変わってきます。

ザックリでは低め、標準、高めの3種類に分かれますが、それぞれの6弦12Fの数値は以下の通りです。

項目6弦12Fの弦高
低め約2.2mm
標準約2.5mm
高め約2.8mm
補足

一昔前は6弦12F 2.8mmくらいが標準的だったようで2.5mmでも低めとされていることも多いです

弾き語りなどシンガーソングライターの方は上記のどれかの人が多いはずです。

一方でテクニカルプレイが多い、ソロギタリストの方だと6弦12Fを2.0mm以下にする方も多いです。

ギターを演奏しているところをヘッド側から撮った

ただ、歌モノの伴奏だと、2.0mmまで下げると音的に合わないと感じることも多いですね。

弾き語りや歌モノ中心の方は下げる場合も、まずは2.2mmくらいまでに留めたほうがいいと思います。

ちなみに僕は6弦12Fを2.5mmにしています。

Gibson J-45

僕がいつもお願いしている職人さん曰く、最近は6弦12Fを2.2〜2.3mmくらいにする人が多いそうです。

弦高の測り方

アコースティックギターのネック部分を横から撮った

弦高は1弦と6弦の12Fの高さを測ります。

測定範囲は「フレットの頂点から弦の下面部分」です。

測定で使う定規は端からメモリが始まる15cmスケールのものを使いましょう。

また、計測する際はギターは演奏するときと同じように抱えて測りましょう。

C414XLSでギターのレコーディングしているところ

ギターを平置きにして測ると、ギターの重さで弦高が変わってしまいます。

これが平置き

なかなか正確に測るのは難しいです。

僕も自分で測った数値とギター工房で測ってもらった数値だと0.1mm程度は差が出ます。

ちなみに弦の太さを変えると、弦高も変わったりします。

定期的に測るなら弦の太さを統一しましょう。

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プレイスタイルに合わせた弦高

アコースティックギターを演奏しているところ。左手の写真

標準的な弦高を解説したところで、続いてはプレイスタイルに合わせた弦高です。

ここは割とシンプルでテクニカルなプレイが多い方は低め、ストローク中心のプレイなら標準~高めがおすすめです。

項目6弦12Fの弦高適したプレイ
低め約2.2mmフィンガースタイル
標準約2.5mm万能
高め約2.8mmストローク中心

ソロギターだと更に低く、2.0mm以下の方も多いです。

弾き語りの場合は明確な目的がない限りは2.2mmくらいにしておいたほうが良いと思います。

ただ、大石昌良さんのようなプレイスタイルの方は思い切り下げてもいいかもしれません。

君じゃなきゃダメみたい/オーイシマサヨシ(YouTube)

大石昌良さんはギターの弦高はかなり下げているとインタビューか何かで仰っていました。

逆にオーソドックスに弾き語りをやる場合は標準的な弦高にするのが良いでしょう。

ちなみに秦基博さんがデビューから愛用しているGibson J-45は6弦12Fで2.5mmになっているそうです。

ひまわりの約束/秦基博(YouTube)

秦さんはオーソドックスな弾き語りなので、やはり標準的な弦高にされていますね。

個人的にもまずは標準的な弦高で演奏してみてから、適時調整することをおすすめします。

 

弦高調整する方法

アコギのトラスロッドを回しているところ

最後は弦高調整する方法です。

解説するものの、トラスロッドで調整しきれない場合はギター工房などプロに依頼したほうが良いです。

サドルの調整は非常に細かい作業なので、素人が上手く調整するのはかなり難しいです。

アコースティックギターに弦を張っているところ

その前提で工程を説明していくと、弦高は主に以下2つの工程で調整されます。

  1. トラスロッドを調整
  2. サドルの高さを調整

あとはナットの溝が深くなってる場合はナットの交換なども発生することがあります。

アコギ用のナット YAMAHA-WT836900
ナット

ここではトラスロッドとサドルの調整について解説していきます。

トラスロッドを回して調整する

アコギのトラスロッドを回しているところ

トラスロッドとはギターの内部に埋め込まれている金属の棒のことです。

先端部分にナットが組み込まれており、六角レンチやパイプレンチなどで回せるようになっています。

アコギのトラスロッド
Gibsonはヘッド部分に回すところがある
Martinのトラスロッドの位置
Martinはホール上部に回す部分がある

トラスロッドを回す部分はメーカーによって場所が異なるので確認しましょう。

補足

かなり少数ですが、トラスロッドを内蔵しないタイプのギターもあります

このトラスロッドを回すことでネックの反りを調整することができます。

ネックは真っ直ぐの状態が正常ですが、気候など様々な要因で反りが発生します。

この反りはネックの反る方向によって、順反りと逆反りの2種類に分かれます。

ギターのネックの反り。順反りと逆反りを図で解説
項目状態
順反りネック中程(7~12F)が
下がるように曲がった状態
逆反りネック中程(7~12F)が
盛り上がるように曲がった状態

反りの確認方法ですが、目視は難しいので以下の手順で確認しましょう。

2Fと15Fを押さえる

2Fと15Fを左手と右手で押さえる

ギターの2Fを指で押さえる
7Fあたりを叩く

2Fと15Fを押さえた状態で7~8Fあたりを軽く叩く

ギターの7Fを指で叩く

この工程を行ったときに鳴る音で状態を判断できます。

状態症状
正常叩くとカチカチと音がする
順反り叩くとビーンという音がする
※ハンマリングに近い音
逆反り叩いてもほとんど音が鳴らない

この工程で状態を判断したら、トラスロッドを回して調整します。

トラスロッドを回すときは手間ですが、弦を緩めましょう。

アコギのトラスロッドを回しているところ
回す方向起こる現象
右(時計回り)締まって順反りを解消できる
左(反時計回り)緩んで逆反りを解消できる
補足

稀に回す方向と効果が逆のギターもあるので取扱説明書を読みましょう

急激に回さずに少し回したら、前述の工程で音を確認します。

回す角度の目安

1回の操作で回す角度は45度までを目安にするとよい

急激に回すと、ネックがミシミシいって指板がはがれてしまうことがあります。十分に注意しましょう。

トラスロッドが回らない場合

ロッドのサビ・固着もしくは既に目一杯回ってる可能性があります。工房へ修理に出しましょう

サドルの調整

アコギのサドル

トラスロッドを回すだけでは調整が難しいときはサドルの高さを調整します。

サドルの高さ調整はサドルをサンドペーパーなどで削ります。

サンドペーパー

自身が望む弦高になるまで削っていきますが、かなり細かい調整が必要です。

僕は自分では無理なので、ギター工房にお願いしています。

ご自身でやる場合は自己責任でやってみてください。

 

アコギの弦高 まとめ

アコースティックギターのネック部分を正面から撮った
  • 弦高とはフレットの頂点から弦の下面までの距離
  • プレイスタイルによって最適な弦高は変わる
  • 弾き語りであれば、標準的な弦高にするのが良い

ぎたすけ

弦高ってやっぱり大事なんだな。低いほうが弾きやすいけど、それだけ考えちゃダメってことか

たけしゃん

そうなんだよね。最近は低いのが主流みたいだけど、弾き語りならそれなりに高さはあったほうが良いよ

アコギの弦高についての解説でした。

何か弾きにくいなぁ…と感じたら、それは弦高が原因かもしれません。

何年も弾いていて、弾きにくさを感じるようになったら一度ギター工房で診てもらうと良いですね。

ちょっと調整するだけで劇的に弾きやすくなったりします。

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